ちきラジっ!~RC同好会でやり直す私の女子高生活【人生挫折した少女が笑顔を取り戻す話】
ラジコン同好会の怪談~誰もいない部室から響く時速0kmのすすり泣き【ちきラジっ!番外編】◆夏のホラー2026参加作◆
毎日18時に連載中の『ちきラジっ!~RC同好会でやり直す私の女子高生活』の、公式ホラー番外編となります。
小説家になろう公式企画「夏のホラー2026」に合わせて、彼女たちが部室で怪奇現象に巻き込まれる話を書きました。本編を読んでいなくても楽しめる1話完結の短編ですので、夏の夜のお供にどうぞお気軽にお楽しみください~
連載本編はこちら ⇒ https://ncode.syosetu.com/n1444mm/
放課後いつものRC同好会の部室にやってきたけど…今日はまだ誰もいなかった。
「先に充電しとこっかな…」
そうひとりごちた時、
コンコン、コン
部員の皆ならノックなんてしないのに誰だろう?そう不思議に思いながら「どうぞー」と招き入れると、
線が細い子だ――― 少しウェービーなロングヘアーが、半分ぐらい顔を隠しているように肩まで伸びている。わたしは知らない生徒だ。まさか入部希望!!!?
「部長ならもう少ししたら来ると思うけど…」
「いえ私は、宮崎沙也加さん、貴方に用事があってきたんです ―――」
そうして3年生(1学年先輩だった!)の心霊研究会の『阿波ナギ』と名乗った先輩はわたしに話し始めた。
しかしそれはわたしにとって、とてもとても恐ろしい内容だったのだ ―――
――――――
ゆさっゆさ
せんぱい〜〜〜
肩を揺さぶられた刺激でハッとわたしは目を覚ました。なんだかすごく冷や汗をかいているような、気持ちの悪い目覚めだ。背中がジットリとしている…
「珍しいですね、宮崎先輩が居眠りしてるなんて。疲れてたんですか?」
いつの間にか関谷さん、そして同じ2年生の須川さんと仁科部長のRC同好会フルメンバーが揃っていた。
あれは…、あの恐ろしい出来事は夢だったのだろうか?
まだ少しぼんやりしている頭を少し振りながら自分の手に目を落とすと ―――
しかしわたしはあの忌まわしささえ感じる恐怖のメモ書きを無意識にもしっかり握りしめていたのだった…
「ヒッッッッ!」
パサっ…
声にならない叫びを上げながらメモを振り払うように取り落としてしまった。
「変な声上げて先輩どうしたんですか?落としましたよ〜 …なんですかこれ?」
あれは夢ではなかったのだ…
わたしはその阿波さんから渡されて伝えられた恐ろしい話を皆に説明することになってしまったのだ
――――――
「あの~、この部屋は呪われていると思うんです…!」
「私が忘れ物を夜遅くに取りに心霊研究会の部室に行った帰りのことなんです」
「帰りに廊下を歩いていると、どこかからすーっ、すーっと風が来るような気がするんですね。」
「変だな~おかしいな~と、風をたどってみると、この部屋の前にたどり着いたんです」
「寒気を感じて帰ろうとしたんですけど、真っ暗だったこの部屋の中から確かに聞こえてきたんです…」
「よせばいいのに、私はドアに近づいて耳を傾けてみたんです…そうしたら」
ギーーーギーーー
かりかりかりかりかりかりかりかり
「これ、この世の音じゃない。私、そういうの分かるんです」
「冷や汗がふぁーっと流れ出てきて私はすんでのところで逃げ出したんです」
「この部屋は、呪われています!!!――――――」
――――――
そう言いながら無理やり握らされたのがこのメモだった。紙一面にびっしりと、その内容が几帳面な字で書かれている。今思い出すだけでも怖い。
「ま、ま、まあ、いろいろ建付けの悪い部屋だし、他愛もない、よ、よくある勘違いだな!ってわたしはおもうんだけど、」
何とか平静を装ってボディポストにピンを刺そうとするがうまく刺さらない…
「そんな風が吹いてくれたら涼しくていいですよね。この部屋ちょっと蒸しますしね~」
関谷さんはポテチをポリポリ食べながら完全に話に興味をなくしている。クっ、クールだ。
そこに突然、
フーー!!!
耳元に後ろから風が!!
「キャーーっ!!」
思わず悲鳴を上げるわたし。
「こんな風だったんじゃない?」
クスクスニヤニヤと笑う後ろにいる須川さん…そう、あなたはそういうことをするのね。そっちがそういう考えならわたしにも考えが ―――
机の上に転がっていたヘックスドライバーをガシッと右手に握ろうとしたところで仁科さんに止められた。
「よーし!そんな心霊現象は科学的に解明しちゃおう!部室の不名誉は我々の手で挽回しなくちゃ!汚名返上だっ!!!」
なんでそんなことになってしまったんだ ――――――
――――――
折しも小雨が降り出したので今日の部活は中止になり、また夜に部室棟前に集合ということになった。
そして日も暮れて薄暗くなった棟入り口に…3人しかいない。
「仁科先輩来ないですね…」
「自分が言い出したくせに…ホント頼りになるんだかならないんだか…」
わたしはちょっとイライラ
「もしかしたら、ふーさんもうすでに、部室の呪いの犠牲者に~~!?」
「や め て」
相変わらずニヤニヤしている須川さんの襟元を思わず掴む。この人は本当にいつかぶっ…
「やあやあ遅れてゴメンね~ちょっと野暮用が思ったより時間かかっちゃった」
ようやく仁科さんが到着した。
しかし到着したということは行かなければならないのか。
わたしは身震いを隠しながら皆のあとについて行った…
――――――
そして部室前。
「な、何にもないね!無いに決まってるよね!さっ帰r」
そう上ずった声をあげた瞬間、
ひゅーーーーー ぷつっ すーーーーーーー
後ろから、、、風が!
「もう!須川さん悪ふざけは止めてって言ったでしょ!?」
「ん?どーしたの宮崎さん?」
あれ?須川さんは目の前にいる。後ろを振り返る。誰もいない。
「いいいいいいま今、風ががが」
声が上手く出ない
「え~風なんて吹いてナイヨ?」
こころもち仁科さんまでニヤニヤしているように見えてくる。何も誰も信じられないような心細い気持ちになってくる…
「一瞬吹いたような気もしますけど…今はそうでもないですね」
冷静にキョロキョロ探るように見回す関谷さん。ああ!頼りになるのは後輩様のみか…
そして関谷さんはスタスタ歩いて平気な顔で部室のドアに耳を寄せる。
「う~~ん、特には… あっ これは!?」
ぎいいいいいいいい ギイイイイイイイイイ
ガリガリガリガリガソガリガリガリ
悲鳴すら出なかった。
わたしはその場で崩れ落ち…かろうじて隣にいた須川さんの脚に縋り付き、完全にこと切れずには済んだ。
すーーーーーーー
また風も吹いてきた気がする。だめだもうおしまいだ
そう気が遠くなりかけた時 ――――――
(カチ、ポチ…)
これがわたしが今際の際に最後に聞いた音…
……
スタスタスタ ガシっっっ!
「あっっっ!」
かしゃーん、 何かが落ちた音。
「‥‥‥先輩、なんですかこれ?」
わたしの目の前に転がり落ちた、…ゲームコントローラーのような?なんだっけこれ?
「これぞK〇が誇る8チャンネル小型プロポ!M△-8で…」
「‥‥‥鍵も持ってますよね?貸してください」
いつになく迫力がある関谷さん。
おとなしく仁科さんは部室の鍵を渡し ―――
ガラっ―――――――!!!
果たして部室の中は……!!!???
「なんだこりゃ~~~!?」
響く関谷さんの怒号。
「ロッカーのドアに…ロッドが付いて…サーボに繋がってるね…」
須川さんの声。サーボを動かすと建付けの悪いその戸を動かしてギシギシ鳴らせるようになっている。
あとからヨロヨロ部室に入ったわたしが見たのは…
「このマシン、タイヤの代わり木の板?が付いてる?」
薄暗い中に電源ランプが灯っている。タイヤ代わりの木を回すと、机にこすれてガリガリ鳴る。
「あっ!こんなドアの隙間にファンと、これにもなんかメカが付いてます」
ドアをのぞき込む関谷さん。
つまり・・・・・・?
「もしかしてふーさんが遅れてきたのって…?」
呟く須川さん。
「先輩、どういうことですかコレ!!!!!!!!!!!!!!」
頼れる後輩が詰め寄る ――――――
「……違うの! 聞いて関谷ちゃん、スーちん! わたしだってこんなことしたくなかったの!」
仁科さんが自白を始めた…
「でもね、今のなろうの『現代ドラマ』ジャンルがどれだけ過酷か知ってる!? トップページを開けば右も左も追放、転生、悪役令嬢、復讐、成り上がりの大洪水! 新人の全19話完結の熱血青春小説なんて、普通に投稿しただけじゃ秒速で新着の彼方に流されて消えちゃうんだよぉ……だからわたしは、この『なろう公式・夏のホラー2026』っていう唯一無二のビッグウェーブに乗るしかなかったの!今しかなかったの!!! テーマの『音』に合わせて、わたしの持てるRCの技術をすべて注ぎ込んだ ―――」
「すべてが…すべて自作自演でも……っ!少しでも読者を本編(n1444mm)に誘導してPVを稼ぎたかったんだよぉぉぉ!!」
「……あ、でも安心して!ちゃんと宮崎さんが恐怖で白目を剥いて崩れ落ちる極上のリアクションは、ばっちり4K録画で…ぐえっ」
後ろから須川さんがヘッドロック?をかけていた。
「じゃ、帰ろっか」
こんなにも須川さんが頼もしく見えたことはない。わたしには帰れるところがあるんだ ――――――
こうして同好会の一番長い日的な事件は解決したのであった。
――――――
――――――
須川先輩と宮崎先輩二人が部長を連行していく姿を見送りながら、しかし私はひとり考え込んでいた。
「今日の放課後の時点ではそんな細工は全く跡形もなかった…つまり…仁科先輩は、今日のあの話を聞いてから、夜の集合時間までの間にこれを作り上げたはず…」
「一人集合時間にも遅れてやってきた。こんな細工、10分やそこらでは作り上げることはできない。そのこともこのロジックを裏付けしている…!」
「それでは阿波先輩という人が見たというモノは一体、なんだったの…!?」
――――――
翌日の放課後。
部室棟を歩き回って見つけた。
「心霊研究会」
ドアの小窓にはカーテンが閉じられていて何も見えない。
私はドアに手をかけ ―――
ガチャガチャ
開かない。鍵が閉まっているようだ。
「あれ~関谷さん。そんなところでなにやってんの?」
振り返ると、白のハーフパンツユニフォーム、おそらくソフトボールのユニフォームであろう、に身に包んだ、クラスメイトの上野さんがいた。あの噂好きな…(第4章参照)
「上野さん、心霊研究会の、阿波ナギさんっていう人知ってる?」
「AWANAGI…アワ、ナギさん?どっかで聞いたことあるような・・・」
かぶりを振る上野さん。
「思い出した!そういえば3年前に、在学中病気で亡くなったそういう先輩がいるって聞いたことがあるよ。今はその部屋の、廃部になった心霊研究会で怖がりな人を見つけては怪談話をして怖がらせるのが好きな人だったんだって…ウチの3年の先輩が昔ひっかかってスゴイ怖い目にあったって嘆いてたよ…」
なにか聞いてはいけなかったことを知ってしまった気がする。
何故聞いてしまったのだろう ―――
「でも関谷さんどうしてそんな人のこと知ってるの?あれ?もう行っちゃったやっぱり走るの速いなあ…RC同好会だなんて本当にもったいない…」
私は部室に急いで戻り着き、ごみ箱をゴソゴソ漁る。たしかあの後先輩がここにあのメモを捨てたはず…
無い!
理屈で言えば、宮崎先輩が書いたということになるが、あれが演技だったとはとても思えない。
う~~~~~~ん、
ま、そんなこと真面目に考えても仕方ないか!気にしないことにしよう!
私はカラッと忘れることにした。
こうして事件は完全に終了したのであった。
――――――
――――――
風に乗り、窓の隙間から抜け出たメモ用紙は、上昇気流に乗って空をひらひらと飛んでさまよっていた。どこかに怖がりの子はいないかな?と探すように
次はあなたのもとに
◆終◆
本文中で仁科先輩が叫んでいた通り(笑)、RC同好会の4人が真剣勝負で笑顔を取り戻していく本編連載、ちきラジっ!~RC同好会でやり直す私の女子高生活【人生挫折した少女がラジコンで笑顔を取り戻す青春群像劇】 は、毎日18時に大好評更新中です!
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