表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛成立確率0.00%の彼と、未来が見える私 〜彼を選べば壊れると知っている恋〜  作者: ふぁい(phi)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

第9話 それでも私は、彼を選ばなかった

好きだから、選ばない。

それが、私の答えだった。



一日だけの恋は、

終わった。


終わらせたのは、

私だ。


それでも、

後悔はしていない。


少なくとも、

そう思えるように、

何度も自分に言い聞かせた。



彼は、

何も聞かなかった。


あの日のことを、

なかったことにするように。


それが、

彼なりの優しさだと、

私は分かっている。


だからこそ、

私が言わなければならなかった。



放課後、

いつもの場所。


私は、

彼の前に立った。


未来は、

はっきり見えている。


彼を選ぶ未来。

彼が壊れる未来。


逃げ道は、

ない。



「私ね」


声が、

少し震える。


「これ以上、近づけない」


理由は、言わない。


未来の話もしない。

能力のことも。


彼は、

黙って聞いている。


「嫌いになったわけじゃない」


それだけは、

嘘じゃない。



彼は、

しばらく沈黙してから、

言った。


「……そっか」


責める声じゃない。

引き止める言葉でもない。


ただ、

受け取る声。


その優しさが、

胸を、強く締めつける。



「俺はさ」


彼は、

少しだけ笑った。


「楽しかったよ」


一日だけの恋を、

ちゃんと「恋」だと、

認めてくれた。


それで、

十分だった。


――そう思わなければ、

前に進めなかった。



私は、

彼を選ばなかった。


それは、

逃げじゃない。


彼を守るため。

そして――

自分を壊さないため。


好きだから、

手放す。


それは、

弱さじゃない。


そう、

信じたかった。



「じゃあ」


彼が、

先に言った。


「また、明日」


いつも通りの言葉。


未来に、

何も残さない言葉。


私は、

小さく頷く。


「うん」


それで、

終わった。



背中を向けた瞬間、

胸の奥が、痛んだ。


それでも、

足は止めなかった。


私は、

正しい選択をした。


正しくて、

優しくて、

――どうしようもなく、

残酷な選択を。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ