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恋愛成立確率0.00%の彼と、未来が見える私 〜彼を選べば壊れると知っている恋〜  作者: ふぁい(phi)


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5/10

第5話 それでも、未来は変わらない

未来は変わらない。

変わったのは、私の覚悟だけだった。



あの日から、

私は何度も、彼の未来を見た。


意図的に。

逃げないために。


目を合わせる。

名前を呼ぶ。

ほんの少し、距離を縮める。


そのたびに、

未来は――戻ってくる。


揺れは、消えた。


あの空白は、

最初から存在しなかったみたいに。


彼を選ぶ未来では、

彼は壊れる。


やっぱり、そうだった。



以前より、

はっきりと見えるようになった。


壊れ方が、

具体的になった。


彼は、私の言葉を何度も思い出す。

何気なく放った一言。

軽く笑って流した冗談。


それらが、

後になって、

刃みたいに刺さる。


「あのとき、ああ言わなければ」


「もっと、ちゃんとできたんじゃないか」


そうやって、

自分を責め続ける。


私は、

彼を責めない。


彼は、

自分を壊す。


それが、

いちばん救いのない未来だった。



誰かを想う気持ちは、

人を強くもする。


でも同時に、

いちばん脆い場所を、

無防備にさらす。


彼は、

優しすぎる。


だから、

傷つくときも、

全部、自分で引き受けてしまう。


私は、その未来を、

知っている。


知っていて、

それでも選ぶなんて、

できない。



「最近、元気ない?」


彼が、そう聞いてきた。


昼休み。

いつもの場所。


私は、少しだけ迷ってから、

首を振る。


「大丈夫」


嘘じゃない。

でも、本当でもない。


彼は、それ以上聞かない。


代わりに、

話題を変える。


その優しさが、

私の覚悟を、ほんの少し揺らす。


でも、

未来は揺れない。



あの一瞬の希望は、

きっと、勘違いだった。


未来視は、

感情に引っ張られる。


見たいものを、

見てしまうことがある。


だから私は、

冷静になる。


期待を、切り離す。


彼を、選ばない。


それを、

改めて、選び直す。



放課後、

一人で校門を出る。


彼は、

友達と話していた。


笑っている。


その未来に、

私はいない。


でも、

彼は壊れていない。


それでいい。


それがいい。


私は、

この選択を、後悔しない。


未来は変わらない。

変わったのは、

私の覚悟だけだった。


――少なくとも、

この時の私は、

そう信じていた。


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