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ミラノの鐘は愛を歌う  作者: Lucy M. Eden


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7/11

12月10日(火)空白の旋律

ミラノの街から、鮮やかな色彩がすべて抜き取られてしまったかのようだった。


サンタ・カテリーナ修道院に戻ったクララは、再び以前と同じ、質素で重い黒の修道服に身を包んでいた。早暁の祈り、孤児たちの世話、冷え切った回廊の掃除。繰り返される日常は、かつての彼女にとって安らぎの完成形であったはずだった。


だが、今の彼女にとって、それは音のないモノクロームの映画に過ぎなかった。


礼拝堂の冷たい石床に跪くたび、膝から伝わるのはかつての「神との対話」ではない。あの、十センチのピンヒールで歩いた石畳の硬く、鋭い感触だ。当時は拷問のように感じられたあの痛みが、今では彼という存在に触れていた唯一の、愛おしい証拠となって彼女を苛む。


「……ステファノ様」


その名を唇に乗せるだけで、心臓の奥が薄氷で削られるように痛む。修道院の権利は守られ、子供たちの未来は確かな形となった。彼女の「願い」はすべて叶ったはずなのに、魂の半分が、あのガラス張りの摩天楼に置き去りにされたままだった。


彼女の指先は、今でも無意識に事務デスクの上の受話器を探し、存在しないタブレットの画面をなぞろうとする。聖歌の重厚な重なりのなかに、ふとした瞬間、あの冷徹でいて情熱的な、チェロの低音にも似た彼の声を探してしまう自分に気づき、クララは深く項垂れた。


「クララ、元気がないわね。ザクロのジュースを少しでも飲んだらどう?」


マザー・ベネデッタが心配そうに差し出した赤い液体を見て、クララは思わず視線を逸らした。それは、あの夜のバルコニーで彼が差し出してくれた、宝石のような「ルビーの休息」をあまりにも残酷に連想させた。


「……いえ、ありがとうございます、マザー。少し、外の空気に馴染むのに時間がかかっているだけです」


嘘だった。彼女は「世俗」に馴染みすぎたのではない。ステファノ・ボルテッリという一人の男を、神以上に必要としてしまっている——その「欠落」の深さに、自分自身が飲み込まれそうになっていた。




同じ時刻、ボルテッリ・タワーズの最上階。


ステファノは、夜の帳が降りたミラノの街を、無言で見下ろしていた。


手元には、琥珀色の液体。だが、その喉を焼くような刺激さえ、胸の奥に空いた巨大な空洞を埋めることはできなかった。


「……チッ、ぬるいな」


彼は一口だけ含み、グラスを乱暴に置いた。有能な新しい秘書は、完璧な温度で飲み物を用意し、一分の狂いもなく彼のスケジュールを支配している。だが、彼女はクララのように「祈るような、静かな所作」でコーヒーを淹れることはない。彼の苛立ちが限界に達する寸前、絶妙なタイミングで扉を叩くような「魂の呼応」は、どこにも存在しなかった。


デスクの隅。かつてクララが座っていた場所には、今は何も置かれていない。ただの無機質な空間。それなのに、ステファノの目には、必死にビジネス用語を暗記しようと眉を寄せる彼女や、不器用な手つきで書類を整理する彼女の幻影が、今も鮮明に焼き付いていた。


彼女に自由を与えたのは、自分だ。彼女を縛り付けることは、彼女の「聖なる光」を死なせることだと信じて、彼は自らの腕を解いた。それが「無償の愛」だと、自分に言い聞かせてきた。


「……傲慢だったのは、私の方か」


ステファノは自嘲気味に笑い、窓ガラスに額を押し当てた。ガラスの向こう側、遠くに見える教会の尖塔。その下にある古びた修道院で、彼女は今、何を想い、誰のために祈っているのだろうか。


彼は、彼女に贈った「アカデミーの計画書」を何度も見返した。それは彼女を繋ぎ止めるための契約書ではなく、彼女が自由に羽ばたくための翼として作ったものだ。だが、その翼が彼女を自分からあまりにも遠くへ運んでしまったという事実に、彼は今更ながら打ちのめされていた。


会いたい。


今すぐ車を走らせ、あの石造りの門を叩き、彼女を力ずくでこの腕に連れ戻したい。だが、彼は動けなかった。彼女の信仰と、彼女が愛する静寂を、自らのエゴで汚すわけにはいかない。


孤独な王は、暗闇の中でただ一人、夜明けを告げる鐘の音を待っていた。それが、自分にとっての唯一の、許されない救いであるかのように。




二人の間には、言葉も、視線も、触れ合う指先の熱もない。


ただ、ミラノの冷たい冬の風が、互いの名前を虚空へ運んでいくだけだった。

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