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針の筵な私

 色々邪魔が入ったけれど、3度目の挑戦だ。一応貴族令嬢の身としては、将来何処に嫁ぐかは気になるところ。11回目の婚約破棄も全然あり得るけどね。姉は結婚しないだろうし、跡継ぎである兄も結婚には消極的だから、せめて私は両親に孫の顔を見せてあげたい。まぁ、私は養子だから血の繋がった孫じゃないけど、あの両親ならそんな事気にせず喜んでくれるだろう。


「あら、やだ!もうこんな時間なのね。私はもう休むから、皆はゆっくりしていってね。会えて嬉しかったわ〜。じゃあ、おやすみなさ〜い」


 私が魔法の鏡を使う前に、姉は言うだけ言って皆に手を振りさっさと食堂から出て行った。姉は自身の美しさを保つ為に、念入りなお肌のお手入れと適度な運動、あとは十分な睡眠を徹底している。だから私達が放置されるのも仕方が無い。


「じゃあ、私も」


 姉がいなくなったこんな場所、とっととおさらばしなければ。自然な流れで退出しようと立ち上がると、なんか一斉に睨まれた。


「この、裏切り者!何処行ってたんだよ!僕の話も聞かずに!!」

「朝聞いたじゃないですか」

「聞いてない!殿下とばかり話して僕の事は無視してた!」

「被害妄想に私を巻き込まないでくださいよ。そもそも小公爵様が勝手に家に来ただけでしょ。お姉様との時間を作ってあげた私に感謝もしないなんて、私こそ裏切られた気分です」

「コイツ等がいるのに、ミファナと話せるわけないだろ!」

「それは私のせいじゃありません」 

「お前がミファナの部屋に行くようメイドに言ったんじゃないか!!」


 確かに、朝ティータイムをしていた時、皇太子と小公爵以外の元婚約者達が来たとメイドに耳打ちされ、皆纏めて姉の部屋に放り込んだのは私だけど、私に恋愛相談するより大好きな姉といられた方が嬉しいだろうという私の思いやりだ。


「皆さんお姉様と会うのは久し振りだったでしょう?お姉様、明日には神殿に帰ってしまうから、会わせてあげただけです」

「護衛も付けず、随分長く出かけてたな?俺達を持て成しもせず、何処にいたんだ?」

「公爵様には関係ありません。私的には最大限持て成したつもりですし」


 まるで針の筵だ。気丈に振る舞ってはいるが、冷や汗が止まらない。こんな理不尽赦されるの?10人中10人が何の約束もせず突然家に来てるのに、私が責められる意味がわからない。ここにいる全員皇族や上位貴族なんだから、礼儀作法とか習ってるよね?後忘れてるみたいだけど、好きな人が出来たからと一方的に婚約破棄しといて、平然と会いに来る神経もどうかしている。普通のご令嬢なら往復ビンタを炸裂させ、お茶会で婚約破棄してきた相手の悪口を広めたりするんだからね?広まってるのは10回も婚約破棄されてる私の悪評だけな事、そろそろ感謝してほしい。

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