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マイルドな私

「じゃあ改めて、もう一度鏡を使ってみたら?」

「あ、はい」


 兄に鏡を返してもらおうと手を差し出すも、何故か兄は鏡を握ったまま返してくれない。


「お兄様?」

「あ、悪い」


 気まずそうに鏡を返してくれた兄を不思議に思いつつ、もう一度鏡を使おうとした時、またしてもバン、とテーブルが叩かれた。そんなに家虫いるの?


「おかしいだろ!」

「はい?」


 今度は皇太子がテーブルを叩いたようで、何故か怒ったように私を睨み付けていた。


「そのような貴重なものなら、皇家に献上すべきじゃないのか!?しかもミファナとお揃いだと!?それを受け取るならお前を私の敵とみなすぞ!!」

「そんな馬鹿な」


 今更何言ってんのこの愚か者は。今まで寝こけてたの?姉妹で仲良くお揃いにしただけで皇族の敵になるとか、意味がわからな過ぎる。


「…この鏡、欲しいんですか?」

「ああ」

「ならお姉様に許可を取ってくださいよ」

「なんだと!?」

「当たり前でしょう?お姉様が私にくれたものなんですから」

「…………」


 愚か者な皇太子が、姉にお願いなんて出来るわけがない。6年も姉に片思いしているくせに、未だにデートの誘いすらした事がないヘタレだし。


「ねぇミファナ。あの鏡僕が貰っちゃ駄目かな?君とお揃いのものが欲しいんだよね〜」

「あら、可愛いお願いね。どうしましょう?」


 ヘタレがヘタレている間に、姉の隣に座っていたチャラ男が姉の髪をクルクル弄りながら、巫山戯た事を言っていた。私が11歳の時に婚約していた彼、ミザリオは姉のお気に入りだ。異性としてじゃなくて、姉を持ち上げるのがこの中で一番上手いから、だけど。


「ミーニャちゃんはどう思う?」

「図々しいな、って思いました」

「あらそう?」

「え〜?酷くな〜い?」


 全然酷くない。寧ろブーメランを投げ返してやろうか。姉がくれたプレゼントを奪おうとするとか、人として終わっている。しかもただお揃いが欲しいってだけで。そもそもお揃いが欲しいなら、自分で買えばいいだけだ。姉は美しいものならなんだって喜んで受け取るから、お揃いしたい放題なのに。


「せめて一度は使わせてくださいよ。せっかくお姉様がくれたんだから」

「そうね。気に入らなければあげたらいいわ」

「そ、そう?でも、人の手垢まみれなものって嫌だなぁ~」

「なんて可愛い鏡ちゃん。頬擦りしてチュッチュしてあげまちゅね〜。んーまっ、んーまっ」


 あまりのウザさに手垢どころか鏡の両面頬擦りした後、鏡にキスの雨を降らせてやった。自分のものには唾つけろって言うしね。姉には大変好評だったけど、兄や元婚約者達からはドン引かれた。姉もよくこういう事してるけどね。姉に比べたら、寧ろ私はマイルドな表現だったって言ってやろうかな?

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