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魔法の鏡と私

「神殿の鏡も素敵だけど、やっぱり我が家の鏡が一番よね〜」

「そうか。もっといい鏡を今度プレゼントしよう」

「まぁ!ありがと〜」


 楽しそうにお喋りしながら食事をする姉達と違い、私と兄はテーブルの隅で息を潜めて食事をしていた。


「鏡なんてどれも同じなのにな」

「お姉様には違うんでしょ…」


 何が違うのかはわからないけど、姉曰く映りが若干違うらしい。昔何時間も説明された事があるけど、ひたすら『へー』と繰り返すしかなかった。だってこの鏡は何処産で〜とか、この鏡とこの鏡は相性がいい、なんて話されても全然何言ってるかわかんないし。

 兎に角姉は鏡が好きだ。否、鏡に映る自分が大好きなのだ。昔姉の好きなタイプを聞いた時、即答で自分と返されてしまい、元婚約者達にその事を伝える事が出来ず墓まで持っていこうと誓った。


「そうそう!ミーニャちゃんに私とお揃いの鏡を持ってきたのよ〜!この鏡、魔法の鏡なんですって!ほら、普通の鏡とは輝きが違うでしょ?」

「ホントだー」


 輝きが違うのは取手とかに宝石が散りばめられてるからじゃない?なんて、野暮な事は勿論言わない。


「ありがとうございます」


 メイドが持ってきてくれた鏡を手に持ち自分を映す。魔法と言われたら少しばかり興味が出てくる。何せ私の前世では魔法なんて存在しなかったから。この世界には魔法は当たり前にあるけど、14年生きた今でも、未だに自分が魔法を使っているのが不思議で仕方ない。


「ほら、あの言葉を唱えて願いを口にするの。そうすると鏡に答えが映るのよ」

「た、例えば?」

「うふふ、そうね。『鏡よ鏡、鏡さん。明日着るドレスを選んでくれる?』」


 昔姉に教えてあげた前世で有名だったフレーズを鏡に向かって唱えると、姉が持っていた私とお揃いの鏡が光だし、鏡に何かが映し出された。


「ほら、明日はこのドレスがいいんですって!」

「わぁ、凄い!」


 鏡には姉のお気に入りのドレスが映し出されていた。こんな便利な鏡があるなんて、魔法って凄い。


「凄いでしょ!この鏡、世界に二つしかないんですって〜!」

「えっ」


 そんなに凄いものを私が貰っていいの?チラリと皇太子を見るが、とくに不満そうには見えない。普通こんな貴重なものは皇族にあげるものなんじゃ?


「使わないのか?」


 隣に座る兄が、興味深げに私が持つ鏡を見ている。まぁ、誰も文句言ってこないしいいのかな。私も使ってみたいし。


「うーん、じゃあ…『鏡よ鏡、鏡さん。私の将来の旦那様は…』」


 今一番心配な事を口にしようとした時、バン、とテーブルが強く叩かれ、驚き過ぎて鏡を手放してしまった。咄嗟に兄が鏡をキャッチしてくれたから鏡は無事だけど、いったい何事。


「あら?皆どうかしたの?」

「虫がいたんだ。驚かせてごめんよ」


 テーブルを叩いた犯人は、私が10歳の時に婚約していた皇太子の弟であるノール。虫も殺せないような顔してるのに、殺意が高過ぎる攻撃を虫に食らわせたな。テーブル穴空いてるんだけど…弁償してくれるかな?

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