返ってきた鏡と私
眠たい頭でぼんやり兄とミザリオの言い争いを聞く。ミザリオが抱き着いているから、その暖かさでまた寝てしまいそうだ。
「お前たち、いい加減にしろ。ミィナ、近い内に城に来てくれるか?ドレスの試着をしてほしいんだ」
「ドレス?…ああ、わかりました。じゃあお姉様をお誘いして近々お伺いしますね。日時が決まったらご連絡します」
「あ、ああ。わかった」
姉の話をした途端、視線を泳がせる皇太子のヘタレっぷりを見ながら、欠伸を噛み殺す。ジェルミーに視線を移すと、ジェルミーと目が合い手招きされた。だから私は抱き着いているミザリオを引っ剥がし、ジェルミーの元へと飛んで行く。
「ありがとう。実は今日、ミィニャ嬢に返さないといけない物を持ってきたんだ」
「返す…?何かジェルミー様にお貸ししていましたっけ…?」
そんな物あったっけと首を傾げていると、ジェルミーは懐から何かを取り出した。
「これ。マーシャが壊したって聞いたよ。修復に時間がかかって返すのが遅くなってしまったけど…はい」
そう言って差し出されたのは、姉から貰った魔法の鏡だ。マーシャが壊した後、そのまま持って帰ってしまい、すっかり存在を忘れていた。
「直してくれたんですか…ありがとうございます」
「いや、壊したマーシャが悪いから…ごめんね」
鏡を受け取り割れていない鏡を見る。そう言えばこの鏡、皇太子たちが欲しがっていたっけ。チラリと皇太子を見ると、不満そうに鏡を睨みつけていた。
「余計な事を…」
ノールも舌打ちして顔を歪めている。私はそっと鏡を背中に隠し、ジェルミーに微笑みかける。
「この鏡、一生大事にしますね!」
次は誰にも壊されないよう、しっかり保管しておこう。というか、この鏡を使えば皇女の居場所がわかるかもしれない。なんてタイミングがいいんだ。




