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お守りと私

 眠気覚ましにオレンジジュースを飲みながら、今夜は何処に忍び込もうか考えていると、アーチェルドがチラチラ私を見ている事に気が付いた。


「アーチェルド様、帰りたいなら帰っていいんですよ。寧ろこっちは帰ってほしいんですから、遠慮なさらずどうぞお帰りください」

 「なっ、ちが…お前は直ぐ僕たちを追い出そうとするのをやめろ!僕は別に何の用もなくお前に会いに来てるわけじゃないんだからな!?」

「大した用じゃないでしょう。お姉様のお話はもう聞き飽きました」

「今日は違うぞ!」


 バン、とアーチェルドはテーブルに何かを叩きつけるように置くと、ふんと鼻を鳴らしそっぽを向いた。好きだった時は照れ屋さんで可愛いな、と思っていたけど、今はツンデレウザいとしか思わない行動だ。


「またお守りですか?」


 アーチェルドたちは何故かお守りとしてよくアクセサリーをくれる。まぁ、大体兄に壊されるんだけど。


「そうだ。前のはお前の兄が壊したからな。今度は絶対、誰にも触らせず肌見放さず持ってろよ!」

「お前…懲りないな…。ミィを四六時中監視するなんて、俺が許すと思ってるのか?」

「煩い!今回は皇帝陛下からの依頼でもあるんだぞ!シュノアートの連中がまた来たらどうするんだ!」

「ルーディス、悪いが今回は壊すなよ。シュノアートから奴等の返還要請が来ているんだ。だが、記憶操作が出来なかったそうだ。つまり、奴等にしっかり名乗ったミィナは今後狙われる」

「……は?嘘だろ?」


 テーブルに置かれたお守りのネックレスを取りながら、兄たちの会話に耳を傾ける。奴等って、もしかしてあの貴族たちの事だろうか?


「あの人たち、シュノアート帝国に帰るんですか?」

「うん。あの1番騒いでいた男、シュノアートの宰相らしくて。シュノアートから返還要請が煩いんだよね…」

「そうなんですか…」


 あのしつこい男は宰相だったのか。なら宰相が皇女のお世話をしてたって事?なんで?


「彼等はいつ頃シュノアート帝国に帰るんですか?」

「まだ決まってはいないよ。でも、恐らく来週中じゃないかな」

「そうですか…」


 困った。来週中に皇女を見つけられなかったらどうしよう。


「大丈夫だよ」


 ガシガシと親指の爪を噛んでいると、ジェルミーに肩を抱き寄せられ、そのまま私はジェルミーの太ももに倒れ込んだ。


「え…」

「疲れてるみたいだし、少し眠った方がいいよ。後は僕が何とかするから。大丈夫、僕は人探しが得意なんだ」


 ジェルミーの手が私の目元を覆い、視界が真っ暗になる。好きな人の膝枕にドキドキしてしまうが、段々眠気がやってきた。どうして私が人探しをしているのを知っているのかを聞く前に、私は意識を手放した。

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