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引き籠もりな私

 あの後私は御者に命じ、皆に挨拶もせずさっさと家に帰った。今は誰とも話したくなくて、家に着くとそのまま部屋に籠もり、その日を終えた。色々と疲れる1日だったけど、ジェルミーと会えたのでプラマイゼロだ。

 でも暫く私は自分の部屋から出ず、誰とも会わない暮らしをした。兄や元婚約者たちが空気を読まず何度も私の部屋を訪ねて来たけど、全て綺麗に無視してやった。そして引き籠もり生活1週間後、私は部屋の扉を蹴破る勢いで押し開けた。なんでって?ジェルミーが私に会いに来てくれたからだ!扉を開けた瞬間、ジェルミー来訪を伝えに来てくれた兄が泣きそうな顔をしていたけど、それに構わず私はジェルミーが待つ客間へと走った。


「ジェルミー様!!お待たせいたしました!!」


 ノックも惜しみ直ぐ様開け放った扉の向こうに、優雅にティーカップを持つジェルミーが居た。


「ミィニャ嬢、久し振り。よかった、元気そうだね」

「はい!すっごく元気です!」


 小走りでジェルミーのもとまで行き、ピタリとくっつくようにジェルミーの隣に座る。


「会いに来るのが遅くなってごめんね」

「いえ!忙しい中会いに来てくださりありがとうございます!」

「本当は直ぐに来るつもりだったんだけど…あ、それ…着けてくれてたんだ」


 ジェルミーが私の左手を握って微笑んだ。私の左手の薬指には、以前ジェルミーに貰った指輪が着いたままになっている。婚約は有耶無耶になってしまったけど、取りたくなくて着けたままにしていた。


「はい…お返しした方がいいでしょうか?」

「いや、そのまま着けてくれてたら嬉しい」

「はい!一生着けてます!!」


 ギュッとジェルミーの腕に抱き着き、幸せを噛み締める。


「…いつまで私たちを無視するつもりだ?」


 私とジェルミーの2人だけの世界に、突然余計な声が聞こえて来て、私は周りを見渡した。


「…いらしてたんですか」


 いつからいたのか、皇太子とノール、アーチェルドが苦虫を噛み潰したような顔をしてソファーに座っていた。兄も部屋の扉の前で気不味そうに突っ立っている。


「僕たちはお前が来る前からずっとここに居たんだぞ!」

「そうなんですね。全然気付きませんでした」

「…まぁ、いいんだけどさ。1週間も姿を見せないから心配してたんだよ」

「たった1週間じゃないですか…それに、1週間くらい放っといてもらえませんか?毎日来られるのは迷惑なんですけど」


 そう、皆毎日毎日私の部屋の扉をドンドンドンドン叩くから、非常に迷惑していたのだ。心配しなくていいとメイドに伝えていたし、皆にもメイドがちゃんと伝えた筈なのに。


「迷惑だと?私たちは心配で来ていたんだぞ?」

「心配はいらないとメイドが伝えている筈ですが」

「ずっと部屋に籠もってるのに、心配しない筈ないだろ!」

「はぁ…」


 心配してくれるのは嬉しいけど、少しやる事があって部屋に籠もっていただけで、心配されるような事は何もしていない。


「私ももう14歳だし、そろそろ反抗期に入ろうと思っているんです。だから暫く皆さんとは距離を置きたいです」

「えっ…み、ミィ、俺は側に居ても良いんだよな…?」

「反抗期で1番被害を受けるのは家族だと思いますよお兄様」

「え?」


 まぁ、反抗期に入るっていうのは嘘だけど、それ以外の言い訳が思い付かない。もう暫く私は部屋に引き籠もる予定だから、今みたいに毎日訪ねて来られるのは非常に困る。

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