婚約破棄を10回された私
10回目婚約破棄。公爵令嬢としては異例中の異例だろう。10回も婚約破棄されるくらいだから、私に問題があると思う輩も多い。でも実際は、毎回相手が原因で婚約破棄されている。しかもその原因は毎回同じ。
私の婚約者になる人が皆、同じ女性を好きになってしまうのだ。
毎回毎回、まるで呪いのように。
皆が愛してしまうその女性は、この国の聖女と呼ばれる人間だ。
美しい金の髪に、透き通った青い瞳。まるで神に愛されているかのような美しい容姿を持ち、心やさしい彼女に皆が皆恋に落ちる。
10回目の婚約破棄。10回目の失恋。
初恋は8歳の時に出来た初めての婚約者。皇太子だった彼を一目見た瞬間、その美しさに恋をした。私は彼に夢中だった。でも婚約して丁度半年後、彼に婚約破棄された。他に好きな人が出来たと言われ。
失意の中、両親は直ぐ様他の婚約者を見つけてきた。失恋の傷が癒えていなかった私は、渋々新しい婚約者に会いに行った。そして私は2度目の恋に落ちた。
そしてそこからは毎回同じ。婚約者は聖女に恋し、半年で婚約破棄され私は次の婚約者に恋をする、の繰り返しだ。私が惚れっぽい性格のおかげで、さほど婚約破棄に傷付かずにすんでいるが、一つだけ、大きな問題があった。
それは私の元婚約者達が揃いも揃って、何故か私に恋愛相談してくる事だ。
最初は必死に相談に乗っていた。でも段々、なんか馬鹿らしくなって適当にあしらうようになった。
元はといえ、夢中になる程好きだった人から恋愛相談されるのはそれなりに傷付くものだ。そんな私に気付く事もなく、聖女に対する自分の気持ちを延々語る野郎共に愛想も尽きる。