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腕の骨が痛い私

 食堂から後一歩で脱出、というところで私の腕が後ろに強く引っ張られた。


「鏡を渡してください」

「はい?」


 振り向くと、スフィン辺境伯が眉間にシワを寄せ私の腕を掴んでいた。彼とは先日婚約破棄されたばかりだからか、目を合わせるのはまだ少し気まずい。


「鏡って、お姉様がくれた魔法の鏡のことですか?どうして渡さないといけないんです?」

「私が預かります」

「な、何故ですか?」

「気に入らないからです」

「何が?」

「わかりません」

「は?」


 一体なんなんだ?彼は人のものを欲しがるような人じゃなかったはずだけど、掴まれた腕は鏡を渡すまで離さないとでもいうように強く握り締められている。 


「一度使ったらお渡ししますから、手を離してください」

「願いはなんです?先程仰っていたことですか?」

「そうですね、今のところは」

「……………」

「い、痛いんですけど…」


 強く握られ過ぎて腕の骨が痛い。


「まだ私が婚約破棄して一カ月も経っていないのに、もう他の男に目移りするんですか?」

「は、はい?」


 今この男はなんて言った?いや私の耳がおかしくなっただけ?そうじゃないならぶん殴っていい?


「婚約して半年でお姉様に目移りしたのはそっちなんですけど…」

「聖女を愛さない男がこの世に存在するとお思いですか?」

「お兄様がいますが」

「彼は聖女と血縁ですからね。聖女の魅了は唯一血縁者には効かないんです」

「魅了?」

「あ…い、え…なんでもありません…おかしいな…私は何を言っているんでしょうか…」

「気が狂ったようなことを仰ってましたね」

「…そうですね」


 私の手を握る力が弱まったので、私は思いっ切りスフィンの手を振り払い、華麗に食堂から脱出した。

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