反抗期かな
「…何か怪我してんな」
血の臭いがする方向からはちゃんと追っている匂いもしてくる、なのでちょっくら近道をする事にした
スッと曲がって人の視線が遮られた狭い路地へと飛び込む、そして誰もいないのをざっくりと確認してから『肉体操作(魔)』を起動すると…自分の左腕を引き千切る勢いで伸ばした
「んでコレを屋根に投げ上げてやりながら『肉体操作(魔)』で追っかけてやれば…!」
途中だけ歪に細長くなった左腕を屋根の上へと投げ上げる、安直に腕だけ伸ばしたところで俺の体はゴムゴムの〜では無いので上手くいくか分からない、ならばと考えたのが『肉体操作(魔)』を素直に使うのではなく形状を元通りにするという巻き戻しを使った小細工だ
べしゃりと屋根に落ちた左腕、それを動かして何か腕を固定できるものを探す
「おっ、あったあった」
『肉体操作(魔)』でその出っ張りを巻き込むように肉と骨を変形させて掴み、そのまま元通りの人間の形へと戻す。すると固定された左腕がこちらへ戻って来ず、逆に固定された左腕に本体である俺が引き寄せられていくわけだ
メシメシと骨や筋肉を傷めながらも俺は屋根の上へと到着する、だが俺の左腕には相当の負荷がかかっていたようでダラリと下がったままで自分の意思では動かそうにも動かなくなってしまった
「苦痛耐性で痛くないけど魔物相手に片腕が使えないのは不安だし、何よりいきなり現れた俺がこんな怪我してたらびっくりするよな」
そう言って俺はこの短時間で大活躍しまくっている『肉体操作(魔)』を使って躊躇なく自分の首をバツンと分断した
一瞬意識が途切れて目覚めると俺は無事に屋根の上でぐでーんとした体勢で蘇生された、これで損傷はゼロだ
「じゃあここからは近道だな」
俺は屋根の上でクラウチングスタートを構え…勢いよく走り出した、そして屋根の端から空へとジャンプすると同時に『身軽』と『飛行』を起動することでふわりと俺の体は宙を駆ける
時を駆けられるように叫ぼうか迷ったがどう考えても不審者になってしまうし、ワンチャン屋根に登ったのを怒られるかもしれないのでやめておく
死んだ分ほんの少しだけタイムロスはあったがこのまま屋根を伝って一直線に現場に向かえばそれなりに速く到着できる
だがここで俺は気づいてしまった
「あれ?ナイフが飛ぶんだからそれ足場にしたら話早かったんじゃね?」
スルリと懐からラジコンナイフを取り出して並走させてみる、当たり前のようにナイフはピッタリと並走した
ナイフを移動させ足場にして蹴ってみる、屋根を中継する必要が無くなって本当に一直線に移動できるようになった
つまり俺はさっき謎解きを遠回りしたうえに無駄に一回死んだ
「け、結果良ければ全てオーライっ!」
俺が1人で馬鹿なことを言ってる間に現場に到着した、恐らくアントニオたちが来るまではまだもうちょっとかかりそうかな
のんきに草を食ってた四本角の牛の姿は消え、農場にはゴブリンが5匹とそこそこに怪我をした男が1人いるのを空中から確認して一旦様子見を選ぶ
『ギャギャギャ!』
「くそっ、アントニオさんはまだなのかよ!」
なんか結構ピンチそうだし、次の瞬間男がバラバラのグチャグチャに!とかなっても寝覚めが悪いので様子見はやめてさっさと助ける事にしよう
浮遊状態を解除してゴブリンたちと男の間に着地する、突然現れた俺に両陣営驚いていたがそんな事は知ったこっちゃない
「さよならグンナイまた来世、っと」
テキトーに投げたラジコンナイフはゴブリンたちの頭上へとバラバラに舞い、そこからカクンと軌道を曲げてトトトッて感じの小気味いい音と共にゴブリン達の脳みそを貫いた
5匹全員が短く悲鳴を上げパタリとその場に倒れ伏す、魔物の血がどのくらい環境に悪影響を及ぼすかは分からないがそこはまぁ何とかしてもらおう
「大丈夫か?」
じゃあせっかくだからと言われても正直何も出来やしないが様式美ってやつだかは一応声はかけておく、いつの間にか腰が抜けたのか地面にへたり込んでいる男へととりあえず手を伸ばした
ヘロヘロと弱々しく震える手でこちらの手を掴んできた男を引っ張り立たせてやるとちょうどアントニオたちが到着した
「ナトン!大丈夫か!!」
「あ、アントニオさん…!無事です!この人が助けてくれて…」
「ポチ?!何故ここに!?」
「いや、まぁ、なんかこう…なんとかして…?」
明らかに誤魔化そうとしている俺にアントニオはでっけぇため息を吐く、だがこれ以上は今は詮索しないでいてくれるようだ
「とりあえず!魔物の死体を処理しよう、このままじゃ家畜が怯えるし魔物の血の臭いが別の魔物を呼びかねない」
あぁやっぱ何かしら悪影響はあるんすね、ちょっと罪悪感を抱えつつも死体の処理を手伝った。カバンに仕舞っちまえば一瞬だけどぶっちゃけこのアイテムがどれくらいの希少なのか分からない、分かるまでは人前で不用意に使うのは避けた方がいいだろう
……なんだろうしばらくしたら忘れて普通に使いそう
結局作業が終わったのは日が傾いて夕方頃だった、まさか森の奥の方に捨てにいくとは…てか鎧を着て槍片手にゴブリンの死体を2匹も軽々と運ぶってアントニオさんの馬力高すぎだろ
「ふぅ、なんとか夜までには片付いてよかった。流石に臭いもキツイだろ、洗浄魔法をかけるからできるだけ近寄ってくれ」
戦場魔法?やだ何それ物騒………えっ洗浄のほう?!そんな便利なのあるの?!生まれてこの方水浴び以外出来ていない蛮族ボーイとしてはめちゃくちゃ助かるんだがもっと早くそれの存在知りたかった!!!
内心で大暴れする俺、そしてかけてもらった洗浄魔法はとてもとても素晴らしかった。
アントニオの洗浄魔法気持ち良すぎだろ!
綺麗さっぱりしたついでに洗浄魔法についてアントニオに聞いてみたら低い魔力量でも扱える生活魔法というのがこの世にはあるらしい、素敵仕様だな異世界…現世にあれば全世界の家事がラクになる事だろう
綺麗になった後、俺を宿屋へと案内するついでに飯に連れて行ってやるとアントニオに言われたのでお言葉に甘える事にした。アントニオのアニキ、めちゃくちゃ面倒見てくれるじゃん…推しになりそう
飯もそこで食えるという事で着いたのはファンタジー世界のイメージそのもの!って感じの宿屋だった、大きなメインホールには椅子と机、奥には2階へ続く階段と調理場兼カウンターがあって2階が宿スペースらしい
「この宿の飯が美味くてな、ここだけの話……俺はそこらの飯屋に入るよりここに来る!」
そこまで言われてしまえば期待せざるを得ない、程なくして運ばれてきたのは1.5人前って感じのボリュームたっぷりなミートパイだった
「なるほど、牛と小麦…」
「なんだこの料理の材料が分かるのか、本当にポチは物知りなのかそうじゃないのか分からない奴だ」
「ちょっと頭の良いゴブリンくらいに思ってくれりゃいいよ、何せ小悪党ではあるからね」
「ほほーう?小とはいえ悪党なら拘束しないとだな?」
「勘弁してくれよ、リンゴ一個と短剣と衣服しか追い剥ぎしてないから許してくれ」
談笑しながら食う文化的な飯は泣きそうになる程美味かった、ミートパイなんだから当たり前なんだがカリカリのパイ生地の下から前世で食べていたのと遜色ない肉汁溢れるアツアツのミートが出てきた時はこの世界にはオーブンが有るのかと驚いた
しかしこれも生活魔法を利用しているらしい、生活魔法が便利すぎてもはや引くわ
場の空気も温まってアントニオにも酒が回ってきたのを見計らい、俺はずっと言おうとしてた相談を持ちかける事にした
「なぁアントニオ、実は相談があるんだ」
「なんだ?一生養えってんなら性転換の呪いでも受けてからにしてくれよ?」
「アハハ…そうじゃなくて、俺自分で金を稼ごうと思うんだ」
「ほほーう?良い心がけじゃないか…で?何をやるつもりなんだ?」
「魔物を退治して金を稼ぎたい」
そう言った瞬間、酒気をおびて上機嫌そうだったアントニオの雰囲気が僅かに変わった
「(やべ…なんか地雷踏んだか…?)」
そう思って思わず緊張した俺にアントニオは一転して少し悲しげな、それでいて真剣な表情を向けて肩に手を置いてきた
「ポチ、一つだけ質問に答えてほしい」
「お、おう…?」
「お前…朝あった頬の引っ掻き傷、どうして治ってる?」
「っ?!」
「別にお前を魔物だって疑ってるわけじゃない、もしそうなら真実の石板の時に自白してるはずだからな…」
「そ…れは……えっと…」
マズイマズイマズイマズイマズイマズイ!枝か何かで出来た引っ掻き傷に気づかなかった、苦痛無効のせいだ!
なんの気なしに『絶対天命』で傷を回復したのがまさかこんな展開になるなんて思いもしなかった…!!
「お前が捨てられた原因でありハイウルフの餌にされても助かったスキル…それが傷を消したタネか?」
「それは…その……」
なんかアントニオのこの雰囲気は苦手だと感じた、なんかこう…学校の先生にイタズラを問い詰められてる時みたいな
というか俺が魔物退治で金を稼ぐ事と『絶対天命』になんの関係が…?!そうだそこを突いて話をうやむやにしよう!
「お、俺のスキルと魔物退治はどういう因果関係があるんだ……のですか?」
ハイ日和った〜!ハイ今俺ビビって切り返しじゃなくてお伺いをしましたー!
「…仮に傷を癒せるスキルならこんな言い方はしたくないが捨てるどころか“金のなる木”だ、仮に自分しか癒せないのだとしても騎士なり冒険者なり重宝されるだろう。それにハイウルフは餌を噛んで食うから自分で発動させる治癒系のスキルじゃまず生き残れない」
めちゃくちゃ鋭いなアントニオ?!俺この村に来てから永遠にお前にビビらされてる気がする!!
「ならお前のスキルは治癒系の形ではない、恐らくは修復すると言った方が近いようなスキルだ」
言われてみれば確かに分かりやすいから“蘇生”と言ってるがどちらかといえば『絶対天命』は死んだ俺をデフォルトの状態へと修復してるって表現した方が正しい気がする…
すごいなアントニオ、わずかな情報から短時間で俺の『絶対天命』への理解度がハンパない
「お前はその修復するスキルで負傷を“直し”ながら魔物を退治するつもりなんだろう?」
「えっ?あぁ…まぁ…」
急に話がつながってびっくりした、でも修復しつつ魔物退治するのがなんでこんなシリアスな空気に繋がるんだ…?
「…いいかポチ、お前は自分の命を軽んじてる。そんなお前を魔物退治に送り出すことはできない」
「えぇ?!いやいや待て待てそりゃ困るよアントニオ、俺持ってんの戦闘系スキルしかねぇんだって!」
「……ポチ、悪いな」
そう言って不意に何かを投げ渡される、咄嗟にキャッチすると同時に覚えのある嫌な感覚が襲ってきて俺は机に突っ伏した
アントニオが何かをキャッチしてしまった俺の手を上に向け、それが落ちないように握り込ませる…握り込まされた指の隙間から見えたのは
…真実の石板だった
「なんだよポチ〜!もうおねむかぁ〜?そういう所は歳相応だなぁ!」
突っ伏した俺に向かってアントニオは少し大きめな声でそう言って、そのあと俺にだけ聞こえるくらいの声量で話しかけてくる
「……お前は俺を怨むかもしれない、だが俺はお前みたいな幼い子供が自分の命を軽んじている現状に納得できないししたくないんだ…」
ぐわんぐわんと意識が揺れる、最初に石板を持たされた時よりもその感覚が激しい
もしかしたらコレは石板のせいじゃなくてアントニオに何かしらの魔法スキルをかけられているのかもしれない
「……一つめ、お前のスキルはどこまでお前を直せる」
「……俺にもわからない、でも可もなく不可もない状態に巻き戻ってる」
「……二つめ、スキルに発動条件はあるか」
「…俺が完全に死んだ時だ」
「なんだって…?!」
今度はアントニオが驚く番だ、ざまぁみろビビれビビれドン引きしろばーかばーか
そんな事を考えたからかガッと強めに肩を掴まれた
「お前っ!……じゃあ昼に顔の傷が消えたのは!」
「…現場に行く前にちょっと死んで回復しとこうと思った」
その時のアントニオの表情はなんかこう、ものすごかった
悲しそうだけど怒ってて、信じられないと叫びたいけど信じるしかなくて、そんでめちゃくちゃ悔しそうだった
「やっぱりお前に魔物退治はさせられないよ、ポチ」
「…それは困る、金を稼ぐついでにアントニオに恩を返さないと…借りを作ったままじゃ落ち着かない…」
こういうとこホント小市民だよなぁ俺、借りがあると気になって仕方ないんだよね
でも現代の日本に生きてる奴なら絶対わかる、借りを作ったまま…特に金銭での恩は返さないと不安で仕方なくなるぞ、覚えとけよ?
そんな反省どころか開き直ってる俺の内心を見透かしてるかのようにアントニオは次の手に出た、真実の石板を握り込んでる腕に何か腕輪が取り付けられた……えっ呪いのアイテム?おい待てよ性転換の呪いとか言わねえよなぁ!?
「…これはパーティを組んだ者同士が装着する腕輪だ」
アントニオのその言葉にホッとする、びっくりしたぁ〜呪われたらどうしようかと…
「…そしてパーティのリーダーには仲間のステータスを確認できる、そして俺のアイテムなりを使えばもしかしたらお前のスキルを封印できるかもしれない」
あっこれヤバいわ、なんも安心要素なかった。てかマジでやめろ?!死活問題だって!絶対天命の封印とかされたら俺ワンチャンあの神に八つ当たりとかされるんじゃねえの?!
やめろと叫ぶ事も出来ずにただ呻くだけに終わる俺の声、そしてアントニオは腕輪を自身にも装着して俺の腕に付けた腕輪と軽くぶつける…ぽわっと光ったのがパーティを組んだ証っぽい
「…ステータス、ポチ」
「…うぅぅぅッ」
「……なんだコレは…?!」
俺のステータスを見て絶句するアントニオ、そりゃそうだ『身軽』や『気配察知』はまだしも名前からして怪しい『餓鬼』に本来は人間が持ってないはずの『飛行』、極め付けはあからさまにヤバそうな『肉体操作(魔)』だ。今この場でお前は魔物だったのか!とか言って首落とされても不思議じゃない
その直後、アントニオが椅子を倒しながら立ち上がり俺が疲れて寝ているという体裁すらも忘れて揺さぶってきた
「この『苦痛無効』ってなんだ!こんなものが無効スキルに進化するほど体を直して来たのか!?」
えっ!そっち?!
「…森を出る時に入ったダンジョンで進化した、痛みが無くなって重宝してる」
「やっぱりお前を魔物退治なんかには行かせられない!いいか!お前はまだ子供なんだ、痛みを感じなくなるスキルを得るほど戦う必要なんか無い!!」
「…勝手なこと言うな、俺も生きるために必死なんだ」
そうだそうだ、もっと言ってやれ真実の石板で喋らされてる俺っ!
……ってか『肉体操作(魔)』には触れないの?もしかして俺が思ってるほどヤバいスキルでもなかったりする?
「悪いがお前のスキルは『気配察知』を除いて全部アイテムで封印させてもらう」
いやいやいやいや待て待て待て待て!それは困るって!シンプルに困るってのもあるけど『身軽』だけはやめてくれ!
「…やめろ」
「いやダメだ、こんなスキル危険だ…少なくともまずは都市で冒険者学校に通うなりして…」
「親父のスキルを、封印するな…ッ!!」
手の中にある石板を握り砕く、なんでこんなに力が出るのかは分からないがこんな不快な物をこれ以上触っていたくない。腕輪も引き千切ろうとするが相変わらず揺れ続けている意識のままでは上手く力が入らず壊せない…俺は無理やり体を起こして立ち上がるとナイフを1本懐から床に落とす
「やめろポチ!幻惑状態のまま無理に動くと危険だ!!」
「うるっ…せえッ!『肉体操作……(魔)』ッ!!」
声に大きく出すことで補助して無理やりスキルを起動する、そして床に転がった俺のナイフ…『肉体操作(魔)』によって操作されたラジコンナイフがふわりと浮かび上がらせ足に突き刺した
「おいポチッ!!」
突然口論を始めたかと思えば立ち上がって、しかも足に空飛ぶナイフが突き刺さるという異常な光景に他の客も宿屋の女将も絶句してポチとアントニオを見ていた
だがそんな事は関係ない、足にナイフを突き刺せば魔法スキルが解けるかと思ったが苦痛無効のせいで痛みがないからか正気に戻れない
…なら仕方ないな、次の手だ
「う、うぅぅぅ……!」
馬鹿みたいに唸りながら『肉体操作(魔)』でラジコンナイフを次の軌道に乗せる…狙うは心臓、『絶対天命』での状態リセット狙いだ
ビュンと空を切って俺の心臓目掛けてナイフが走ると同時にアントニオが叫んだ
「くそっ…!【キュア】!」
その瞬間意識がハッキリとした、ラジコンナイフは怪我を厭わずにアントニオが掴んだことで俺の心臓に刺さる直前で止まっていた
「もうやめてくれ、ポチ…」
懇願するようにそう言ってくるアントニオの顔は相変わらず複雑で…だけど僅かに悲しみの方が強くなっている気がした
俺とアントニオの間には転がった机と椅子や割れたりして散らかった皿の破片と食い物たちが散乱したままだ、それがどこか決別を意味するボーダーラインのように見えて少し虚しい
「……悪いアントニオ、やっぱ俺ここ出ていくよ…お金のこと教えてくれたり色々世話になった」
なんだか無性に疲れてそれだけ吐き捨てるようにアントニオへと伝えて店の外に出る、なんとなく店を出る直前に振り返るとアントニオはただ黙って悔しそうに俺を見つめていた
かなり店を騒がせてしまったし、アントニオは俺の事を気遣ってくれたんだと理解はしている…
それでも俺はアントニオの言葉と行動には従えなかった、親父のスキルを封印されたくはなかったし子供だからという理由で自由を縛られたくなかった
「…門番には伝えたわけだし出ていくのなら勝手に通ってもセーフだよな」
別に積極的に戦いたいからスキルを封じられたくなかったわけじゃない。俺は居るのか知らないが魔王を倒すとか、俺より強いやつに会いに行くとかそんな主人公みたいな行動を取る気はさらさら無い
ただ思うがままに生きたいだけだ
我ながら思春期の子供の癇癪みたいだと思った、こりゃ精神は肉体に引っ張られる説はやっぱ有るな
そんな事を考えながらトボトボと村を出ようとしたその時だった
「今日は泣きそうな顔してるんだね?まじゅちゅし君?」
そう声をかけられて顔を上げると、すぐ目の前にはあの時のちょっと意地悪でグイグイ来る小娘がいた