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残念ね、私はそんな仕事はしてないのよ

 人をダンプカーか何かみたいに言うギルバートはあとでお仕置きするとしてその女の子、目立った外傷があるわけではなくってショック死みたいね。こんな子どもを死に至らしめるショックを私のお腹が与えたなんてのは何かの間違いでしょうけど、首が飛んでたりしなければきっと上手くいくわ。──そう、私の『夢想の住人』ならね。


「う、うーん……じゃぁ綺麗なお姫様でお願い……します……」

「起きなさい。もう大丈夫なはずよ」

「はっ!ここは……」

 ほら、ね。なんだかいい夢でも見ていたようですけど、それくらいにバッチリ生き返ったわ。

「あ、あれ?私、生きて──」

「そうよ。あなたは死んでなんかいないですわ。ちょっと柔らかな温もりに包まれて寝てしまっただけですのよ」

「え⁉︎じゃあさっきの女神様とか転生ボーナスとかは全部夢なのっ⁉︎ちょ、戻してください、夢でもなんでもいいから、私はお姫様になって世界中のイケメンを奴隷にしてはべらせられたのに!」

 えぇ〜。私のお腹はこの女の子を異世界転生させようとしていたの?私を轢いたあのトラックのように?ていうか欲望が潔いほどに醜いわね、この子。




「す、すみません。取り乱しました」

「まさかお嬢様の質量かける速度がそんな大型の鉄の塊と並ぶほどとは思いませんでした」

 落ち着いた女の子はともかくとして、ついでにお仕置きしたはずのギルバートの弁がこれなのはおかしくないかしら?まあ、いいわ。大事なのは私が証拠隠滅に走る必要は無くなった事なのだから。


「それにしてもあなたのような子どもがこんな夜中にひとりで何をしていたのかしら」

 見ればまだ10歳ほどくらいにしか見えないその女の子ですけれど、この辺りでは夜中のひとり歩きが当たり前なのかしら。

「あ、あのっ、この辺りに衛兵さんの詰め所とかありませんか⁉︎私は助けを呼びたくって」

「助け、ですか。お嬢様、ここはスラム街がほど近く詰め所もあります。案内してきてもよろしいでしょうか」


「ギルバート、それだと大事な“お嬢様”をスラムに近い危険なところに放置することになりそうだけどそこはいいのかしら」

「この娘の記憶が戻った時に共犯者になる恐れがありますので」

「それは大問題ね。なら衛兵のところになど行けないわ」

「ええっ、よく分かんないですけどそれじゃあご主人様が助けられないです!」

「ご主人様?あなたどこかの使用人なの?」

「そうです!オインク伯爵様のお屋敷で住み込みで働いてるのですけどそこにっ、強盗が入ってきて──」

「お嬢様、近ごろ貴族や裕福な商家などを狙った強盗団が出て今月もすでに二軒が被害にあっています」




「ねえ、ギルバート。おしとやかな私ならこういうイベントの時に消極的な選択をすると思っているでしょうけれど、私はだいたいセリフも読まずにボタンを連打してるからいつも巻き込まれるルートな危ない女なのよ」

「何の例えなのかよく分かりませんが、まさかお嬢様は──」

「助けに行くわよ、私の無敵のこの能力で!」

 ジョギングとどっちが痩せるかしら。

「ふふ、夜の街ってスリリングなのね」

「無灯火、脇見、ボタン連打の漫然運転では危険ばかりでしょう」

「事故はなかったのよ。いくわよっ!ギルバート!」



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