退屈凌ぎの術
更新遅れてしまい申し訳ありません。
今後とも「夜にまた。」を宜しくお願いします。
僕とヨルは一週間前に出逢ったこの小さな山で再開した。
僕達は山を登り頂上を目指していた。
「お前もつくづく暇なんだな」と僕は言い放った。
「ククッ失礼な奴だな」
ヨルは少し不満げに答え続けて言った。
「妾には大義があるのじゃ、小僧と一緒にしてもらっては困る」
何を言っているのかさっぱりわからない、やっぱりコイツは筋金入りの厨二病患者だと思わざるを得ない。
「はいはいご苦労様です。で、お前が今夜またこんなとこにいた事とその大義とやらは関係あるのか?」
皮肉を込めて僕は言った。
「いいや、それとこれとは別じゃ、妾は退屈が嫌いでのぉ退屈そうな顔をしていた小僧の小根を叩き直してやろうと思うて、わざわざ此処で待っていてやったのじゃ!感謝せい」
どれだけ押し付けがましい奴なんだ…
「結局の所、お前も退屈してただけなんだろ?」
「ちっ違うわい!妾には大義があると申したじゃろうに」
慌てたように早口でそう言った。
自分でも矛盾している事に気付いていない。
あながち僕の言ったことは的を射ていたようだ。
「図星か?」
僕はヨルを揶揄うことが楽しくなっていた。
ヨルの反応が面白いので、あえて核心を突くように問い詰める。
「くっ……」
ヨルは一瞬口籠った後、開き直ったかのような態度で言った。
「まぁなんじゃ、そなことはどうでも良いではないか、折角妾が退屈凌ぎの術を教えてやろうというのじゃ、この機を逃す術はなかろう」
コイツ完全に話を逸らしやがった。
そしていちいち恩着せがましいこの態度には呆れるを通り越して清々しくも思えた。
「あぁもういいや、それでその退屈凌ぎの術ってのはなんなんだ?」
「あーそれは今から考えるところじゃ!」
予定は未定だったようだ。
よくもまぁ自信満々に言えたものだ。
まぁコイツ相手にあれこれ考えても無駄だと言うことは、もう何となくわかったきた。
とりあえず今夜は、ヨルの言う退屈凌ぎの術とやらに付き合う事にしよう。