再会
謎の少女”ヨル”と出逢ってから一週間が経ち、
僕の通っている学校は夏休みが始まっていた。
一般的な高校生からしたら、夏休みは高校生活におけるビックイベントなのだろう。
しかし、友達のいない僕にとって夏休みはただひたすらに時間を無駄に浪費するだけの期間だ。
僕は、人並みの学力はあるが、勉強が特段好きな訳ではない。
時間が無駄に余っているからといっても、能動的に勉強する程、出来の良い人間ではない。
僕は、ただやらなくてなはならない事をやるだけで良いと思っている。そこに強制力が働かなければ僕は何もしない。
そうやって今まで生きてきた。
ただ、学校に行かなくて良いという事実は単純に喜ばしいことではある。
何故なら、この一ヶ月と数十日間は人との関わりを避けることができるからだ。
我ながら捻くれているとは思うが、今更自分を変えようとは思えない。
__________日が沈む。
そして夜が来る。
ようやく僕の愛しの時間が幕を上げる。
今日は一週間ぶりに星を見に行こう。
お気に入りのスポットに向かい山を登る途中ヨルの事を思い出していた。
柄にもなくまた逢いたいと微かに思っていたのも束の間に山の上から声がした。
「相変わらず、しけた面をしておるのぉ小僧!」
ハッと上を見上げると、そこにはヨルが立っていた。
僕は微かに喜びを感じていた。
何故だかわからないが、僕の心はヨルに惹きつけられてる。
少し口元が緩む。
「生まれつきだ」
僕は、冗談まじりで言葉を返す。
ヨルとは出逢ってからまだ二回目の筈だが、何故だか話すことに抵抗がない。
ヨルからは何か懐かしい雰囲気がする。
ヨルには、人の心を開かせる何か特別な力があるのではないかと思わざるを得ない。
そんな馬鹿げた妄想をしながら僕は、
「今夜は楽しくなりそうだ」と柄にもなく思うのであった。