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【アニメ化決定】報われなかった村人A、貴族に拾われて溺愛される上に、実は持っていた伝説級の神スキルも覚醒した  作者: 三木なずな
第三章 海の神

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37.人魚姫太郎

 話が終わって、俺はエヴァとともに謁見の間から外にでた。

 最後まで威厳を保って去った方がいい、という事で、俺はエヴァに乗って外にでた。


 皇帝と大臣らに見送られる中、ゆっくりと空を飛ぶ俺達。


 とりあえずは――。


「すごいな、エヴァは」

『本当に!?』

「ん?」


 なんだ? 今の返事は。


『やったー、パパに褒められた』

「エ、エヴァ?」

『どうしたのパパ』

「その口調は……?」

『あっ、これ? もう他の人もいないし、いいよねパパ』


 エヴァはさっきまでの威厳たっぷりな声色と違って、12歳くらいの活発な女の子の様な口調になった。

 そのくせ姿はレッドドラゴン――しかも太陽は赤くくすんだままだ。

 凄まじいギャップに俺は困惑した。


「いいけど……そういう話し方だったのか、エヴァは」

『パパの前だけだから』

「それにしてもパパか……」

『あたしはパパの娘だから』


 何かを先回りするかのように言ってくるエヴァ。


「うん、それは分かってるよ」


 卵から孵った直後に見たの俺だし、さっきも延々と「偉大なる父マテオよ」とか言ってたし。

 今更エヴァの父親、という事に異論とかそういうのを唱えるつもりはない。


『よかった。パパ、僕はまだ六歳だから、って言い出すのかと思ってたから』

「……ああ」


 エヴァに言われるまで、それはまったく頭になかった。

 人目があるときはそういう風に振る舞うけど、俺は心の底から本当に六歳児だとは思っていない。

 普通に中身は中年のおっさんだ。


 六歳だからパパは……というのは言われるまで意識になかった。


 むしろあったのは――。


「エヴァが『パパ』って呼ぶ性格だったって事だよ」

『パパはパパだから。それともお父様って呼んだ方がいいかな』

「いやパパでいいよ」

『うん、分かったパパ。あっ、人前の時はさっきみたいな呼び方をするね』

「別にそれはいいのに」

『だめ、人間がパパ舐めるから。本当はあの皇帝以外皆殺しにしちゃいたいくらい腹が立ったんだからね』

「それはやめてね本当に」


 意外なところで危険な事になっていた。

 レッドドラゴンと人間の力の差を考えれば、「皆殺し」は決して脅しだけじゃない。


『わかってる。パパの命令がなかったらしないから。あっでも、パパに身の危険があったら遠慮無く()っちゃうからね』

「そうだな、そういう場合は頼む」


 俺だって死にたくはない。

 特に今は、転生して恵まれる人生になった今となっては特に死にたくはない。


 命の危険は助けてくれるというのならありがたい。


 世間話しつつ、エヴァは砂浜に着陸した。

 俺はエヴァの背中から飛び降りた。


 エヴァはレッドドラゴンの姿から、元のチビドラゴンの姿に戻った。


 同時に、太陽も元に戻った。


「みゅー」

「あっ、この姿だとしゃべれないのか」

「みゅみゅっ!」

「僕の力がもう一段階進化すれば……そっか、わかった」


 この姿でもしゃべれる様に出来ればいいな。


 さて、これからどうするか。

 皇帝はもうしばらく大臣らと色々反乱の後処理で忙しいから、こっちはこっちで適当に遊んでるか。


 せっかくの海だし、満喫しなきゃもったいない――。


「あれ?」

「みゅ?」

「あそこ……むっ!」


 俺はかけ出した。


 砂浜の先に見つけた(、、、、)ものに向かった。

 砂浜に、一人の少女が倒れていた。

 ウェーブのかかった長い髪が広がって、うつ伏せに倒れている。


 行き倒れっぽい感じで、何故か裸足になっているのが、足裏は砂がべっとりついている。


「お姉さん! 大丈夫お姉さん!」


 俺は彼女の肩をゆすって、よびかけた。

 しかしいくら呼びかけても反応はない。


「みゅっ!」

「毒? 毒にかかってるっていうの?」

「みゅみゅっ!」


 少女のそばで、エヴァが小さな体を大きく動かして、頷いていた。


「回復魔法? わかった」


 エヴァのアドバイスに従うことにした。

 さっきのレッドドラゴンの姿で大臣らを圧倒した所をみると、エヴァは俺が知らないような事を結構知ってるみたいだ。


 知識が上ならそれに従おうと思った。


 俺は少女に手をかざして、大地の白の魔力を引用して、自分の黒の魔力と合わせて、回復魔法をつかった。


 海辺だからか、大地の力は普段より弱いけど――。


「なんとか足りる!」


 俺は回復魔法を発動させた。

 癒やしの光が少女を包み込む。


「うぅ……」

「むむ」


 かなりのケガみたいだ。

 気分的には、風呂場の頑固な汚れを相手にしているみたいな感じがした。


 だから魔力を上げた。

 魔力を上げて、彼女のケガを治していく。


 やがて――「頑固な汚れ」を彼女のからだの中に感じて、そこにむかって回復魔法の魔力を集中させて、一気に直す。


 光が収まった。

 回復魔法は、対象の傷を治しきると自然と収まるようになってる。


 これでもう大丈夫――。


「ふぇ!?」


 俺は驚いた。

 なんと、倒れていた少女の足がなくなっていた。


 何を言ってるのかわからないと自分でも突っ込みたくなった。

 少女の足がなくなって、魚のひれのようになっていた。


 上半身が少女で、下半身が魚。


 これって……


「人魚?」


 ちょっと前に本で読んだ知識が頭に浮かびあがってきたのだった。


     ☆


「うぅ……」

「お姉さん、大丈夫?」

「ここは……ええっ!」


 少女――人魚は飛び上がった。

 よかれと思って砂浜から波打ち際の海の中に戻してやったから、飛び上がったときに水しぶきが飛んだ。


「なんだ……子供か。ってえええ!? しゃ、しゃべれる!?」


 人魚は自分の喉をつかんで、感触を確かめた。


「ってひれも戻ってる!? どういう事これ」

「お姉さんの体に毒が入ってたから、それを取ってみたんだけど、もう大丈夫? 体に不調とかない?」

「毒……あっ」


 人魚はハッとした。

 そして俺を見た。


「君が助けてくれたの?」

「そうだね、そうなるね」

「……ありがとう!!」


 しばらく俺をじっと見つめたあと、人魚はパッと抱きついてきた。

 助けた事で感謝されるとは思っていたけど、ここまでの大きな反応は予想外だ。


「ちょ、ちょっとお姉さん、苦しい……」

「あっ、ごめんね! あたし、嬉しくてつい」


 人魚は俺を離した。

 思いっきり抱きつかれて、それがちょっとした絞め技っぽくなったから、俺はちょっとだけ咳き込んだ。


「本当にありがとう、すごく助かった」

「ううん、もう大丈夫ならそれでいいよ」

「ねえ、お礼をさせて」

「お礼だなんてそんな、僕は当たり前の事をしただけだよ」

「お願いさせて。本当に助かったの、冗談とかじゃなくて」


 人魚はものすごく真剣に言った。

 切実感がすごかった。


「あのままだったら死んでたかも、死ななくても一生帰れなかったかもだし」

「帰れなかった……ひれが足になってた事と関係があるの?」

「そうなのよ!」

「そっか……」


 それは……すごく助かったかもな。

 なにがどうなってあんな風になったのかは知らないけど、ひれが足になった彼女は海の中に

戻れなくなった、ってことかな。


「だから、ね、お礼をさせて」

「でも――」

「大丈夫ちゃんとするから、お母様みたいに変な悪戯仕込まないから」

「変な悪戯? ――わわ」

「行こう!」


 人魚は俺の手を取って、抱っこしてきた。


 そのまま海に飛び込んで泳ぎ出す。


「みゅー」

「大丈夫だから、エヴァはそこで待ってて」

「み、みゅっ!」


 エヴァは俺に言われたとおり、追っかけては来ないで、浜辺で待機した。


 次の瞬間、俺は人魚に抱っこされたまま海にもぐった。


「ちょ、ちょっとちょっと――」

「大丈夫、あたしが一緒だから、おぼれないよ」

「え? あっ……海の中でもしゃべれる……」


 すごく不思議な感覚だった。

 完全に水の中に潜っている時と同じ感覚なのに、それなのにしゃべれるし息も出来る。

 完全に今まで感じたことのない感覚だ。


「そだ、まだ自己紹介してなかったね」

「え? ああうん」

「あたしはサラ、人魚姫のサラだよ」

「僕はマテオ――って、人魚姫?」

「うん」


 サラは俺を抱っこし、泳ぎながら大きく頷いた。


「お母様が海の女王なんだ」

「……」


 俺はぽかーんとなって。

 そしてちょっと悪い予感(いい予感)がした。


 命を助けた少女が、実は下半身が魚の人魚姫だった。


 どこかで聞いたような――経験した様な話じゃないか、これ。

「面白い!」

「続きが気になる!」

「海きたー!」


と思ったら

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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまったく構いません!

何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 背中に甲羅を背負ってそうな人魚姫。
[一言] 海→イソギンチャク→触手 関係無いけどイカ臭い烏賊って女の子の声に反応してよって来るとか
[一言] 海に着いたのだもの、 何かしら起きなきゃね
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