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【アニメ化決定】報われなかった村人A、貴族に拾われて溺愛される上に、実は持っていた伝説級の神スキルも覚醒した  作者: 三木なずな
第二章 大地の守護者

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24.竜の騎士

「――さて」


 皇帝は改めて、って感じで切り出した。


「レッドドラゴンを見せてくれないか」

「あっ、そうだったね!」


 俺はハッとして思い出した。

 そうだった、そういう話だった。


 皇帝が今日尋ねてきたのはそのためだ。

 エヴァの真の姿、レッドドラゴンとしての姿を見るために来たんだ。


 予定外の人助けがはいって、すっかり後回しにしてた。


「じゃあ、今度こそ」

「うむ」

「エヴァ」

「みゅー」


 俺はエヴァのそばで再びしゃがんで、手を触れる。

 今度は邪魔が入ることなく、エヴァに変身するための魔力をそそぐ。


 すると、エヴァは大きくなった。

 大きくなって、真のレッドドラゴンの姿にもどった。


 愛嬌のある姿から、威厳のある姿に変えた。


「……おお」


 数瞬、瞬きするのさえも忘れて、皇帝は驚嘆した顔でエヴァを見あげた。


「これが……レッドドラゴンか」

「うん」

「噂に違わぬ威容。さすがというほかないな」

「かっこいいよね」

「うむ」


 皇帝は深く頷いた。

 そして俺をみる。


「これはマテオの魔力がそうさせていると聞いたが、そうなのか?」

「そうだよ。僕の魔力が続く限り、大きくなっていられる。普段は必要が無いから元の姿で過ごしてるけど」

「そうか……強いのだな、きっと」

「強いかどうかはよく分からないけど」


 街でチンピラを制圧した事もあるけど、あれはレッドドラゴンの力とはまったく関係なく、ただでかいってだけだった。


 レッドドラゴンの姿で、まともに戦わせた事は一度も無い。

 必要もなかったし。


「一つ、他じゃできないことがあるんだ」

「ほう、それはなんだ?」

「いいかなエヴァ、ちょっと屈んで」

「ぐるるる……」


 可愛らしい鳴き声が低いうなり声に変わったが、従順なのはそのまま。

 エヴァは俺に言われた通りに、身を屈んで姿勢を低くした。


 俺はひょい、と背中に飛び乗った。


「陛下もどうぞ」

「うむ? ああ」


 俺が差し伸べた手をつかむ皇帝。

 引っ張り上げようとしたが、子供の力じゃ上手く行かなかった。

 俺が背中に乗せようと理解した皇帝が、ほとんど自力で上がってきた。


 二人で背中に乗ると。


「じゃ、行くよ」

「いく?」

「エヴァ」


 エヴァに号令をかけると、ドラゴンはそのまま羽ばたいて、大空に駆け上がった。

 旋回しつつ上がっていくと、あっというまに雲のある高さまでやってきた。


「こ、これは……」


 言葉を失う皇帝。


「こんな感じで、エヴァに乗せてもらって、空を飛べるんだ」

「空を飛べる……」


 またちょっと、よく理解しきれてない、って感じの顔で俺を見る皇帝。

 論ずるよりもなんとやら、って感じで俺はエヴァに更に号令をかけた。


「エヴァ、あそこに見える山までいって」


 エヴァは応じて、遠くにうっすらと見えている山脈めがけて飛び出した。


「う、うわあ!」


 皇帝は慌てて、俺にぎゅっとしがみついてきた。


「大丈夫だよ陛下、落ちることはないから」

「え?」

「僕が魔法を使ってるから、エヴァの背中から落ちることはないよ」

「魔法……」


 そう、魔法。

 エヴァの中にある術式の一つ。

 最初に乗ったときは何となく使っていたけど、白の魔力と黒の魔力がある――という講義を受けてからは、それを普通に、意識して使えるようになった。

 それはつまり、俺以外の人間でも、落とさないようにエヴァの背中に乗せる事ができるという意味でもある。


 その魔法を皇帝にかけた。

 高速で飛んでいるが、皇帝が背中から落ちることはない。


「だから、そんなにしがみついて無くても大丈夫だよ」

「えっ……あっ」


 皇帝はハッとして、慌てて俺から離れた。

 離れた直後にちらっと見えた顔は赤らんでて、それがますます綺麗に見えた。


 が、言わない。

 皇帝もそれに触れて欲しくないだろう。

 だから俺は見なかったことにした。


 そのまま飛び続けて、数分。


 エヴァはあっという間に、俺が指示した山の上空にたどりついた。


「ついたよ」

「すごいな……、この距離――」


 皇帝は背後をみた。

 出発した街は、もうすっかり小さくなってて、ぎりぎり見えるか見えないか、というくらいになっていた。


「――馬車なら、一時間以上は優にかかっただろうに」

「空だと早いんだ。エヴァが早いってのもあるけど」

「ぐるるる……」


 エヴァは低いうなり声を出した。

 俺に褒められて嬉しそうな感じだ。


「空、か」

「空には他になにもないからね、たまーに鳥がいたりするくらいで。なにもないのもあるから、早いんだ」

「……ふむ。マテオよ、これは長く飛び続ける事ができるのか?」

「え? うん、僕の魔力が続けばだけど、たぶん、一時間くらいは飛び続けられると思うよ」


 それがどうしたんだろう、と思いつつも聞かれた事を答えた。


「なら、足りるだろう。このまま帝都へ、余の宮殿まで運んでくれないか」

「陛下の?」

「そうだ、一つ用事を思い出したのでな」

「うん、わかった。でもどこなの?」

「指示をする、こっちの方角にまずはまっすぐ飛んでくれ」

「わかった。エヴァ、お願い」


 エヴァは応じて、皇帝が指し示した方角めがけて飛び出した。

 空の上だから、地形とか道筋とかまったく関係なく、一直線に飛んでいく。


 三十分くらいで、大きな街が見えてきた。


 街、というか――文字通りの都だ。


 今までに見たどの街よりも雄大で、遠くからもきらびやかに見える。


「すごい……大きい。どれくらい人がいるんだろう」

「200万人程度だな」

「200万!? すごいなあ……」


 俺は素直に感心した。

 さすが帝国の都、住民の数も圧倒的だな。


「あの、小さな丘の上に宮殿があるのが見えるか?」

「うん」

「そこにとんで行ってくれ。宮殿の中央に、ドラゴンが降りられる庭があるからそこに下ろしてくれ」

「わかった」


 皇帝の指示をエヴァに伝える。


 都の上空に入りつつ、ゆっくりと下降して、指示された宮殿の中庭に降りる。


 人が集まってきた。

 武装した衛士達だ。

 中庭に降り立った俺達をぐるっと取り囲んだ。


 しかし近づいてこない。


 レッドドラゴンの姿に怯えて、遠巻きにしているだけで、まったく近づいてこようとしない。


「気を付けてね」

「うむ」


 そんな中、エヴァが身を屈んで、皇帝がひょいと飛び降りた。

 俺もついでに飛び降りた。


「陛下!?」


 皇帝の姿が見えたからか、衛士の後ろから一人の老人が現われた。


「ヘルマンか、良いところにきた」

「これはどういう事ですかな」

「説明は後だ」


 皇帝はそういい、老人――ヘルマンに耳打ちした。


「は、はあ……ということは、叙勲を?」

「うむ」

「……この子供にですか?」

「何か問題が?」

「いえ、分かりました。すぐに」


 ヘルマンはそう言って、早足で一旦立ち去った。

 取り囲んでいる衛士達をかき分けて宮殿の中に入る。


 しかしすぐに戻ってきた。

 役人らしき男を二人従えて、その役人達は布をかけられた何かを持っている。


「ご用意できました、陛下」

「うむ――マテオよ」

「うん」

「余の前に片膝をつくがよい」

「えっと、うん」


 なにが始まるんだろう。

 片膝を突くって事は……悪いことじゃないのか。


 貴族の作法は色々あるけど、大雑把な分け方が一つある。


 片膝を付くときは名誉、両膝を突くときは処罰だ。


 例外もなくはないが、大抵はそうだ。


 だから俺は、あまり考えないで、皇帝の前に片膝をついた。


 やってきた役人は、持っているものにかけられた布を取っ払った。

 そこに、宝石で装飾された剣があった。


 皇帝はそれをうけとって、剣の腹――つまり平たい部分を、俺の肩に当ててきた。


「マテオ・ローレンス・ロックウェル」

「……はい」


 皇帝は今までになかった、荘厳な空気を纏い、その口調で俺のフルネームを呼んだ。

 俺はその空気に当てられ、真顔で返事した。


「そなたは、余のため、帝国のため。生涯変わらぬ忠誠を誓うか」

「……はい、誓います」


 皇帝の目が「お願い」しているように見えたから、俺は応じた。


「ならば、創造神が地上における代行者たる帝国皇帝の名において、そなたに騎士の位を与える。称号は――竜の騎士」


 竜の騎士。


 それを聞いた途端、まわりがざわついた。

 集まってきた衛士たち、その衛士の後ろに隠れていた使用人達。

 彼ら彼女らはざわついた。


「あんな子供が騎士に?」

「いやみただろ、竜に乗ってたの」

「でも――」


 ぐおおおおおおお!!!!


 エヴァが急に、天を仰いで咆哮した。

 衛士や使用人達が、耳を押さえて悲鳴を上げた。


「エヴァ」


 俺が静かにいうと、エヴァはぴたっ、と咆哮をやめた。


 すると。


「ど、ドラゴンを手懐けている?」

「だから竜の騎士」

「すごい……」


 直前まであった異論の声が、全て消えて無くなった。


「竜の騎士マテオ・ローレンス・ロックウェルよ」

「はい」


 皇帝に呼ばれて、俺は真顔で見つめ返した。


「そなたに空を授ける」

「空?」

「そうだ」


 皇帝は静かに、しかしはっきりとうなずいた。


「まだ誰の物でもない、誰の領地にもなっていない、空。それを駆け回れるそなたに、帝国の空をすべて授けよう」


 皇帝は地味に、ものすごい事を言っていた。

 騎士が領地を持つ事があるのは知ってる。


 その領地に、「空」をって言ってきた。


 全部の空を、俺に。

 エヴァとともに翔れる俺だからなのかもしれないけど。

 とんでもなく、ひいきされてるようにも思えたのだった。

「面白い!」

「続きが気になる!」

「もっと溺愛させろ!」


とか思いましたら

下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまったく構いません!

何卒よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
いいねー!おもしろい!! やっぱり主人公は賢い方がいいね!!
[良い点] 全部素晴らしい。文の構成。言葉の使い方。中身の知識量。全て。 [気になる点] じかんを忘れて読んでしまうこと。 [一言] 先生の作品ふ本当に素晴らしい。もっと名前が知れ渡ってほしい。早くも…
[一言] 空をもらうとは、制空権を持ちました。
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