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202.死んだ後の事

「な、何を言ってるのノワール」


 ノワールの言葉にはさすがに驚いた。

 それは俺だけじゃない、これまで黙って聞いていたイシュタルもそうだった。


「……あー、そう来たか」

「そうこられてもねえ」


 それに対して、オノドリム達は何か意味深な言い方をした。


「それって……どういう事なの?」

「人間とか大抵の生き物は死んだらそこでおしまいなんだけど、それとは違って、死んでも復活するようなのもあるんだ」

「そんなのあるの!? ……あ」


 驚いた勢いで聞き返そうとしたけど、すぐにハッとした。

 そんな俺を見てオノドリムがはっきりとうなずいた。


「そっ、海神とか。マテオがよく知ってるあれ」

「そっか……海神……」


 いわれてみれば、で思い出した。

 初めて海神ボディと出会った時人魚達から聞かされた話を思い出した。


 海神は死んだ、しかしいつか復活する。

 そんな話を聞いていた。


 実際の所俺は自分の事を本物の海神だと思っていない。

 海神も俺が「操っているだけ」で本当に復活している訳じゃないと思ってる。


 だけど俺が乗り移った海神ボディには本当に神だからだとしか思えないような、死んだ生き物の体だとは思えないような強大な力が備わっている。

 そしてその事を、人間を遙かに超越した存在であるオノドリムが裏書き(、、、)をしてくれた。


 もう一度ノワールに振り向いた。

 彼は相変わらずの慇懃な態度で微笑んでいた。


「死んで復活する……ううん、復活出来るような死に方をしてくれるんだ」

「さすがでございます」


 ノワールは深々と腰をおって頭を下げる。


「まさしくその通りの表現でございます」

「そんな事ができるんだ」

「私は完成された悪魔です。自分の命くらいはじままに操作する事が可能でございます」

「そうなんだ……ノワールが死んだらどうなるの?」

「そこは海神と同じように致します」

「え?」

「認識的にはいわば『封印された』ような死に方をしましょう。そして遺言として、『もう一人の私』をつくって私の復活に備えよ、と残します」

「海神と同じだね」

「はい、そうすれば悪魔達は私の復活の日まではかなり大人しくなります。後は……そうですね、マテオ様が生まれてから100年、余裕をもって100年の時代に復活すれば、マテオ様の人生に影響を及ぼす頃はないでしょう」

「僕が寿命で死んだ後の時代ってこと?」

「はい。そちらのお二方(、、)もそれでよろしいでしょうか」

「……かまわない。けど、子孫には悪魔に気をつけろと言い残させてもらう」

「ご随意に」

「あたしも別に。マテオが寿命で死んだ後なら好きにどうぞってかんじかな。あたし(大地)からしたら大して変わんないし」

「ではきまりですね」

「……」

「何か気になる事でもありますのですか?」

「……ううん、大丈夫」

「では早速実行に移しましょう」

「それはちょっとまって」

「どうしたのマテオ?」

「僕が時間移動の『メイン』になった方がいいと思うんだ、そのためには力がたりない」

「なんで?」

「確実に元の時代に戻る為にはそうしたほうがいいとおもう」

「うーん、マテオがそういうんならいいけど」


 オノドリムは不思議そうにしつつも受け入れてくれた。


「どの程度の力が必要なのでしょうか?」

「海神と同等くらい、かな? 一瞬でいいんだけどね」

「そうですか……時にマテオ様、夜の太陽の能力はつかえますか?」

「エクリプスの? 空にいるはずだけど、呼びかけに応えてくれないんだ」

「能力も行使できないのでしょうか?」

「それは……試してないけど」


 そういえばそこはやってなかった。

 エクリプスに呼びかけて、それで反応がなかったからそれっきりだった。


「やってみる? はい!」


 オノドリムはそういい、手をぐいってした。

 地面からガイコツが出てきた。


 地面なのに水面と同じように「浮かんできた」みたいな感じでガイコツがでてきた。

 大地の精霊だから地中に埋まっている、一番近い遺骨を持ち出したきたみたいだ。


「えっと……じゃあちょっとだけ」


 俺は遺骨に手を合わせてから、エクリプスの力で動かすように念じた。

 すると――うごいた!


 エクリプスは今でも呼びかけには応じてくれないが、その力で遺骨を動かすことはで来た。


「わー、動いたね」

「マテオ、夜の太陽本人は?」

「うん、今もういちど呼びかけてみたけどやっぱり返事はしてくれなかった」

「そう……」

「なにはともあれ。それで大丈夫でしょう」

「大丈夫って?」

「私が死んだ後、この体は死体になります。そしてこの体はマテオ様の海神と互角に渡りあっていました」

「あっ……」


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