↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミックス第二巻4/30発売】その政略結婚、謹んでお受け致します。〜二度目の人生では絶対に〜【書籍全二巻発売中】  作者: 心音瑠璃
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/78

Epilogue

最終回です…!

 どれくらいそうしていただろうか。

 そっとヴィクターから体を離し、照れ隠しに二人で笑い合ったその時。


「あ、いたいた!」

「「!?」」


 澄んだ高い女性の声が、私達の耳に届く。

 その女性の声にパッと振り返れば、そこにはフェリーシナ様とウォルター殿下の姿があった。


「ふぇ、フェリーシナ様!」


 私は慌ててヴィクターから離れようとしたが、彼は私の腰に回した腕を退けようとはせず、「邪魔をするな」とばかりに不機嫌そうに口を開いた。


「……もう少し空気を読んでくれませんか」

「あら、十分イチャイチャする時間はあったでしょう?」


 フェリーシナ様は少し怒ったように口にすれば、隣に居たウォルター殿下が苦笑した。


「ごめんね。

 私は止めたんだけど、フェリーシナがいつまで待っていれば良いんだと怒って……」

「!? ま、ままままさか」


 見ていたんですか!?

 私がそう問えば、彼女は「さあ何のことかしら?」と惚けながらも、ニヤニヤと笑みを浮かべていることに対し、私は確信した。


「……見ていらしたんですね」

「あら、不可抗力よ。 不可抗力。

 だって私達、ヴィクターに用があって探していたんだもの」

「……用?」


 フェリーシナ様の言葉に、ヴィクターが反応する。

 彼女は「剣を出して」と、ヴィクターに向かって手を差し出した。

 その手を見てヴィクターは怪訝そうな顔をしたものの、陛下から授かったこの国の宝剣をフェリーシナ様に手渡した、次の瞬間。


「「「!?」」」


 フェリーシナ様は、思い切り高くその宝剣を宙に投げた。


「!? な、何をす」

「良いから、見てなさいって」


 彼女はそういうと、真っ逆さまに落ちてくる宝剣に向かって何かを唱えた。

 その瞬間。

 パァっと、宝剣が光を放ち輝きだす。


「「「!?」」」


 そしてゆっくりと、ふわふわと空を舞うように降りてきた剣をパッと手に取り……、ヴィクターに向かって差し出した。


「はい、私からのお祝い」

「!? な、何をしたんですか?」

「試してみたらどう?」


 フェリーシナ様は驚くヴィクターに向かって意味深に笑うと、パチンッと指を弾いた。

 その瞬間。


「!? わっ!?」

「「「!?」」」


 ポンっと、確かにそこには居なかった、私の幼馴染の姿があった。


「! エルマー!」

「!? え、リゼット!? え、フェリーシナ様まで……、ど、どういうこと?」


 何が何だか分からない、と困惑する彼に向かって、フェリーシナ様は「ちょっと一仕事して」と言うと、ヴィクターの剣を指差して言った。


「簡単な魔法で良いから、あの剣に向かって魔法で攻撃してくれる?」

「「「!?」」」


 フェリーシナ様の突然の発言に、私達は驚き固まってしまう。

 これには流石に、エルマーも驚いたような表情をしたものの……、次の瞬間ニヤッと笑って言った。


「良いよ」

「!? エルマー!」


 フェリーシナ様が何をしたか知らないが、魔法を使えないヴィクターに攻撃するなんて無茶だ、と私は止めようとするが、それより先にエルマーは手から水を出現させ、その大量の水が一気にヴィクターに向かって放出される。


「……っ」


 私は思わず目を瞑りそうになったが……。


「「「え……?」」」


 次の瞬間、目を疑った。

 魔法を放出したエルマーは勿論、まともに魔法を食らったはずのヴィクターも無傷だったから。


「どういう、こと?」


 ポツリと私が呟けば、ヴィクターは剣をまじまじと見て言った。


「……この剣には、魔法が効かない?」

「ふふ、御名答」


 フェリーシナ様はヴィクターの言葉に笑みを浮かべ、口を開いた。


「これは私からの餞別よ。

 この国の国王であり、リゼットちゃんを守ろうとするその心意気を買ったの。

 ……魔力を与えることは出来ないけど、物を“祝福”という形で魔力をほんの少し分け与える事が出来る。

 所謂、魔女にとっての箒のような魔道具ね」


 その言葉に、先に口を開いたのはエルマーだった。


「は!? 古の魔法ってそんなことも出来ちゃうの!?

 ……というかそれって、ヴィクター……いや、ヴィクター陛下がチート能力を手にしたってことじゃん……」

「? チート?」


 私はエルマーの言葉がよく分からず首を傾げる。 そんな私の呟きには答えず、彼は悔しそうに唇を噛み締めた。

 その様子を見たフェリーシナ様はふふっと笑うと、ポンポンとその肩をまるであやすように叩いて口を開いた。


「まあまあ、貴方はまだ若いんだし、お姫様を守りたいのなら努力しなさい」

「……っ」


 その言葉に、エルマーは私をチラッと見てほんのり顔を赤くする。

 私は何となく察して思わずヴィクターの方を見れば……、不機嫌そうな彼の瞳とバチっと目が合ってしまう。


(あ、はは……本当に仲が悪いのね)


 粗方私のせいかもしれないけど……。

 微妙な空気になりそうな予感がしたのも束の間、フェリーシナ様がポツリと口を開いた。


「……若いって良いわね」


 ま、私もまだまだ若いけど。

 そう言って今度は嬉しそうに、ウォルター殿下の腕に手を回す彼女に、私は少し驚いてしまう。


「え、いつの間に……?」


 剣を収めて近くに来ていたヴィクターがそう呟いたのを聞き、フェリーシナ様はふふっと笑って答えた。


「それは、私達だけの秘密」


 ね、とフェリーシナ様がウォルター殿下を見れば、彼は少し笑って頷いた。

 それを見て、私は思わず息を飲んだ。


(確かに……、この二人はお似合いだわ)


 絵になるような美男美女の二人……。

 それを私は惚けて見ていれば、隣に居たヴィクターがそっと私に耳打ちした。


「俺達は後半年後だな」

「!?」


 その言葉に思わず赤面する私に対し、彼はふはっと吹き出して笑う。


「なーに、どうしたの二人して」


 フェリーシナ様が突然顔を赤くした私と、笑い出したヴィクターに驚き声を上げれば……、今度はヴィクターが私の腰をぐっと抱き寄せ、「秘密だ」と笑って言った。

 その表情を見て、私は改めて思う。


(この方の笑顔を……、二度と絶やしたくない)


 “前世”とは違う未来。

 この先に待つのは、もう“二度目”ではなく、全く新しい未知の世界。


(彼と……、こうして幸せになる為に、私は此処へ来たの)


 それがどれだけ尊くて、幸せなことか。

 ……だからこそ、私は。


「……リゼット?」


 突然黙った彼が、私の名を呼ぶ。

 その声に顔を上げ……、私は今自分に出来る、とびきりの笑顔を浮かべて見せた。


「ヴィクター」


 そして彼の名を呼び、耳元で言葉を口にする。

 今の私の気持ちを的確に伝えられる言葉を。


「! ……あぁ、俺も」


 その言葉を聞いた彼は、私の言葉と同じ言葉を、私の大好きな表情で口にしてくれた。



 ……“愛している”と……―――








 ―――それから更に、時が経った。

 城下中の鐘が遠くで鳴り響き、城の鐘がまるでそれに応えるように、これから始まる“二人”の未来の祝福を告げる。

 時を超え、運命を変える為に現れた少女。

 その少女は今日、もう一度……、いや、新しい未来を歩き出す。

 “最愛”の人と、共に……。




 豪華絢爛な大広間の中。

 嘗て色々なことがあったこの会場で、彼女は今度こそ、幸せを掴んだ。

 純白の花嫁衣装を身に纏った彼女は、家族や友人に見守られ、大広間の中心を、前だけを向いて歩く。

 そして祭壇の前に立つと、彼女の隣に立つ男性が、彼女の方を向き、その名を呼んだ。


「リゼット」


 そう不意に名を呼ばれ、顔を上げた花嫁に対し……、彼は真紅の瞳を細め、柔らかく微笑む。

 そんな彼に対し、彼女は……、微笑みを浮かべ、そっと噛みしめるように口を開く。


「ヴィクター」


 そう名を呼んだ彼女に対し、彼はより一層破顔し……、そっと手を差し出す。

 彼女は迷うことなくその手を取り、顔を見合わせ、心からの笑みを浮かべると、どちらからともなくギュッとその手を握った。


 そして二人、互いに誓う。

 喜びも、怒りも、哀しみも、幸福も。

 全て分かち合い、歩んでいくことを。



 二度目の人生こそ家族を守る為に嫁ごうと決意した令嬢と、前世現世共に冷酷と謳われた王子の結婚。

 愛のない結婚を覚悟した二度目の政略結婚は、“前世”の記憶を持つ花嫁の少女が、自らの手でその幸せを掴んだ。

 そして二人が紡ぐ物語は、“前世”とは違う新しい未来へと、続いていく……―――





『その政略結婚、謹んでお受け致します。 〜二度目の人生では絶対に〜』 end

ついに!最終回を書き終えました!!

感想欄にて温かなコメントを下さった皆様、ブクマ登録、評価、読者様に厚く御礼申し上げます。

本当に有難うございます…!

当初10万字程度を予定しておりましたが、気が付けば倍に!膨れ上がっておりました(笑)

今回、敢えてリゼット以外の心情描写を省き、それぞれが何を見て考えてきたか…、推理して読んで頂けるように執筆致しました。

その為、作者が考えた推理のちょっとした答えのようなものを、番外編という形で数話ほど、ヴィクターは勿論、他キャラの視点で書きたいと思っております。(その他にも書けたら、バレンタイン…!書きたいなとか、常々妄想中です)

もしリクエスト御座いましたら有り難く、書かせて頂きます!

もう少しお付き合い頂けたら、幸いです。

又近々、新作も出したいなと思っております…!

最後に長くなりましたが、此処までお読み頂いた皆様、本当に有難うございました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。