表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏空を呪う

作者: 明空ツキ

「セミが7日間しか生きられないのに外に出てくるのは、この蒼い空を見上げるためなのかもしれない。」

「・・・は?」


日差しが照りつけるプールの帰り道に

ふと呟いた右隣の友達。

「なんだよ、熱中症で頭おかしくなったか?」

左隣を歩く少年が睨む。

「僕は大真面目だよユースケ。」

「どこがだよ。セミが鳴くのは彼女が欲しいからだって先生が言ってただろ。なあ、コーイチ。」

「そうだね・・・でも・・・」

「ん?」

「セミに理由を聞いたわけでもないのに、それって本当なのかな・・・?」

「んーーー???コーイチも熱中症か???まともなのはこのリュージ様だけか???」


アイスを齧りに寄ったコンビニでも会話は続く。

「セミってさ。生き物の中でも特に役に立たないんだよね。」

「まあ・・・鳴いてるだけだもんな。」

「7年地下に潜って、やってることは木の根っこから栄養摂ってるだけ。出てきても7日間しか生きられず、ミンミン鳴いて交尾してオシマイ。なんか・・・変じゃない?」

「変・・・か・・・たしかに・・・。」

「イヤイヤイヤ、単にそれが生き残るのに一番良かっただけじゃねーの?」

「リュージ・・・夢がないね・・・」

「へーへー、夢のない小学生で悪かったですよーっと。」

「アハハ・・・」


「この前映画でさ、空が蒼いだけで気分が晴れやかになるって言ってたんだ。最初はよくわからなかったんだけど、雨の日の次の日が晴れだった時、あーこういうことかーって。」

「それがセミとなんの関係があるんだよ。」

「セミって7年も地下なんだよ?晴れはおろか曇りも雨も見れないんだよ。」

「そっか。だからちょっとでも蒼い空を見上げたくて・・・。」

「んー・・・2人の話を聞いてたらなんかそんな気がしてきちまった・・・。」

「でもそう考えるだけで、セミの声がちょっとだけ違う聞こえ方になるね・・・。」

「夏空を見るためだけに、生まれてきたんだな・・・。」

「ちょっと辛いね・・・。僕はそんな人生・・・というかセミ生はなあ・・・。」

日差しが西日に変わりつつある時間だった。


「んでさ、なんでこんな話したんだ?」

「んーと・・・そんなセミたちを捕まえるのはどうかって・・・。」

「明日のセミ捕りが嫌だったんだね・・・。」

「最初からそう言えよ・・・。」

「2人とも楽しみみたいだったから、心に訴えてみようかと・・・。」

「めんどくせぇ・・・なら明日のプールかなぁ。」

「プール行って、アイス食べて、グダグダ喋って・・・。」

「そして宿題に追われる。」

『言わんでいい!』

両サイドから悲痛な叫びが響く。

それは夏空に呪われた、少し悲痛で、少し楽しい、短い夏を楽しむ鳴き声。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ