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出る杭は打たれたくない

作者: aki o

 好きで「出る杭」を演じているわけではない。ある程度必然的なのかもしれない。生まれつき病気があって、バカにされて、それが悔しくて、努力して…………でも一向に成果が出ない。


 努力が報われないことを嘆くなら、もう少し努力しましょう。大丈夫、死にはしないから。時折、そんな言葉を頂くことがある。確かにそうだと思う。自分では努力している気になっていても、実際は不十分なのだろう。


 勉強していい大学に入ろうと思った。でも失敗した。他の人より馬鹿だと分かってるんだから、一日15時間くらい勉強したら?どうせ、やったって出来ないだろうけど……。


 確かにそうだと思う。でもなかなか上手くいかない。イライラの矛先は、受験制度に向かって、大冗談に、

「社会が悪いんだぁ!」

 とか言ってしまう。


 SNSをやっていないので、気軽に意見を発信することが出来ないのだが、私にとっては好都合かもしれない。時々歯止めがきかなくなって、人を傷つけるリスクがあるものだから、それを防ぐことが出来る。


 例えば、というよりかは、実際に、と言った方が正確かもしれないが、死んだほうがましかも、と考えたことが何度かある。考えてもナンセンス、ということが分かるくらいなのだが、暇つぶしにはなる。


 小説の中では、簡単に死んだり、殺したり、生き返ったり出来るわけなので、架空の魅力を感じずにはいられない。ただただ馬鹿笑いをしたり、涙を流したり……どちらにしても、明日を生きる糧になっていることは事実だ。


 私が仮に小説を書くとしたら、それは幼稚園児の思い描いた世界を小学生並みの文章で表現することになるのかもしれない。


 本当に小学生だな、と侮られるかもしれない。でも、それくらい幼稚なほうが、案外楽かもしれない。煤色に染まった空を見て、

「明日は雨が降るのかな」

 と語った方が、

「そろそろ死のうかな」

 と言うより、よっぽど艶のある人生と言えるだろう。


 病気になったことを恨み、その怒りを親にぶつける人がいると聞く。訴訟大国アメリカにおいては、既にいくつか裁判になっているそう。

 気持ちは分かるが、親は子供以上に悲しみ憐れんでいることを考えると、私は出来ない。これ以上親が悲しむ姿を見たくない。


「ごめんなさい……わたしが……わたしが……」

 朝まで静かに泣いていた母親の姿を思い返せば、私も少しは愛されているのかな、と自信を持つことができる。だから、死にたくても死んじゃダメなんだと考える。ナイフの切先が冷たくて、心地いいもので、少しの勇気で突き刺すことが出来るとしても……ここは思いとどまらなければならない。   


「生きたいように生きればいい。君には十分時間がある。殴りたくなったら殴っていいから」


 私の敵はきっと自分なのだと思う。甘い誘惑に誘われて怠ける。自分を律することがどれほど難しいか……言うまでもないが、人並みに感じ入るところである。自分と闘って勝った先には何があるのだろうか?ようやく普通の人間になることが出来る?


 人がいなくなっていく世界を悲しむことが出来る?

 私がいなくなった時、誰かが悲しむ姿を想像出来る?


 私……僕は一人ぼっちなんだよ。友達はみんな僕を避ける。

 弱かった僕は少し成長した。僕よりも弱い人が目の前に現れた。


「大丈夫ですか?」

 手を差しのべたのは、僕の隣にいた偽善者だった。僕はきっと悪魔のように嘲笑っていた。

「ありがとう」

 その声が聞きたくて……。僕はありがとうを言う方だから……。


「死にたいんだったら死んでみろ!」

 涙で周りが見えなくなる。僕は……格好悪いけど生きちゃった……。


「人が怖いよ……。社会が怖いよ……」

 

 総括:対人恐怖症


「誰も僕のことを理解してくれないんだ……」

 本当に悲しい。でも僕の人生を変えてくれる一筋の光を待っている。


「ほら、旅に行くぞ」

 もう20年も彷徨ってるっていうのに……今更どこへ行くの?


「こんにちは。私です」

 来ました。僕の敵。あなたさえいなくなれば僕だってもう少し楽に生きられるのです。


「ならば死ぬしかないでしょう」

 ほら、結局そうなっちゃうんだ。他の選択肢はないのかな?


「救いなんてものはない。君はそれを知っている。私を可愛がってくれるのは、君自身なのだから」

 はい、知っています。そうなんですよね。困ったなぁ……。


「自分を滅ぼすか……それが嫌なら他の物を壊すか……君にはそんな勇気なんてないか?」

「はい。たまに考えますよ。それでも僕は……天国ってものを信じていますから……人様に迷惑をかけたら行けなくなってしまうでしょう?」

「死んだ後のことを考えてどうするんだ?」

「それに……哀れみの視線に加えて怒りの視線が加わるわけでしょう?二度も、三度も、もっともっとたくさん死んじゃいます。どこの世界でも生きていけなくなるほどに」



「だったら、出る杭を演じればいいじゃないか?」

「出る杭?」

「そうだ、出る杭。人は、出る杭を避ける傾向にある。最初は嘲笑うかもしれないが、その内、見向きもされなくなる。どうだ、君にとって好都合だろう?」


 確かに存在するのに、認知されないもの。透明人間のように……。


「死ぬ勇気もない、でも、募るストレスを発散する場所もない……あぁ、可哀想な私……」


 可哀想な僕。でる杭になります…………か。



 


 


 


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