2ー3
「やっぱりやめよう。」
僕は手の中で光り続ける石を見ながら言った。
「いやだ!!ここまで来たんだよ!!」
ここまでとはどこまでのことだろ?
ここで陽希に負けちゃだめだ。自分でさっき『危なかったら止める』と心で言ったんだ。お兄ちゃんとしてこれを許してはいけない。
「その石が光ったのと関係あるんだ!そうでしょ!」
陽希が食い下がろとしず、逆に攻め寄ってきた。やっぱり妙なところだけ鋭い。
「あぁ…そう
そこでそうだと言えずに固まる。
それは陽希の後ろの茂みで横切ったものに視線を奪われたからだ。そこには明らかに人じゃないものが2匹歩いていった。
なんで今通った!!あんなもの陽希が見たら!!
僕は慌てて陽希に駆け寄り頭をぐっと押し込んだ。暴れだす陽希の口を抑え、しゃがみ込む。
「んー!!うぅんんん!!」
バタバタと暴れ続ける。一体誰にこの頑固さが似たんだ?
その人でないもの2匹はこっちをむいた。見た目は昔見た宇宙人よりはるかに怖かった。悪役で出てきそうなエイリアンだ。目?を鋭く細めてあたりを警戒するその生き物の手には銃が構えられている。
頼むからこっちに気づくな!
祈るようにして陽希をぎゅっと抑えたまましゃがみ続ける。ここまで心臓がバクバクしたのは初めてだ。
しばらくすると、その二匹は警戒態勢を説いて向こうへと歩いていった。
「はぁ…」
思わず尻もちをつく。ひとまず安心だ。
僕はむねをなでおろした。
「兄ちゃん!!何すんの!!」
緩まった手から逃れた陽希が叫んだ。かなり怒っている。
ん?これってかなりまずいんじゃ…
カサっと物音がした。
「あっ…」
と呟いたときには遅かった。僕が目を向けた方向にはさっきの2匹が遠くから僕らをジーと見ていた。
僕の顔からサーと血の気が引いていくのが分かった。