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はるか傍らの少女  作者: つづら日和
第1章 始まり
8/63

2ー2

「こっち!こっちだよね!」

「あっちょっとっ!!」

 弟は走り出した。一言もこっちだとは言っていない。子供の感というやつかもしれないけど…


「危ないからやめろ」

 僕は止める。

 登山用の一般ルートを順調に進んで何事も無く頂上につき『もしかしたら、あの時の兄ちゃんは寝ぼけてたのかもしれないな。』と言って、帰ってきたかったのに…騙せきれなかったみたいだ。陽希は余計なことに関しては妙に鋭い。

 僕は陽希が怪我をしないように安全なルートを歩いていた。まさかこんなに早くバレるとは思ってなかったけど。

「でも、なんでこっちなんだ?」

「うーん…なんとなく!!」

 なんとなく…か。危なっかしいな。

 弟がこっちだと言った道は道では無く、舗装がされてない木が生い茂った斜面だ。

「兄ちゃんはこっちでもいいと思うけど?」

 と一般登山ルートを指差す。

「こんなに人といっぱい出会う道に宇宙人がいたら、僕は何回も見てるもん!!!」

 …いたんだけどなぁ。デパートの中に宇宙人。

 陽希は根拠も無しにこっちだと言う割には、かなりの自信に満ちた表情をして道なき道を登っていく。


「こっちっ!」

 後ろを向いて俺を待ち、早く早くと催促する。

 いつの間にか案内する立場が逆になっている。

 まっどうにかなるか。


 危ないと思ったら僕が止めればいい。


 どんどんと陽希は先へと進んでいく。小さい足でよくそんなに早く歩けるものだ。


「兄ちゃん!!」

 急に陽希が立ち止まり、僕の方を向いたまま固まった。とても驚いた顔をしている。

「どうした?」

 僕は自分に何か虫でもついているのかと思い、体を見た。すると、ジーンズのポケットの中で何かが光っているのが分かった。きっと陽希が驚いているのはこれだ。

 何か入れたっけ?と思い、ポケットに手を入れ漁る。手に何か固くてひんやりするものが当たった感触がした。僕はそれを取り出す。

「すごいっ!光ってる!!」

 陽希が興奮しながら登った斜面を下って僕の方へと近づいてくる。

 

 僕の手には『あの赤い石』がギラギラと光っていた。

 これほど嫌な予感がしたことはない。

 

 

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