9、二人きり
8の内容、結構変えました!すいません!
「着いたわよ。」
何とか無事に辿り着いた。
僕は、「ありがとうございました」とお礼を言うと、車を降りた、目の前には何度か見たショピングモールがあった。
「本当に行くのね、私はどうなっても知らないんだから!」
可愛い女子だったら、このようにプリプリ怒るシーンは可愛いんだろうなぁ。
野太いおっさんがやると苦笑いしか出てこない。
「しつこいっ!」
そう言うと、浅草は僕に続いて車から降りてきた。
ドアをバンッとしめる。
…こいつら、どういう関係なんだ?
どうも父の友達だけの関係に思えない。
「忠告はしたからねっ!」
おじさんは開けた窓から最後の忠告をすると。
嵐のように過ぎ去っていった。
一体何だったんだ、あの人は。
急に、あたりが静まる。
夜のショッピングモールは人があまりいない。
もう9時ぐらいか?
僕はスマホを確認した。
「うっ…」
そこには母と父からの、大量の不在着信プラス最後に僕を心配する「大丈夫?何かあったら電話して」というメッセージが表示されている。
親をほったらかして探し回っている僕が悪い。
「ゆうくん、駄目だよ?二人共心配性なんだから!」
スマホを覗き込んだ、浅草が言う。
そういうお前は連絡したのかよ。
「人のスマホを勝手に見るな!」
僕は浅草と反対方向を向いて、「大丈夫、陽希の場所の検討がついたから探してくる。」とメッセージを返した。
そして、スマホをポケットに片付けた。気まずい沈黙。
浅草と二人っきりで何処かに行くなんて、最近はなかった。
どうやって、昔はあんなに楽しく話していたのか…どうしてか思い出せない。
僕らは山を目指して歩く。
そしてふと、ある疑問が再びよみがえった。
車の中で浅草があのショッピングモールを場所指定したことを。
いつも通りの浅草。
そう、いつも通りすぎて忘れるところだった。
でも、あれは不自然だ。
それにあの会話も何だかおかしい。
「なぁ、」
僕は急に立ち止まった。
「ど、どうしたの?」
浅草はオロオロとしている。
僕は何で、浅草がここを指定したのか知りたかった。
だけど…浅草が言いたくないならこの質問には答えなくていい。
僕は君をずっと避けていたから。
「浅草って何か僕に隠してることない?」
僕は浅草の返答を静かに待った。