第二章 素直
「もしも―し。俺…健だけど…」
「もしもし。分かるょ!!」
「塾終わったか??」
「うん。終わった―」
「今、空見てみ??」
「えっ!!うん。」
ドアを開けて、空を見る…。
満月だ。
「綺麗だねぇ」
「だろ!!」
傍に居なくても、今、
同じ満月を見て居るんだね。
「あのさぁ―今度、俺の友達紹介するから、たまり場来ないかぁ―??」
「行って良いの??」
「りかこが良ければ、いつでも…」
「行きた―い」
「ちょうど、明日は土曜日だし、明日ゎ―??」
「りかこは、午前授業がある↓↓」
「健は??」
「俺は、文化祭の片づけあるらしいけど、休むつもり!!」
「そっかぁ―」
「でも…りかこが学校なら、学校終わってからでいいから―」
「じゃあ、学校終わったら、電話するね」
「おぅ!!じゃあな」
「バイバーイ」
何か、分かんないけど、とっても、緊張した…。
てか、今度会う…しかも…明日…電話を切ってから、状況がやっと分かった。あ〜どうしよう〜。
そんな時、着メロが流れた。
誰だろう??
…裕美だ。
「もしも〜し」
「はいは―い」
「健さんとは、ラブラブですか??」
「いきなり何言ってんの!!そういう関係じゃないし!!そっちこそ、どうなの―??」
「聞きたい!?」
いかにも、聞いて欲しそうな、言い方だ。
「あのねぇ―あの後、カラオケ行って…
キスして、ちょっとだけ、Hしちゃった―!!」
「まぢで!!」
「うん。まぢ!!」
本当に、裕美はやることが早い。
「あっ!!ゴメン!!裏に電話入っちゃた↓↓」
「慎吾さんからじゃない??」
「そうかも↑↑」
「じゃあね―」
「うん。バイバーイ」
電話を切った瞬間、明日の焦りが込み上げてきた。
H…キス…まさか、有り得ない。
そんなことを考えていたら、夜も寝れずに、朝が来た。
学校では、1・2・3限が終わり、終礼が終わった。
トイレに駆け込み、電話をかける。
「もしもし」
先生に見つからないように、小声で喋る。
「もしも―し。学校終わったか??」
「うん。終わった」
「渋谷まで、出て来れるか??」
「うん。4駅ぐらいで着くょ」
「じゃあ、13時に渋谷のハチ公前な」
「はいは―い」
電話では、顔が見えないからか、
とっても素直に喋ることが出来る…。
でも、実際、会うとなると話は別だ。
心臓の鼓動が半端なくヤバい。
待ち合わせの15分前に到着。
健は居ない。
3分ぐらいして、健が走って来るのが、分かった。
「ゴメンな―」
「全然大丈夫!!」
「お昼食べたかぁ―??」
「まだ↓↓お腹すいた」
「何食べるか??」
「ん―パンとか」
「じゃあ、美味しいとこ連れてたるわ」
「うん!!」
健が連れてきてくれたのは、駅から、
2・3分の所で焼きたてパンのお店だった。
「意外とこういうお店知ってるんだね―」
「意外とって…何や」
「だって、意外だもん!!もしかして、たくさん女の子が居て来たとか??」
「そんな分けないだろ!!俺…パンとか好きだし」
「ふ―ん」
「何怒ってんの―??」
「別に…。」
何か、いろいろ話てたら、お昼も食べ終わっちゃって、たまり場に行くことに…。
「着いた!!ここやで!!」
「普通のマンションじゃん!!」
「そうだょ!!どんなんだと、思ってたの??」
「ん―公園とか??」
「はっ!!公園!!バカじゃん」
何か、健と喋ってると、初め自分が…あんなに緊張していのがバカみたいに思えてきた。
ピンポーン
「はいはい、今開けるで…」
ドアの向こうから、誰かが喋っている。
「誰や??あっ!!健先輩!!」
寝起きの顔で、ドア越しから出て来た。
「あれ??誰ですか??健先輩の彼女ですか??」
「違いま…」
「俺の彼女のりかこやで!!」
否定する前に、健が答えてしまった。
「こんにちは。俺は祐よろしくな。」
「りかこです。よろしくお願いします」
軽く自己紹介を済ませ、部屋に上がると、
一目見て7・8人の男子は居た。
開いた口が塞がらない。
「あっ!!健先輩」
「よっ!!」
「久しぶりで〜す」
「久しぶり―」
みんな、健に声をかける。
「みんなに紹介するな!!俺の彼女…りかこやで」
「戸山 利佳子です、よろしくお願いします」
「よろしくな」
「まっ!!自己紹介もすんだ所で、俺ちょっと、飲み物買ってくるな、りかこはここに居るか??」
「えっ!!うん。」
「じゃあ、行って来るな」
「先輩…俺も行きます」
さっきの祐だ。
「あっ!!お前ら、りかこに手出すなよ」
健と祐が飲み物を買いに行ってしまった。
りかこは待ってるって、言ったけど、どうしよう―??
まだ、誰とも喋ったことないし!!
「俺!!海斗…健とは文化祭で知り合ったの??」
「はい、そうです。あっ!!あの―何でさっきから、みんな、健のこと、健先輩って、言ってんですか??」
「あ―俺ら、みんな学校が同じなだけで、学年は違うから」
「そうなんですか―」
「後、ここに居る時は敬語使わんでいいから」
「あっ!!はい。じゃなくて…うん。分かった」
「あっ!!帰って来た」
「よっしゃ!!みんな、飲むか」
「えっ!!お酒??」
お酒何て、飲んだことないし。
「あっ!!お子ちゃまには、ジュース買って来たで」
「お子ちゃまって何よ!!」
「よっしゃ、みんな、乾杯」
「「乾杯」」
りかこ以外誰も、ジュースを飲んでる人は居なかった。
自分だけ、ジュースを飲んでいることが恥ずかしかった。
「健〜りかこもお酒飲む!!」
「えっ!!止めとけって」
「大丈夫だから」
「じゃあ、半分な」
健が飲んでた、お酒をくれた。
初めてのくせに、強がって、ごくごく飲んだ。
1分くらいで、健からもらった缶は全部無くなった。
「もう、一杯」
「大丈夫か??飲みすぎやって!!」
「平気だから、もう、一杯ちょうだい!!」
二杯目も飲み終わり、頭の中がふわふわする感じがした…。
ヤバい、酔った。
トイレに行こうと思って、歩いたがふらふらして歩けない。
「だから、飲みすぎるなって、言ったろ!!ゴメン、優雅…お水持って来て!!」
「だって、りかこもお酒飲みたかったの――!!」
「健!!お水持って来たで」
「ありがとうな」
「飲めるか??」
「うん。」
お水を飲んでからの後は、全然覚えていない、
気づいたら、りかこは寝てしまった。
起きた時は、夜の8時だった。
「け…ん…健??」
「あっ!!起きたか??」
起きて、びっくり!!健がりかこの隣で一緒に寝ていた。
「健ゴメン↓↓寝ちゃた。」
「これからは、ジュースにしとけよ!!」
「うん、分かった、ゴメンなさい」
あ〜頭痛い。気持ち悪い。
でも、明日は学校がない、良かった…。
「外の空気でも吸いに行くか??」
「てか、もう帰らなきゃ…↓↓」
「あっ!!もう、そんな時間かぁ!!」
「じゃあ、俺らは帰るな!!」
「おぅ、またなぁ」
「お邪魔しました―」
「いつでも、来て良いから!!」
「ありがとうございます―」
初めて…たまり場来て、酔って寝ちゃって、ウチの第一印象…最悪だし↓↓とか、思いながら、歩いていると、健が真剣な顔で話しかけてきた。
「りかこ…お前のこと彼女とか、言ってゴメンな」
「いいよ」
「お前の気持ちまだ聞いてなかったし…」
「ウチは健のこと、す…き…好きだょ」
今の素直な気持ちを言った。
健の第一印象は、正直…無愛想で怖い人だなぁと思ってた。
でも、最初の気持ちと、今健に対する気持ちは、正反対だ。
「りかこ…上向いて!!」
健の冷たい手がりかこの肌に触れる。
健の手がりかこの頭を引き寄せる。首に手を回した。
りかこの唇と健の唇が重なり、何回も何回もキスをした。
まるで、あの日、文化祭でしたキスを忘れるかのような…。
優しいキスだった。
「可愛いなぁ」
「えっ!!」
「いや…別に。これ以上は手出さないから。心配すんな、お前が俺のこと信じられるまで、待つから…。」
「ゴメンね」
「お前が誤ることないから…。」
「でも…」
りかこが言い終える前に、健はまた、唇を重ねた。
この日も、健に送ってもらって、家に帰った。
この日から…。
健はりかこの彼氏。
りかこは健の彼女になった。