その3
最初は夢じゃないかと思った。
でも夢じゃないようだ。
きらきらと輝く銀色の髪をそのまま流し、翡翠の様に澄みきった深い緑のくりっとした大きな瞳にはしかしながら生気を感じることはできない。
たしかにそこに彼女はあるようだった。意味がわからないので下にある説明書きを読んでみる。
『不良品のため当店にて税抜き百円で販売しています。
性能:一言で言うならポンコツです。使えません。家事全般できません。所有者に敬意を払いませんが、従順ではあります。型番は最新です。見た目の変更はできません』
「ひどい言われようだな」
しかし見た目に関しては今でも十分だろう。
それに俺には彼女がいなかった。
そしてこの娘は俺のタイプど真ん中だ。
「買うべきか買わないべきか」
しかし先程手荷物になるものを買うのはあり得ないとして、アイスかジュースを買おうとしたばかりだし・・・・・って問題はそこではないな。
じゃあなにが問題なんだ?
何を迷う必要がある?
俺には彼女もいなければ、今は独り暮らしで家に家族もいない。
そもそもアンドロイドは本当ならかなりの高級品だ。少なくとも高校生が購入できる値段ではない。
それが百円で売っているしかも可愛い。そうとわかればすることは一つである
「よし買おう、さあ買おう、すぐ買おう」
そうわかった瞬間俺のテンションは最高潮に達した。
そして大きなカートを大急ぎで持ってきた俺は、その娘をカートになんとかのせて、レジに向かった後、最終的に背負って帰ることになり結局家につく前に死にかけたのはまた別のお話し。