唐突なる父
「すまない笹江さん、こいつに伝えるのを忘れていた」
振り向くとそこにいたのは死んだはずの父さんだった、なぜか神守さんは跪いていた
「よっす奏樹、元気にやってるか?」
「……寝る」
これは夢に違いない、父さんは死んでいるしこんな中二病全開の知り合いもいない、そう考えながら俺はベッドに潜った。
「まてまて奏樹、父さんの話は終わってないどころか始まってもいないぞー」
「うん、これは幻想非現実妄想夢幻覚幻聴……俺疲れてんだな、うん」
俺は自分に言い聞かせるようにこれが現実じゃないことを呟いた。
「おい、奏樹、夢じゃないぞ……ああ、笹江さんもういいよ」
目を開けると笹江さんが立ち上がったのが見えた、父さん見えた。
「……じゃあ話ぐらいは聞くよ」
「やっとその気になったか、世話のかかる息子だ、笹江、あの……あれ……」
神守さんがどこからか携帯のような物を出した。
「どうぞ、これが今日の予定でございます……約30分ぐらいの時間が残っております」
「ありがとう、とり合えず聞け」
「聞くって」
父さんは咳払いをして話し始めた。
「驚け! 父さんは閻魔大王になった!!」
「…………は?」
「聞こえなかったか? 父さんは閻魔大王になった!!」
誇らしげに言う父さんをしばらく見つめて言っている意味が分かった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」
時間経過、約三十分
「じゃあそういう事だから」
「ちょ、ちょっとまてよ!!」
「後は任せた」
「了解いたしました」
神守さんが一礼した、父さんが消えていった。
神守さんが俺の方を振り返った。
「そういうわけで奏樹様の護衛をさせてもらいます、神守笹江です」
「…………」
似たようなセリフをさっき聞いた気がする。