最後の審判所・仕事
「笹江さん、こっちよろしく」
「了解致しました」
笹江さんがダンボールを軽々と持ち上げた。
「次は二番の奴を十番に頼みます」
小鬼が指差しながら俺に言う、俺は二番のダンボールを持ち上げた。
手伝いを始めて半月が過ぎた、二つ毒鎌事件から笹江さんはほとんど寝ずに俺を護衛している。
「大丈夫? 笹江さん」
ダンボールを置いて来た笹江さんに話しかける
笹江さんは笑顔で
「大丈夫です、最低限の休息はとっていますから」
手伝いの合間に休息をしているのだろうか
「二十番から三十番を十一番に」
小鬼の指示に従ってダンボールを持ち上げて呟く
「死後の世界にダンボールってあるんだ……」
その日のうちに荷物移動の仕事が終わり、翌日からは列整理だった。
最後の審判所、つまりは天国に行くか地獄に行くかの審判所の列整理だ。
「こっちにお並びください」
などと声をかけていると怒鳴り声が聞こえた。
「大人しくしやがれ! いいじゃねぇかよぉ、こんなところに娯楽なんて無いんだからよぉ!」
見ると一人のいかつい男性が笹江さんの腕を掴んでいる、俺は苦笑いで呟く
「笹江さんに手を出すとか……再度死ぬぞ」
死ぬとは言い過ぎたが……まあ無茶な事をする男性だ
「やめてください、困ります」
しかし笹江さんは最低限の抵抗しかしていない
「……もしかして」
ここで笹江さんが振り払えば男性が何をしでかすかわからない、もう男性は死んでいて恐らくは地獄に行くような事も生前していたのだろう。
つまりは恐れるものがない状態なのだ。
それに笹江さんは自分の力を最低限護る事にしか使わないようだ。
自分の顔を叩いて気合を入れて笹江さんの方に歩き出す。
歩きながら俺はこの半月の修行を思い出していた。




