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Mystic Lady ~邂逅編~  作者: DIVER_RYU
第三章『必殺海底仕事人』
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『必殺海底仕事人』 序

~前回までのあらすじ~

琉ちゃんはある時海底遺跡でロッサちゃんを見つけました。でも彼女、なんと記憶が一切ないのぉ! だから琉ちゃんは彼女の記憶のためにあちこちの遺跡を回る決意をしたワケ。それでオイラ達ディアマンの住むアルカリアのソディア島までやってきました。そこで以前に彼から送られた棺を調べて分かったことを教えてあげたよぉ。あれはコールドスリープ装置で、ロッサは約三千年前に封印されたみたい。その時期は大きな戦争と洪水があったんだよねぇ。だとしたらロッサはそれから逃れるために? でもまだ分からないことが一杯あるよぉ!

 あの飲み会の翌朝。琉はカレッタ号にて準備をしていた。


「やっと俺の日常が戻ってきたぜ。さてロッサ、今日やることだが……」


 海図を出し、琉はロッサに説明を始めた。


「今いるのがここ。ここからざっと30分でこの白い点、エリアδに着く」


 相槌を打ちながら話を聞くロッサ。エリアδの古代文字は解読されておらず、更に入り組んだ独特の地形が特徴である。そのため、ここはかつて大きな町だったのではないかと考えられているのだ。しかしその入り組んだ地形は数々の探検家の行方を阻んできた。


「一応ロッサには……留守番をしててもらおうかな。仮に何かあったらそこの装置が鳴るようにしてある。あとは俺の言う通りにすれば動くはずだ」


 琉は準備を終えると舵を握った。発進するカレッタ号。天気は快晴で波もなく、探索にはもってこいの海況である。海の水は青く、透き通っていた。


「エリアδ、座標確認。ダイバースイッチ・オン!」


 琉の声と共に、舵の中心にあるスイッチが入る。甲板が装甲に覆われ、ロボットアニメを思わせる変形音を鳴らしながら船の形が変わってゆく。


「すごい、すごーい! 船が海の中に入っていくー!!」


 ロッサを乗せて潜水するのは初めてのこと。話には聞いても体験まではしてなかったロッサにとって、これは忘れられない思い出となるだろう。


「今日はあまり来てないようだな。まぁ、気楽だから良いか。アンカー・シュート!」


 水深約80m付近。掛け声とともにスイッチが押され、碇が放たれる。カレッタ号のライトが、遺跡全体の光景を照らしていた。15mはあろうかと思われる、四角い塔のようなモノが乱立した遺跡の地形。本来はもっと高かったのだろうか、どれも途中で崩れたり倒れたり。多量の付着生物等によって原形を留めていないが、これはかつて高い建物だった推測されている。その証拠に内部は空洞で、中から人骨が見つかるのである。しかし何のために大きな建物を建てたのかは依然謎のままである。


「ロッサ。ジャックによれば、君の“目”が見つかったのはこの辺らしい。何か、覚えてないかい?」


 外の風景を眺めるロッサ。しかし……


「駄目、何も思い出せない……」


「流石に、ここまで崩れたら分からないか……」


 うつむくロッサに琉は言った。ここはあの“大洪水”により壊滅したとされており、それもかつての街の姿が分からぬほどに崩壊したのである。


「クラストアーム!」


 琉はカレッタ号に備え付けられた装置、クラストアームを展開すると辺りのガレキを取り除き始めた。


「よし、これで入れるぞ! ロッサ、ちょっと付いて来なさい」


 琉はポケットから取り出したライセンスを舵の中心にあるスロットに差すと、背後にある重い扉が開いた。扉の向こうには小さな部屋がある。琉とロッサが中に入ると扉が閉じ、そのまま船底に向かって降りて行った。エレベーターから出るとそこには巨大な装置と小さな個室があった。


「ちょっと待っててくれ」


 そう言って、琉は個室に入って行った。扉を閉め、鍵のかかる音がする。


(彼女にこの部屋を見せるのは初めてだな。さぞかし驚くだろうな~!よしさっさと着替えるか……ん?)


 琉はある違和感に気が付いた。ここは着替え用の個室である。にも関わらず、何処かから視線を感じるのだ。


「ハハ、まさかな……!? こら、ロッサ! 着替え覗きはやめなさい!!」


 なんとロッサが、扉の上に手を掛けて覗き込んでいたのである。


「琉だって以前お風呂覗いたじゃん。ところで、その食いこんでる布は一体何?」


「あぁ、これ? ふんどしだ……って、早く降りなさい! 全く……ってちょっと待て。この間のジャックと一緒にやった奴、バレてたのか!?」


 顔が真っ青になる琉。その一方で、覗かれるのも覗くのも平気なロッサ。彼女にはどうも“羞恥心”というモノがないらしい。


(落ち着け、今はそんなこと考えてる場合じゃないだろ! 仕事だ、仕事!)


 潜水作業で最も大切なことは“冷静でいること”である。非常に危険を伴う作業だからこそ常に心を落ち着かせ、ゆったりとした気持ちでいる必要があるのだ。興奮状態に陥るとガスの消費が激しくなり、最悪の場合は呼吸が出来なくなってしまう。


「お待たせ。じゃ早速、ラングアーマーお披露目だ」


 ウェットスーツに着替えた琉は、備え付けられた装置に向かって背中を向けた。琉の背後には人型のシルエットが両手を広げたポーズで描かれている。その“手”の部分に、スイッチが一つずつ備え付けられていた。


「では、ちょっと離れて。ハァーーッ……」


 目を閉じ、交差した両手を伸ばしつつ呼吸を整える琉。


「ラングアーマー・セットアップ!」


 掛け声とともに両手を広げ、拳で二つのスイッチを押す。すると琉の頭上に傘のような装置が現れ、スポットライトのように彼を照らした。そして琉の体は黒い霧状のモノに覆われてゆく。スイッチを押してわずか1秒。彼の体は漆黒の装甲に覆われた姿となった。


「すごい……」


 思わずロッサの口から言葉がこぼれる。琉は口元の装備、マウスピースをカチッ、とはめ直した。すると独特の起動音とともに、彼の装甲に紅い縁取りや模様が入って発光する。


「これで装備完了だ。それじゃあ、行ってくるよ。操舵室で待っててくれ」


 目の前の床が開き、琉はそっと海の中に飛び込んだ。床が閉じるのを見届けると、ロッサは操舵室に向かった。

 操舵室に行くと、窓の外に琉の姿があった。アードラーに乗り、船の中に向かって手を振っている。ロッサはそれに気付くと振り返した。琉はロッサが振り返すのを見ると、頭にある耳かヒレのような装置を触り始めた。するとロッサの近くから呼び出し音が響き始める。


「あー、あー、聞こえるかい?」


「聞こえるよ!」


 琉は窓越しに頷いて見せた。 


「良いかい、海中と船内での連絡はそいつで行う。また鳴ったら出てくれ。それじゃ!!」


 琉はアードラーにしがみつき、そのまま遺跡に向かって行ったのだった。


今日はアルにあらすじを読んでもらいました。なんか長いですw そして今更ですがタイトルはネタですww

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