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Mystic Lady ~邂逅編~  作者: DIVER_RYU
第八章『地下聖殿に潜り込め』
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『地下聖殿に潜り込め』 破

地下聖殿への入り口を見つけ、更にメンシェ教徒を一人捕えた一行。琉とロッサによる尋問の結果、連れてかれた場所までは判明したのだが……。

 琉とロッサが問い質す中、レーダー装置を見ていたゲオが声を上げた。


「……悪運の強いヤツめ。質問を変更するぜ、連れて行った二種族の方達をどうしてる? 牢に閉じ込めて……それだけか?」


 焦りの表情を浮かべ、琉はロッサを止めて別な質問をした。


「へ、部屋……。“浄化室”だろうな多分……」


「浄化室? 何なんだその部屋は」


 アルとゲオの顔に、一瞬だけ電流が走った。嫌な予感しかしない言葉である。


「浄化するのさ……汚らわしい亜人種のヤツらを、聖なる煙でな……」


「何だって!?」


 四人は同時に口を開いた。


「聖なる煙……ということは、浄化室はガス室か!?」


「ま、そういうことだ。あと30分で浄化が開始されるはずだな……」


 四人の顔から血の気が引いた。


「ガス室だと……まるでかつてのラディア帝国じゃねぇか……」


 ラディア帝国とはこの世界で最も古い国である。現在は遥か北方のポロニア島とラドン島にのみ領土を持つが、現在は鎖国しており入ることさえままならない。遺跡文明の時にはこの世界の3分の1を占めていたと言われる一方、領土だった場所の遺跡調べるとガスボンベの付いた部屋や奇妙な形をした骨が見つかるというダークサイドに溢れた国でもあるのだ。


「チッ、こうしちゃおれん! 行くぞ!!」


 ゲオがレーダー片手にいきり立つ。三人も同調した。


「とりあえず、コイツは縛ってその辺の倉庫にでも放り込んでおこう。ロッサ、いつもの」


 琉がそう言うと、ロッサの全身がたちまち液化し、見る見るうちに形を変えた。そして……


「じゃ、しばらくは彼女がアンタの代わりをするから。そこで大人しくしてな」


 四人はすぐに入口まで走った。だが、


「しまった、このまま行けば確実にやられる! 特にアルとゲオは目立つしな……」


「ローブ剥ぐしかないねぇ。ただオイラだと服が鱗で破れちゃうよぉ」


「琉、ここからはどう?」


 ロッサが何かを指差している。


「これは……通気ダクトか! でかしたぞロッサ!!」


 琉がカバーを外すと、ロッサが早速入り込んだ。入り込むと同時に姿がいつもの美女の姿に変わる。こちらとしてはなるべく波風立てずに行きたい所であり、その上こういった狭いところは彼女の得意分野である。そして琉も続いて入り込んだ。だが、ここで問題が一つ。


「うへぇ! ロッサちゃんは余裕でも琉ちゃんじゃ肩幅ギリギリじゃないかぁ! こりゃオイラ達じゃあ無理だよぉ……」


 その様子を見ていたアルがそう言った。アルとゲオは琉よりもガタイが良く、とてもこの通気ダクトをくぐれなかったのだ。 


「えぇッ、マジかよ!? じゃあ二人は外で待つしかないか?」


 するとゲオが、懐からあるカードを取り出して琉に渡した。


「携帯電話に差せばレーダーが表示されるはず。これを使って……オレ達の家族を頼む!」


 琉は早速携帯電話にカードを差しこんだ。すると、たちまちその液晶画面に座標とポインターが表示されてゆく。


「オイラからもよろしく頼むよぉ! とりあえず、こっちは外で待機してアイツを見張ってるから。何かあったら連絡して、強行突破なら得意だから!」


「そうか……。ありがとう、任せてくれ!」


 かくして、琉とロッサが潜入を開始したのであった!


「よし、行こうかロッサ! ……しかし暗いな、っと」


 琉はパルトネールと携帯電話を取り出した。その液晶画面に、あのレーダーが表示されている。更にパルトネールの先端を光らせ、奥を照らした。が…… 


「あーしまった、俺が前に行った方が良かったか。ロッサ、前見えるかい?」


「ちゃんと見えるよー! そうそう、この先下に落ちてるみたい」


 ロッサの目は暗闇でも利くように出来ている。琉はパルトネールの光でロッサの後を付いて行くことにした。


(それにしても、ロッサは胸だけじゃなく尻もキレイな形だよな……って何考えてんだ俺!?)


 狭い空間、真っ暗闇、あまつさえ男女が二人きりである。こんな感情を抱くのもムリはない。体の奥から熱くこみあげそうになるモノを押さえこみつつ、琉はロッサの後から付いて行った。

 やがてロッサの言う、下に落ちる地帯に着いた二人。垂直に落ちるダクトの中を、液化してスルスルと降りてゆくロッサに対し、腕と脚で突っ張りながら慎重に降りてゆく琉。階層を確認しながら、二人は降りて行った。


「ここが一番下みたい。深さからして4階だと思うけど……」


「そうか、だったら良いんだが……。肩幅キツいぜ」


 ギリギリの肩幅の中を狭そうに下る琉。しかし問題はこの後だった。


「うへぇ!? まずい、流石にこの隙間は通れねぇ!!」


 レーダーの反応を追ってダクトを通る二人。ついに、ポインターに最も近い出口を発見したのである。だが、それは……


「トイレの通気口、何で入口みたいにしなかったんだ?」


 二人は念願の出口を前に立ち往生、ならぬしゃがみ往生していた。今更ながらご都合通りに行かぬ結果に嘆く琉。だが、同じく出口を見ていたロッサの脳裏にはあるアイディアが浮かんでいた。


「ねぇねぇ琉、わたしに良い考えがあるんだけど」


「お? え、何々どうするのどうするの!?」


 思わず食いついた琉。まさに地獄に仏、この時の琉にはロッサが天使か、ひょっとすれば女神に見えていたであろう。


「んー、ちょっと息を止めといてもらえる?」


「はいはい、了解……んんん!?」


 ロッサの指示通り息を止めた琉。するとロッサがスルリと琉の背後に回り込んでがっちりと背中に抱きつき、何と液化しだしたではないか!


「んぷぷぷぷ!?」


 息を止めたまま声を漏らす琉にお構いなく、液化したロッサの体が琉の体という体全てを覆い尽した。そして琉を取り込んだまま、蓋を外した通気口に近寄るとそのまま自らを潤滑剤にして一気にすり抜けたのである! ボテッ、という音と共に二人はトイレの個室に落下した。


「よっ、と。どう? ちゃんと出られたでしょ」


 琉から素早く分離し、ロッサは得意げにそう言った。


「よ……よくやったぜロッサ……」


 琉は半ば放心状態となっていた。落下先の様式便器に座りこみ、その青い目は何処か宙を見ている。そして何故か、全身がカタカタと震えていた。


「琉、大丈夫? 一応、溶けたりしないように気を付けたんだけど」


「あ、ああ、大丈夫だ問題ない……。それより、時間はどれくらい経ったんだ?」


 ロッサに手を取られ、琉はやっと立ち上がった。


(やば……。一瞬だけ、マグロに丸のみにされるイワシの気分が味わえたぜ……。しかも服に、妙に甘ったるい匂いがしみついたな。あとロッサ、胸どころか身長までも伸びてないか?)


 こんなことを思いつつ立ち上がると、琉は携帯電話を取り出して時間を見た。


「20分経過、残り10分か。急ぐぞ!」


 琉とロッサは壁伝いにしつつトイレを後にした。レーダーを頼りに走り抜ける二人。地下室独特の薄暗さが、更に緊張感をかきたてる。案の定、招かれざる客に気付いたメンシェ教徒がこちらに向かってきた。


「パルトネール・シューター! パラライザー!!」


 琉はパルトネールをシューターに変形させ、向かってきた教徒を撃った。しかし奥にはまだまだ教徒がいる。琉はロッサを後ろにかばいつつ、トリガーパーツのSスイッチを入れて構えた。


「こっちは忙しいんだ! コイツは痺れるぜ、覚悟しろよ……。パルトスパイダー!!」


 声を当て、琉は武器を持ったメンシェ教徒達の頭上目がけて赤い光弾を放った。すると光弾はメンシェ教徒達の頭上でクモの巣状に広がり、そのまま覆いかぶさったのである。


「わ、何だこれは……うっ!?」


 たちまち絡め取られるメンシェ教徒達。パルトスパイダーはパラライザーのエネルギーを投網状にして放つ技である。数体の敵の動きをまとめて封じることが出来る一方、パラライザー10発分のエネルギーを消費する上に大きなスキが生じるために奥の手として取ってあったのだ。ある程度まとまった人数を相手にする際に役立つ技である。


「この奥か?」


 二人は牢獄があると思しき部屋のドアまでたどり着くと、琉はパルトネールを、ロッサは戦闘用に変化させたその腕を構えた。


「ロッサ、準備は良いな? 俺がヤツらを引きつけるからロッサは中にいる人達を出してやってくれ、良いね?」


「うん、分かった!」


「よし、なら……。3……2……1……!!」


 カウントダウンを終えると同時に琉はドアを蹴り倒して突き進んだ。突然の来客に驚く囚人達。琉は見回りをしていた教徒に早速パラライザーを浴びせてそのローブを強奪、それを着こむと更に突き進んで浄化室の扉を探した。一方のロッサは鉄格子の鍵穴に液化した指を入れ、合い鍵にして次々に開けていった。


「ロッサ、浄化室が見つかったぞ! そっちはどうだ?」


「全部開けたよ! 面倒くさいから途中から全部溶かして回ったけど」 


「まぁ、その方が早いよな。さて、この部屋だ。ご親切に堂々と浄化室と書いてやがる。遠慮なく入らせてもらおう」


今回の二人はアグレッシブですw ロッサもかなり役立つ子になりました。さて次回、いよいよ突入です!

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