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日本を未来へと導く者 ~陸上自衛官、江戸に立つ  作者: はぐれ火星人
徳川家宣政権…翔馬、伸び伸びとやりたい放題する

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チュクチの若き戦士 アイヴァンの経験

この世に、あれほど大きな船が存在するとは思いもしなかった。

初めてその姿を見たとき、胸の奥がざわついた。海の上に浮かぶというより、海そのものをねじ伏せて進む巨大な獣だ。


あんな船があれば、鯨を追うのも、氷の海原を越えるのも、造作もないだろう。風の向きも、荒れた波も、まるで関係ない。自分の意志で海を割って進む“生き物”にさえ見えた。


俺に同行した二人も同じらしく、目を輝かせながら船内を歩き回っていた。

日本人の兵が「そこは入るな」と身振りで示したが、あの背の高い男…この船で一番偉いらしいショーマが、軽く手を挙げて許した。兵たちが一斉に頭を下げる様子は、まるで神の遣いに礼を尽くしているようだった。


チュクチ語を話せるだけでなく、物腰も柔らかい。強いと確信できる落ち着きをまとっている。

ああいう人間には、精霊が宿っている。そうとしか思えない。


カムチャツカを横目に通り過ぎた時、ショーマが「ここから先が今の日本領だ」と教えてくれた。

出航からまだ二日。俺たちの大地はまだ近いはずだ。日本は我々の土地のこんな近くまで国を広げているのか?それともこの船が異様に速いのか。どちらかは分からないが、ただただ俺たちの世界が辺鄙で小さく思えた。


さらに三日。ようやく見えてきたアイヌの地は、冷たい風はあるが雪の気配は薄かった。

苫小牧に到着した瞬間、俺は言葉を失った。


最初、町ができて二年と聞いていたので、あばら家だらけの集落を想像していた。しかし、実際は、港にはこの巨艦と似たものがずらりと並び、町は見たこともない高さの建物が並び、広い道には“鉄の馬”が人を乗せて走っている。夜なのに昼のように明るい町。炎の光が道を照らしていた。

アナディルは大きい町だと自負していたが、ここと比べると本当に辺境の田舎だ。町の大きさに度肝を抜かされた。


到着した晩は、ショーマが食事に誘ってくれた。案内された店では、湯気の立つ大鍋――オナベと呼ばれていた――に蟹や魚や貝が泳いでいる。味は…言葉にならないほど美味かった。最後に入れた白い細い麺は、噛むほどに旨味が染み出し、思わず感動で目を閉じてしまった。


「日本に加われば、こんな美味いものを日常的に食えるのか」

自然とそう思った。同行の二人はすでに無心でかき込んでいた。


宿は四階建て。固い岩でできている。案内された部屋には、温かい水と冷たい水が管から湧き出す。

浴びた瞬間、身体の芯まで解けるようだった。冬の間、冷水しかなかった俺たちには天国のようだった。

部屋は明るく、暖かく、夜の寒さを忘れるほどだ。


翌日。和人とアイヌの女が入り混じって笑い合う広間に案内された。

昨日から町で何度も目にしていたが、二つの民族がこんなに自然に肩を並べるなど考えたこともなかった。ショーマが見せた”写真”そのものの光景は、ごく自然に溢れた光景だ。

やはり、平和裏に彼らが融合したと考えるのが妥当だろう。


来る前は、きっとアイヌを服従させたのだろうと思っていた。そうじゃないと、異民族と打ち解ける方法なんて思いつきもしない。

子や女を奪い、反対する者は消す。自分の都合のよい色に書き換えていく…

しかし、ここにはそのような雰囲気は感じない。


彼女らは、会話の様子を見ると、お互い言葉が完全に通じるとは思えない。なのに、なぜこうも混じり合えるのか。

その謎はすぐに分かった。


俺たちが連れてこられたのは“声を遠くへ飛ばす技術”の基地だった。ここから発した声が、一瞬でアイヌの地全体に届くのだと。

和人もアイヌも、同じ情報を同じ時に共有できる。

だから争いがなくなるのだ。まるで精霊の力。夢の国にいるようだった。


「本日は、北の遠い国からお越しいただいた、チュクチ人の三人をご紹介します!皆さんに説明しますと…フムフム…暖かそうな毛皮の服と牙?骨?の首飾りをつけた、なかなかの男前さん達ですよ」

その可憐な少女の声が響き、別な女性が違う言葉でそれを復唱している。

ショーマが通訳しながら俺たちの名を紹介してくれた。俺たちは彼女の質問に答え、文化を紹介し、歌を披露すると、その後どこへ行っても、見ず知らずの人達に「アイヴァンさーん!」と手を振り声をかけられる。人に慕われるのは、恥ずかしいと感じる反面、決して嫌というわけではない。

昨日の声が本当に届いていたのだと実感した。


しかし、日本で一番驚いたのは…軍隊だ。

ショーマが軍の島に連れて行ってくれた。

俺たちも戦士。一番興味があった部分だ。


そこで目にしたのは、天と地がひっくり返っても俺たちが作れない武器の数々。

遥か遠くまで飛び、着弾すると大地を割る火の玉(迫撃砲)

500m先の標的に寸分違わず当てる銃

そして船に積まれるという巨大な砲…弾丸は拳ほどもある(76mm自動装填艦砲)

そんな武装した兵士が広場を埋め尽くすほどいる。


ここは日本にとっては辺境の地。本土に行けば、どれだけの兵がいるのだろうか?

考えただけで末恐ろしくなった。

この国には3000万人が住むと聞いたが、その数は想像もできない。きっととてつもない数の兵士がいるのだろう。

その瞬間に決めた。


『日本を敵に回してはならない。絶対に』


ルーシの兵など、ここから見れば原始の民だ。

この違いは、俺たちの力では埋められない。


父が反対しようとも、もう決して曲げない。命を懸けてでも抵抗する。

同行の二人にも話したが、誰も異を唱えなかった。


『日本を味方にする』

それが唯一の道だ。

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