表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本を未来へと導く者 ~陸上自衛官、江戸に立つ  作者: はぐれ火星人
宝永地震と綱吉政権下

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/89

1708年 年末 国土改造計画進捗

江戸から大坂までを貫く「一級国道」は、幕府命令により全国で規格が統一されていた。

まずは江戸と大坂の間。それが終えると、各藩で局地的に行っている工事を繋げて、全国を縦貫する国道を作る。


道幅12メートル以上、両側に広い歩道を備え、路面は小田原タイルで舗装。耐荷重は十五トン以上。

建物の建築規制も歩道から4メートル以上と定められた。道路敷設による旧集落の取り壊しを避けるために、集落を避けつつも遠すぎない立地選考をするのには苦労をした。


この道路規格は、各藩の作事奉行や代官を通じて既に周知され、異を唱える余地はない。


もっとも、各地の現場では声が上がる。

「十二間幅も要りますかねえ? 大八車(手押し車)なら半分もあれば通れますのに」

「歩道まで敷くとは、何がしたいのか理解できん」


だが、その場にいる発明奉行・翔馬は揺るがない。


「目の前で動いているだろう、この怪物のような重機を。これを走らせるのに細い道ではどうにもならん。人を轢いたりでもしたら目も当てられないのは想像できないか?車と人の分離は必要だ。」


「道が広くなければ、仕事そのものができぬのだ。

そなたらはもう、新しい時代に片足を突っ込んでいるのだよ。先を見越して行動することの意味をまずは理解せよ。」


役人や職人たちは顔を見合わせ、やがて黙って頷いた。



ーー小田原タイル工場


工事の要は小田原タイルの供給であった。

翔馬の命で建てられた窯は増設を重ね、20棟を直列につなぎ、24時間稼働で炎を絶やさない。

車道用タイル一枚は30センチ角、厚さ15センチ。およそ32キロの重量がある。歩道は5センチ厚。


窯ひとつで一日に300枚前後が焼き上がる。20棟なら一日6000枚。月にすれば18万枚を越える。


さしあたって、江戸や大坂京都に近い場所にタイルが送られていく。道路を全部しきつめるのにはこのペースであれば30年はかかるだろう。更なる増産が必要になってくるのは明らかである。


現場責任者の庄吉に相談する。製造はどのような感じか?

「1日3交代制でやってますが、結構手一杯です。余力がもう少し欲しいところです。」


翔馬はニヤリと笑い…

「では、窯の数を倍にすると言えば?」

「ひぇー…今の倍ですかぁ。今のままなら死んじゃいます。でしたらあと100人は人員がいないと。」


「よし、庄吉、お前は現場よりも管理に徹底しろ。今より小田原タイル部の部長に任命する。俺があと200人は回すのは約束しよう。八平のおやっさんに頼んで窯の増設はしてもらうから、倒れぬよう、力加減をしながら仕事に当たれ。お前だけじゃなくて全員な。まずは体が第一だ。」


「部長?ってなんだ?… まぁ、200人いれば倍以上いけますぜ。翔馬さま…ありがとうございます。」


翔馬は肩をすくめて答える。

「お前はその二百名を率いる長ということだ。励めよ?」


庄吉は背筋を伸ばし、顔を引き締める。



ーー道と鉄道


鉄道も国道と並行して計画されている。


ただし今は道路優先で、鉄路は炭鉱や銅などの資源を中心に延伸しており、その他では越後のような広大な米どころなどに限られていた。


線路敷設のための盛り土や砕石は、国道工事と並行して準備される。

道路を整地し、出た土砂はそばの線路の盛り土として圧縮される。

これだけやっておけば、鉄の供給が追い付く頃には早めに開通できるだろう。


「翔馬様、これでは鉄道はまだ人を乗せられませぬな」

「まぁいい。道路が先であってもなんら問題はない。まずは物を運べることが重要だ。」


江戸から横浜、小田原へと伸びる国道はすでに半分が完成。

大坂から京都、近江へと延びる道も順調に進んでいた。



ーー難関のトンネル、橋梁


トンネルは避ける。人力で掘れないこともないのだが、時間と費用を浪費しすぎる。シールドマシーンがあれば着手する予定だが、現状では刃こぼれしない機械を作る技術をまだ持たない。箱根のような難所は、小田原からぐるっと迂回して通す形にした。


そして現状、最大の難関は橋である。

クレーン船を活用して囲いで支柱周囲の水をせき止め、川の底を掘り、鉄筋コンクリートで土台を固める作業は、序盤は発明奉行の監督のもと、幕府の機関に教育も兼ねて指導していた。


職人は腕利きの職人を雇い、技術を習得させると共に、橋梁鳶として専門職を育てる。信用できるまで技術を習得できるようになったなら、幕府に監督をお願いする流れだ。


クレーン船を用いた施工は発明奉行の管轄だった。

「おお、あんな大きな桁を一息に吊り上げるとは!」

「おお、寸分たがわずハマったぞ!」

作業を見守る大工衆は目を丸くする。翔馬は淡々と答える。


「この工事を人の手でやれば十年かかる。いや、この天竜川では人力では難しいかもな。だが、機械があればすぐだ。君らも早く技術を習得してくれ。橋梁鳶は名誉職だぞ。これから日本中の川に橋を作るぞ。」

クレーンに持ち上げられる橋桁を眺めながら、職人らはその言葉を受け入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ