いろはに企画【けっしてカーテンの隙間から外を見てはいけない】
※タイトルは、しいな ここみさんの【してはいけない企画】(開催終了)の割烹からお借りしました。
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親友の美沙が……、いや……美沙はとある満月の晩、おキツネさまになった筈だ。あの紅葉のざわめきも、血のような色の葉っぱも、池の底に沈んでいった“何か”も、昨日のことのように憶えている。
あの晩。積み上がっていた石は、二段だった。そして今日は、十五段になっていた。
神社に奉納されている高級食材。
「オ・ナラ」と読める千社札。
延々と続く、千本鳥居。
二千を超えた頃から、数えるのが面倒になった。
空気が青みを帯びて、息苦しくなってきた。
目の前を覆うカーテンを開ける。
視界の先は大きな月で。
地球は、遙か下の方に見えた。
ああ……二段の時に開ければ良かったな。
この漆黒の空間が、新しい私のスペースになるのか。
手書きです。即興w