第3話 「学園の洗礼を砕く」
先程の女の子は、平民出身で聖魔法ができることで、特別に入学が許されるたんだって、よく見ると本当にかわゆす。名前は、ユリアン マグナガルルモンと舌を噛みそうな名前なんだけど、ユリアンちゃんと呼ぶことにした。
亜麻色の髪にくるりんぱとした翠色の瞳、透き通る様な肌に、出るところはちゃんと出ているって、まさに、ヒロインですと言わんばかり、かわゆすね。
おおっと、前世の喪男のような厨二病患者のオタクに戻ってしまった。いかんいかん。といっても、女の私から見ても羨ましい。
そんな彼女は、わたしのことをセイラ様と呼んでくれる。セイラでいいわよと言ったんだけど、「貴族様なので無礼はできない」と頑なに拒否された。
できればセイラお姉さまくらいでも、おっと、又、戻りそうになった。
そんなこんなで、二人でガールズトークに花を咲かせながら教室に入った瞬間、
バシャ!!
私は、水をぶっかけられたのだった。
思わず上を見て、下を見る。そこにはバケツはない。ということは魔法?よく見ると、先程、ユリアンをいじめていた3人、イチビリッチ侯爵家の息子、プーチンチン。その隣には、ネタニヤン伯爵の息子ベンツマリ、モブ子爵家の息子、パーデンネンがそこにいた。
その中で一番爵位の高いプーチンチンが
「ずぶぬれとはいいざまぁだな…準男爵ごときが…俺様のウォーターボールはどうだった?」
くそ…なんでこんな目に合わないといけないんだ。
「おい!!セイラ・アシュラ さっきは油断したが、今度はそうはいかんぞ、光属性の加護なしなんだって」
するとベンツマリが
「俺なんか剣士アザーズの加護を持っているんだぜ」
パーデンネンが
「俺も魔法士エトセトラの加護を持っているんだ。ずぶぬれだから丁度良かったな火属性の俺が乾かしてやるよ」
そう言って、詠唱を始めた。この世界はナーロッパな世界、だから、当然魔法はあるんだけど、一般的には、詠唱をしないと発動しない。グダグダと長い詠唱を唱えている様子を私の後ろで見ているユリアンがハラハラしている。
「ブツブツ。そこのアホ!!うるさいんだよ!!」
するとパーデンネンが
「アホちゃいまんねん。パーデンネン…あああああ!!詠唱が!!もう一度最初から始めないと」
やっぱりアホだった。なんか頭痛がしてきたんだけど、もう我慢ならん。私は、体中にまとわりついている水分を光魔法の応用で蒸発させた。そのことに気付いたユリアンは驚いていたんだけど、
「ユリアン、目をつぶって」
「え?」
「いいから、早く」
「は…はい」
そして、私は手をチョキにして、両手を額に当てた、
「クリ”ピー”、技を借りるぞ、太●拳!!」
私の額がぺかーーー!!と太陽のごとくまぶしく輝きだした。
「「「うわーー、目が目が…」」」
私たちを馬鹿にした3人だけでなく、クラスで私の前にいたみんなが目を抑えて、うろたえていた。
「なんだ。この騒ぎは」
そこに現れたのは一人の美少年だった。この状況はやばい。とにかく、目の前のバカ3人以外に遠隔でヒールをかけたので、みんなの目は元通りになっている。
「あれ?」
「どうしたんだ?」
みんな不思議がっているが、その状況を見たその燃える様な赤い髪に漆黒の瞳の美少年が
「おい…イチビリビッチどういうことだ」
「目が…目が…おお…カイン王太子殿下、こ奴が私の目に強力な魔法をかけまして、ほらご覧ください。クラスのみんなも目つぶしにあって…あれ?」
未だに目をこすりながらあたりを指さす3人に対して、平然としているほかのクラスメイトの姿が何とか見えたのだった。
「ちょっとまぶしかっただけだよな」
「そうね…一瞬は目がくらんだけど、すぐに元に戻ったわよ」
ほかの生徒たちはそう証言しているのを見て、王太子殿下は私に問いかけてきた。
「そこの君、いったい何をしたんだ?」
「ライトですけど…ちょっと強く光るだけの」
「うそだ~!!だったら、俺たちの目がまだチカチカしているのはなぜだ」
「距離が近かったかからじゃないの?」
「そうか…イチビリッチ」
「は…はい」
「貴様こそ、行いを正すべきだ」
「す…すみませんでした」
どこでもいるモブの悪役キャラか…となぜか、王太子殿下が私をじっと見ているるんですけど…そういえば、どっかで見たような。気がするんだけど…だれだっけ…
しばらくして、カイン王太子殿下は、「まっ…いいか」と呟いて私たちから離れていった。
「ユリアン…心臓に悪かったよ」
「わたしも…」
「えい!!」
「きゃ!!」
私はユリアンに抱き着いて癒されるのだった。