第30話 「フロアボス 異形の王」
「……まさか」
壁が開き、現れたのは――
巨大なウォーウルフキング。
その左右に、ウォーウルフジェネラル三体。
明らかに、初級ではない。
「第三層に行く前に……フロアボス?」
「いや、これは――」
ランスロット様が言葉を失う。
私は剣を構えた。
だが、一撃で分かった。
「……通らない」
刃が、弾かれた。
「セイラ、下がれ!」
カイン殿下の制止を無視して、私は一歩前へ。
(なら――使う)
指先に、光を集める。
「《ルミナス・ビームショット》!」
光線が走る。
だが、ウォーウルフキングはそれを――弾いた。
「なっ……!」
次の瞬間。
「グォォォォッ!!」
口を大きく開き、
拡散するブレスを放つ。
(ビグザム……!?)
床を転がり、紙一重で回避するとウォーウルフジェネラルが連携をとって迫ってきた。まるで〇ムのように
ジェットストリーム・ウォーウルフ
ジェネラル三体が動く。
「来る!」
三方向からの同時突撃。
完全な連携。
(ジェットストリーム……!)
避けきれない。
――だから。
「《サンダー・ラム》!!」
身体から、電撃が炸裂する。
「ギャァァッ!?」
三体同時に、動きが止まる。
「今!」
指先から、連続ビーム。
一体、撃破。
二体、撃破。
最後の一体は、
剣で真っ二つ。
残るは、キング。私は、静かに剣を納めた。
「……これは、剣じゃ無理だな」
代わりに取り出したのは、
光属性魔力を極限まで圧縮した――ライトニングセーバー。
スーハー……スーハー……
(集中……集中……)
「フォース!!」
ブーン!!
青白い稲光が刀身を形作り、空気を震わせる。
「行っけぇえええ!!」
縮地。
一瞬で距離を詰め、ライトニングセーバーを振りかざした。
バリバリバリッ――!!
ウォーウルフキングの展開したバリヤーと、
私の魔力が正面衝突する。
稲光が、悲鳴のような音を立てて弾け飛ぶ。
(押し切れ……!)
次の瞬間――
抵抗が、消えた。
やがて、
その音は変わる。
――ビームサーベルが
――モ⚫️ルスーツを切り裂く、あの音へ。
「えい!!」
ブーン!!
ウォーウルフキングの首が、
鈍い音を立てて地面に転がった。
その瞬間。
それまでこちらへ殺到していた魔物たちが、
一斉に背を向け、逃げ出していく。
「……ふぅ」
ライトニングセーバーを消し、私は一息ついた。
――あ。
「おっと、これを忘れていた」
少し遅れて、いつものアレが口をつく。
「また、つまらぬものを切ってしまった……」
そして、現れる影
静寂。
全員が、言葉を失っていた。
「……第三層に、進むか?」
カイン殿下が、重く問いかける。
その瞬間。
「素晴らしい戦いでしたよ、実に」
拍手の音。
振り向いた先にいたのは――
人の姿をした、異質な存在。
「自己紹介をしましょうか」
笑みを浮かべて言う。
「私は――通りすがりの、魔族です」
その背後で、
どこか遠く、誰かが満足そうに嗤った気がした。




