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第2話 「ノブレス・オブリージュ」

10歳になって、コーデリア王立学園の入学することになったのはいいんだけど、加護も魔法もない私は、当然文系。ほかの貴族のお嬢様がたからみれば、さほど美人というわけでもない。だからママはため息まじりに、


「せめて、いい旦那さんを見つけて、少しでもいい生活ができるように……」


これまで剣術などで手もごつごつとしているのに今後は、いい旦那様探しなんて、と思っている私の両肩をぐっと抑えて、ママは


「いい…今日からは教えたマナーを使っておしとやかにしなさい」


「昨日まで剣を振らされていたんですけど」


私の両肩を抑えるままの力が強くなって、私は立っているのでやっとの状態になった。さすがヴァルキリーの加護を持つだけのことはある。


「いいわね」


「は…はい」


私は王立学園でいい旦那様をみつけることにしよう。そう心に決めてた。髪の毛も肩くらいまで戻ったので縦ロールが主流の中、思い切って聖子ちゃんカットをしてみたら、案外イケてると自画自賛していると、私の髪型を見たお母様は、卒倒した。


こうして順風満帆?の学園生活が始まると思いきや初日から波乱の予兆を感じさせる出来事から始まった。


入学式の日、私は、学園の門前で、平民の女の子が、貴族の生徒に絡まれているのを見てしまった。


社交会でも三馬鹿トリオで有名なイチビリッチ侯爵家の息子、プーチンチン。その隣には、ネタニヤン伯爵の息子ベンツマリ、モブ子爵家の息子、パーデンネンだ。


「おい、平民がこんなところにいるのは、邪魔だ。さっさとどけ!」


「きゃっ!!」


パーデンネンが女の子を突き飛ばしたのを見て立ち止まってしまった。それは、その女の子のスカートが捲れ上がって、白い神様が見えた瞬間に、思わずラッキー♡と前世の厨二男が出てきたんだけと、スカート抑えて彼らの睨んでいる女の子の姿、かわゆす〜♡そんな姿を見てプーチンチンがご立腹の様子だった。


「平民が何睨んでやがる!」


ベンツマリが相槌を打つ


「そうだ!!ここにおわす方を誰だと知ってのことか?」


最後に、パーデンネンが決め台詞を言った。


「大侯爵領エロシアのイチビリッチ侯爵のご子息であるオチンチンじゃなかった。プーチンチン様だぞ」


「・・・」


「ぷっ!!」


「貴様、なに笑っているんだ」


思わず吹き出してしまったんだけど、そんな私を見て、彼らは睨んでいるんだけど、ここは貴族らしく、ノブレス・オブリージュをしないといけない。


「あまりにも間抜けな話をしているもので、ところであなた達、貴族よね。貴族が か弱い女の子になにしているのよ!」


3バカトリオに詰め寄るとプーチンチンは、鼻で笑った。


「なんだ、お前は? こいつは平民だ。平民が貴族様の前を歩くことは言語道断だ」


「「そうだそうだ!!」」


「それに、平民の肩を持つとは、珍しいな。まさか、平民と仲良くしたいのか?」


「何を言っているのかしら!学園では、貴族も平民もなく平等のはずよね。 それに、どうみても弱いものいじめにしか見えないわよ。貴族たるもの、弱い者を助けるのは当然でしょう!」


「生意気な! 貴様、平民に同情するとは、一体どういうつもりだ!」


「同情? いいえ、私は、ただ、正しいことをしているだけよ!」


「貴様!!この俺に歯向かうとはいい度胸だ!!やっちまえ!!」


ベンツマリとパーデンネンが怒り拳を振り上げてくるんだけど、弟のアーサーからすれば、私にはスローモーションでに見える。先に殴ってきたベンツマリのパンチをするりとするりとよけて、彼の手を引て、盾代わりにすると、


「うわ!!」


そこへパーデンネンが殴り掛かってくる。


「バ…バカ…俺だ、うわあああ」


ばき!!


「あ…」


味方を殴ってしまったのに、驚いているパーデンネンの後ろに私が回り込む私を見失って焦っている。


「どこだ!!どこだ!!」


「ここよ」


彼の後ろで耳打ちをしてあげた。


「ひっ!!この!!」


振り向きざまにパンチを繰り出してきたんだけど、もう遅いんですよ。彼の体重がかかっている足に膝カックンをかけた。


「うわ!!」


パーデンネンは、そのまま前のめりに倒れ繰り出したパンチで地面を叩いた。


「痛い!!」


プーチンチンは、うずくまっている二人の姿に驚き目を丸くした。


「な、なんだ、お前は!!覚えていろーーー!!!」


おお!!今時こんな捨て台詞をはいていくなんて…さすがナーロッパだな~と思っていると未だにへたり込んでいる少女を思い出した。この娘…かわゆす~♡


「大丈夫ですか?」


手を差し伸べると温かく柔らかい手の感触。(変態か私は…)


「ありがとうございます。あなたは、私の命の恩人です!」


「いえ、どういたしまして。私は、ただ、正しいことをしただけよ」


彼女の百万ドルの微笑みに私も笑みがこぼれてしまうんだけど、そんな私を見てはにかむなんて…かわゆす…ああ…厨二病が悪化したかも…


こうして、私の学園生活は、波乱の幕開けで始まった。


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