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第28話 「初級ダンジョン攻略、そのはずだった」

校外学習――


そう呼ばれていた授業は、直前になって内容が変更された。


目的地は、王都近郊に存在する初級ダンジョン。

学園生が実地訓練として何度も利用している、安全が確認された場所だ。


ダンジョン前の広場で、担当講師が声を張り上げる。


「いいか、諸君。今回の授業はダンジョン攻略訓練だ」


一同が静まり返る。


「攻略は第三層まで。

 それ以上は、たとえ何があっても進入禁止。これは命令だ」


講師は手元の資料を確認しながら続ける。


「第一層はスライム系魔物。 ボスはキングスライム」

「第二層はコボルト。ボスはハイコボルトだ」


ここで、講師は一度だけ言葉を切った。


「本来ならば――な」


その一瞬の沈黙に、なぜか胸がざわついた。


「ダンジョンは常に変化する。異変を感じた場合、即座に撤退すること。以上だ」


カイン殿下が小さく頷き、パーティーを振り返る。


「無理はしない。異常があれば、すぐに判断する」


その言葉に、私は小さく息を整えた。


***


第一層は、いつも通りだった。


「ぷるぷる……」


「スライム、三体!」


スライムは単調な動きで迫ってくる。


「私が前に出る!」


ディノス様が大盾を構え、

エリザベート様の火魔法が炸裂する。


「浄化、行きます!」


ユリアンちゃんの聖魔法が淡く輝き、

私はその後方から、光属性魔法を放った。


「《ルミナス・ショット》!」


光がスライムを貫き、霧散する。


ボスのキングスライムも、

ランスロット様の剣であっけなく討伐された。


(……問題なし)


そう、思っていた。


***


第二層に降りた瞬間、空気が変わった。


「……臭うな」


ランスロット様が低く呟く。


現れたのは、資料通り――コボルト。


「ギャウッ!」


「数は多いが、問題ない!」


ハイコボルトも想定通りの強さだった。


――だが。


討伐を終えた直後、

奥の通路から重い足音が響いた。


「グル……ルルル……」


現れた影に、全員が息を呑む。


灰色の体毛。

鋭い牙。

筋肉の盛り上がった四肢。


「……ウォーウルフ?」


イザベル様の声が震えた。


「馬鹿な。第二層に出る魔物じゃない」


カイン殿下が剣を抜く。


(おかしい……)


私の背筋を、冷たいものが走る。


初級ダンジョン。

安全が確認されている場所。

それなのに――


「グルルァァァァッ!!」


ウォーウルフが咆哮を上げ、突進してきた。


「全員、戦闘態勢!」


その瞬間、私は理解する。


――これは、ただの授業じゃない。


誰かが、

このダンジョンを歪めている。


そして、この異変の先には――

まだ、何かがいる。

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