第26話 「決闘の後」
その夜、セイラは親友のユリアンと学園の浴場にいた。広々とした浴場には、湯気が立ち込め、心地よい熱気が肌を包み込む。
(あー、極楽極楽……)
セイラは湯船の中で目を閉じ、全身をリラックスさせていた。前世は日本人。しかも、中二病をこじらせたままDTで死んだという過去を持つセイラにとって、異世界の浴場は、どこか落ち着かない場所だった。
「セイラ様、今日の決闘、本当にすごかったです!」
隣で湯に浸かっていたユリアンが、興奮した様子で話しかけてきた。セイラは目を開け、ユリアンの方を見た。
「あ、ああ…… ありがとう。」
セイラは少し照れくさそうに答えた。ユリアンはセイラの肩に手を回し、顔を近づけてきた。
「私、セイラ様の勇姿に、本当に惚れ惚れしちゃいました!」
「ユ、ユリアン…… 近いよ。」
セイラは顔を赤らめながら、ユリアンの肩をそっと押した。しかし、ユリアンは全く動じない。それどころか、さらに距離を詰めてくる。ユリアンの胸が、セイラの腕に触れた。
(え……!?な、なんだこの感触は……!?)
「うふふ…セイラ様もすべすべですね」
「え?」
「わたし…本当に」
ユリアンは甘えるような声で囁いた。セイラの心臓は、ドキドキと激しく鼓動を打つ。
「ユ、ユリアン?あ…… そういうの……」
セイラは言葉をどもらせながら、ユリアンから逃れようとした。しかし、ユリアンはセイラの腕を掴み、逃がさない。
(ど……どうしよう……)
戸惑うセイラに気づいたユリアンは、つかんでいた腕を離した。
「セイラ様のバカ……」
ユリアンはそう言い残し、湯船から勢いよく立ち上がった。セイラは驚いて、ユリアンを見送った。ユリアンの背中は、どこか寂しそうに見えた。
セイラは一人、湯船の中で小さく丸まった。
(私は一体、どうしたらいいんだろう……)




