第1話 「地獄の特訓の日々とおませな男の子」
加護がない私、4歳から地獄のような特訓が始まった。
父、アーロン・アシュラは、闘神ダイモスの加護を持っていて、このコーデリア王国で五虎将軍の一人、第三軍を統率する大将軍、一代で準男爵に上り詰めた男。今の王様とは学生時代からの友人だとか。
しかし、法衣貴族なので、うちは貧しい。だからこそと父は加護を持たない私に剣術を教えた。
そして、同じ準男爵家出身の母、ハイジ・アシュラは、ヴァルキリーの加護を持っている。剣術、礼儀作法、学問と貴族の義務であるノブレス・オブリージュの重要性を教えてくれた。しかも、超スパルタ。なので、髪の毛が長いと危ないという理由で私はそれまで伸ばしていた髪をバッサリとショートカットくらいまで切られてしまった。
特に剣術は、かなり壮絶なものだった。4歳の私に毎日1000本素振りを始めさせたのだった。4歳だよ。どんなスパルタやねん!!さらに筋トレ、ランニング、謎のお猪口を持って腹筋する等の基礎トレーニングもさせた上で、勉学ときている。
転生していなかったら精神的におかしくなっていると思う。
5歳(やっと"ピーッ"コちゃんと同じ歳)になった。再び聖マリアンヌ教会で、加護と魔力の検査を受けることになった。これは3歳の時、加護がない人への配慮らしい。実は7歳の時にもう一回受けることができる。
今回の結果、
加護 なし
魔力 3
属性 光
これを見た父は悲しそうな顔をしている。実は父は5歳で加護を受けたからだった。そのこともあって少しは期待していたのだと思う。
母は、まだ7才があるわよと言っていたが、7才で加護を授かった記録に残っているの人は、ただ一人、歴史上の英雄、ダイアポロのみ、なので、全く期待はできない。
結果を見ると魔力が上がった。属性は光しかない。雷と火の魔法が使えると言っても魔力3は生活魔法程度だそうだ。
だけど、これって、生活魔法なのだろうか?
実は、サンダーアロ-とファイヤーアロ-もできるようになっている。流石、ファンタジーの世界だ。
しかし、複数の属性は一人一つのはず、ひょっとしてチートかも?と母親に尋ねてみた。
「ねえねえ、お母さん、魔法の属性って一人一つだけなんですか?」
「二つ以上の属性を持っているのは、この国では、ごく僅か魔導騎士団に数人しかいないわよ」
やはり、話がおかしい。けど、よく考えると雷も火も光の一種なんだよね。ということは、磁力も使えるようになれば、ほかの属性も使えるかもとか勝手に思ってしまって、ワクワクしながら魔法の練習をした。
この頃になるとお兄様はお姉様も時々特訓の手伝いをしてくれるようになった。
お兄様やお姉様もヴァルキリーの加護を持っているので、学園ではかなり優秀だとか、けど、お母様に似たのだろう。彼らも手加減をしてくれない。なので、生傷が絶えない私、ある日、ヒールでも使えたらなと思った途端に、嘘?使えた。まさか身体強化も、流石にできないよね、えっ?できた。けど、魔力がすぐになくなっていくのがわかったので、身体強化は剣術の練習の時は使わないで、魔力の練習の時に使用することにした。
そんなある日のことだ。私のところにケインとい同じ歳の男の子がやってきた。
なんでもお父様の友人の子らしい。絶対にイケメンになると思えるくらいの顔に黒髪とブラウンの瞳。これで王太子殿下だったら、完全に主人公、もしくは、攻略対象の一人と言ってもいい。もし、王太子殿下で攻略対象だとしたら、準男爵の娘である私は、完全なモブということになり、悪役令嬢ので下で主人公を虐める実行犯、ざまぁされた時に、下手をすると死刑になりかねない。
妄想はここまでにして、いくらお父様が王様と親友だとしても、こんなセキュリティの低いところに王太子殿下は来ないと考えるのが妥当なところよね。
でも、やっぱり男の子だった。剣術の練習をしていると勝手に入ってきて、私を打ちのめすんだよ。信じられる?
「俺が相手だ」
「えっ?」
ケイン君はいきなり練習用の剣を持って、私の前に立った。
いきなり「勝負」とか言って、襲い掛かってきた。意味が分からないとはこのこと、しかも、彼は軍神の加護を持っていると聞く、必死に彼の攻撃を受けるしかできないでいると
「なんだ!!受けるだけで精一杯か?それでもあのアシュラ将軍の息子なのか」
何を言っているのよ。こんな攻撃されたら誰だって受けるしかないわよ。しかも、一回一回の攻撃が重いし、と思っていると話をしていたせいか隙が生またので、ここぞと受け流しをした。
「おおっ!!」
反撃しようとしたが、相手はすでに構えている。
「うそ」
「へーやるじゃないか。受け流しもできるんだ。じゃあ、本気だ」
バキ!!
私は彼に負けてしまった。けど、優しい。彼も5歳でヒールが使えるらしく。
「わりぃ、ケガさせちまったな。ヒール」
そんな彼に元ヲタ男なのに女の子の身体をしているせいか何故かときめいてしまった。
しかし、それは、束の間のトキメキだった。
練習後、お風呂に入っていると何故か彼も入ってきたのだ。信じられない!!
「あーー!!なんで入ってくるのよ」
彼が入って来たので慌てて近くにあったタオルで体を隠す、
「いいじゃん!!なんで、タオル隠しているんだ」
そんな私を見て、タオルを剥ぎ取ろうするんだよ。もう信じられない。
「いやーーやめて」
しかし、男の子の力には勝てるはずもなく、タオルをはぎ取られてしまった。
「何、はずかしがっているんだ!!あっ」
「いやーー!!」
そして、彼は気づいた私が女の子であるということを
「アーン」
前世は厨二病の男なんだけど、身体は女の子なので、心には女の子の部分がある。なので、思わず泣いてしまった。
さっきのトキメキを返してほしい。
この状況に慌ててお互いの両親が入って来た。そして、ケイン君は素直にごめんなさいと謝った。
「けど、おまえ、女なのに本当に強いな」
「私をなんだと思っていたの」
「あれだけ強いんだから、嬉しくて」
鼻を指でかきながらにっこりと笑う笑顔にぼーっとなってしまった。さっきのトキメキ再び、いかんいかん。これが腐女子が好むBLの世界って、あっ、私、女の子だった。
「てっきり男だと思っていた。同じ年で俺の剣を受け止めたのはお前が始めただからな。ところでどんな加護を持っているんだ。お前の親父と同じダイモスか?」
「わ…わたし…加護がないんだけど」
「え?今なんて言った?」
「加護ないんですけど」
「うそだろ。加護なしであそこまで強いんだ」
「けど私、負けちゃったし」
「そんな事はない。俺も加護をフルに使わないとお前に勝てなかったよ」
「そうなの。はぁ」
「なんでため息つくのさ」
「裸を見られたんだよ。もう、お嫁にいけないかも」
「それは、ご…ごめん。この事は、内緒にしておくから」
「ても、どこからか漏れたらどうしょう」
「もし、お嫁にいけなくなったら、俺が責任をとるから」
こうして彼が遊びにやってくるようになった。本当に結婚するからとか言って私と一緒にお風呂に入るんだよ。しかも、じろじろと見てくるし、まだ、ツルベタだからいいようなものの、本当にエッチなんだから…と言いつつも、前世が厨二病のヲタ男、「反撃~!!」とか言って彼のおちんちんをいじったりもしたんだけど、さすがに私のあそこまではい触ってこなかった。
そんな無邪気で楽しい日々も、6歳になったときに終わった。彼が来なくなったからだった。両親は来なくなった理由は教えてくれなかったんだけど…なんとなく、加護を持たない女の子と遊ぶことを禁じられたのかもと勝手に思ってしまった。
それは、貴族としてよく行われるお茶会にお母様と一緒に参加したときに思い知らされていたからだった。
お茶会だからとカツラを被せられ、ヒラヒラの貴族服を着せられ参加したんだけど話をしていて私が加護なしとわかると話も切り上げて
離れて行った。なので、私は隅っこで一人お茶を飲んでいるしかなかった。いわゆるボッチ…、まぁ厨二病の私には、別に何ともないんだけどね。
しかし、一度だけ、お茶会でケイン君を見たんだけど、ケイン君は私のことに気付いてくれなかったんだ。それはショックだった。だから、やっぱり、ケイン君も同じだったんだと思ったの。
こうして私の厨二病の病状は重くなり、魔法と剣術の特訓に明け暮れる日々を過ごすことになった。
魔法は、ラノベで読んだ通り、魔力は上がっていると思う。(魔力量が測定できないのでわからないんだけと)、ライトの点灯時間は6時間以上可能使えるようになったことからたぶんそうなんだろうと思う。
私が7歳の時、剣神ゴエモンの加護を持つ5歳の弟に剣術で負けた。この時、もっと傷ついたことは、魔力量とは生まれた時に決まっているということを聞いたことだった。それは、弟のアーサーが父に、魔力があることを伝えた時の話で
「魔力量は生まれた時点で決まっている。これは常識だ。だから、アーサーは魔法が少し使えるからといって、過信はしないように」
こうして、私の微かな希望は無くなってしまったのだった。けど、魔法の持続時間は徐々に伸びているので、寝る前のルーチンとして魔力が枯渇するまで魔法を使用することは続けることにした。
そして、7才の儀式の日がやって来た。超スパルタの教育の後、魔法の練習は続けていたら、水、土、風、聖属性の魔法が使えるようになった。
よく考えると光魔法って気功みたいなものかもと思って、陰でドラゴン●ールのような技をやってみると、見事にできたのだった。"ピー"ハメ●、マ"ピー"コ●殺法、"ピー"玉、太"ピー"拳、ちなみに"ピー"空術が使えるので空も飛べるようになっていたんだけど、みんなには内緒にしている。
しかし、なんだかな〜、
加護なし
魔力 5
属性 光
そんな結果に両親は、落胆したのだった。