表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
好きな人の彼氏を探す話  作者: たけのこごはん
1/1

第一話

※この物語で出てくる地名等は実在するものとは関係ありません。

「ねぇ、杉原。お願いがあるんだけど...」

7月19日の放課後。僕の好きな人に、彼氏探しを頼まれた。


「かっ...彼氏が失踪した!?」

彼氏を探してほしいと言った目の前の女性、七瀬さん。前述した通り、僕の好きな人であり、幼馴染だ。

「ちょっ、声大きいって!」

放課後だから人がいないとはいえ、声が大きすぎた。彼女はそれを、顔を近づけ小声で注意する。間近で見ると、彼女の長いまつ毛や艶のある唇がよく見える。僕がまじまじと見ていたからか、彼女は顔を戻した。

「そう。だから、一緒の探してほしいの。」

七瀬さんの彼氏、成瀬隼人は学校でも有名だ。スポーツが出来て、頭も顔も良くて、おまけに御曹司。天は二物を与えないというが、二物どころか五物も与えている。そんな彼が失踪する原因がわからない。彼について詳しく知らないということもあるけど...。誘拐でもされたんだろうか。

「失踪した原因は分かる?」

しかし彼女は首を振った。

「先週突然いなくなったらしいから。隼人君、警察の人たちも探してるんだけど、まだ見つかってなくて。」

「そっか...。」

残念な気持ちの中に安心している自分がいる。七瀬さんの彼氏が見つかってないという事実に。見つからなかったら、チャンスができるかもしれないから。自分に辟易する。こんな自分が大嫌いだ。

「分かった。成瀬くんを探すの、手伝うよ。」

さっき安堵した自分への戒めとするためにも。


帰り道―――。

家が近い僕らは、自然と一緒に帰った。帰路についている間、どこを探すか話しながら。彼女は、

「とりあえず、明日は(さざなみ)駅まで行こう。」

そう意気込んでいた。

「分かった。9時集合で良い?」

「うん。必要なものは、夜連絡するから。」

丁度家が見えてきた。七瀬さんと別れを告げ、彼女の家の向かいにある自分の家へ。

「ただいまー。」

真っ暗な玄関に、自分の声だけが響く。明かりを付けると、家の全容が露わになった。玄関から真っ直ぐ伸びる廊下、その左右に不規則に並ぶドア。廊下の奥には框ドアがあり、オレンジの明かりと談笑が漏れている。

そのどれにも向かわず、廊下に出てすぐ左にある階段を上る。上った先にはL字の廊下があり突き当たりにあるのが自室。扉の先には、ベッドと勉強机だけの簡素な部屋がある。ベッドへ一直線に向かうとそのまま突っ伏した。

「はぁ〜〜〜...。好きな人の彼氏探し、か。」

スマホを取り出すと、画面には『明日から一緒に頑張ろ!』というメッセージが出ている。

「人の気も知らないで...」

そう呟き、目を閉じた―――。

読んでいただきありがとうございます!

☆といいね、ブックマークも是非!


※内容については、千文字程度の短いものが多くなります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ