4 アメリカに行くために……
クチナがコンビニエンスストア【K・Tショップ】で
働き出して2日目に引っ越しのトラック15台が
コンビニエンスストアの施設の裏側の
広大な土地に並んでいた。
そして其処から引っ越し業者が設置された
巨大なテントに荷物を運んでいた。
「何処にしまうんだ!」
「見渡す家にはコレクションが一杯……
輝太が呆れながら聞くと、
コンビニエンスストアから見える数件は
輝太の財によって倉庫として購入された家であり、
その家には入るスペースがないと言うクチナに
「それじゃ、何処に?」
輝太が再び聞くと、
「新築のマンシャンがあるよね」
最近は境成学園に入る生徒、
その生徒の親、境成学園の運営元の岩崎グループ、
その岩崎グループを牽引するソヌース・エレクトリックの
家族などが集まって来るので境成学園の周りは新築の
開発ラッシュである。
境成学園の近郊の学校、大学も境成学園と関わることで
生徒が岩崎グループに入るチャンスが高まると言うことで
生徒数が増えている。
クチナが指さす新築のマンションはモダンな作りで
黄色いラインが入っているのが気になった輝太が
「で、購入したのか?」
「フフフッ、あれごとです!!」
何室を購入したのか聞くと、クチナがマンションごとと
言うので、
「やっぱりか! 倉庫を建てれば良いだろう!!」
輝太が激怒すると、
「輝太君! 周りを考えた建物を建てないといけません!!」
急に真面目な言い方をするクチナに、
「それで……
「マンションです! あと4件が周りに立って
完成します! 空から見ると埼玉の県花の
サクラソウの花びらになります!!」
「1件だけ作って意味あるのか!!?」
クチナのマンション計画を聞いた輝太が
5件のうちの1件しか完成してないのにと叫ぶと、
「だってぇ、恭子が私のコレクションを7月までに
捨てるって言うの!! だから、予定を変えて
1件だけ建てたの」
「2年前からだったな。7月って?」
クチナが恭子の屋敷を倉庫にしてから数年は我慢していた
恭子がクチナのコレクションを捨てると言い出したので
クチナは恭子の性格からヤバいと思って倉庫用に
建てていたマンションの1件を慌てて完成させた。
マンションは賃貸として貸す予定だが、クチナのコレクションが
増えれば退去してもらう予定である。
輝太たちが召喚されたソラスの世界に行くことは2年前から
決まっていたし、輝太の母が亡くなることでクチナが
輝太の前に出現して同居することも決まっていた。
クチナのコレクションは増える一方であるので
コレクション置き場としてマンションも計画された。
クチナは恭子の屋敷にはマンションが完成しても
コレクションは置くつもりだったが上記のようになったので
7月前に輝太の前に出現することを決めた。
そして、輝太が7月に何があるのかと聞くと
「恭子の誕生日って、知ってる?」
「知らないな。そうい言えば、勇太って
7月7日だったな」
恭子の誕生日は何日とクチナが輝太に聞くので
ふと思い出したソラスの世界に召喚された恭子の許嫁の
勇太の誕生日を輝太が言うと、
「同じ日なの。運命だよね」
嬉しそうにクチナが言うが
「マジか! 母さんのガラクタを撤去させたのは……
「おい! 私の宝物をガラクタと言うな!!」
会えば口喧嘩などをする勇太と恭子。だが、喧嘩するほど
と言う言葉通りで、2人は出会った時から惹かれあっていた。
勇太は輝太と同じで召喚時の呪いで元の世界に戻っても年齢は
召喚時の時の年齢には戻らずに19歳である。
身長も170㎝には届かなかった。
レベルは本来は85であるが恭子から貰った
ミサンガのせいで15止まりであった。
レベル15でレベル85の力を出してほしいと
恭子が勇太の成長を願った為である。
護衛として来ていた明美たちの先輩のアドラーに
ミサンガを外したらと言われたが勇太は恭子の願いで
切れるまで着けていた。
魔族と人族の最終決戦場となった魔王城の第5エリアで
第9王子のエルタンスと対峙した。魔素を無力化、
魔法返しなど魔素を操ることに長けたエルタンスに苦戦しつつも
勇太は風魔法を駆使しながらエルタンスの隙を作り出した時に
エルタンスの懐に入って素手で渾身の一撃を与えて勝利したが
勇太は其の場で倒れて気絶した。
だが、エルタンスはワザと負けたふりをしていただけで
勇太が気絶したことを確認してから回復ポーションで
回復して魔王の援護に行こうとした時に、
神界のソラスの家のモニターで見ていた恭子が
エルタンスの前に現れて
「脚本通りにしないといけないわよ」
恭子の発する言葉が其のまま攻撃の一撃の様に
エルタンスを襲ってエルタンスは其の場で息絶えたが
明美によって魔王が光悦によって倒された後に蘇生された。
恭子は倒れ込んでいる勇太を起こして
勇太の唇に恭子の唇を重ねようとしたが……
「初々しいな」
「あの恭子がね」
「好きな人とする時はドキドキするよ」
魔王、光悦、カメラを構えている明美が
キスをするのに10分以上かかっている恭子の
様子を見ようと戦いを止めて見に来て言うので、
「見世物じゃないから!!」
頬を染めて叫ぶ恭子に
「ソラスとの初キスを思い出す」
魔王が前世でのソラスとの初めてを言うと
「明美とは秋人にいちゃんとのキスの練習だったなぁ……
明美との初めてのキスの時のことを思い出しながら言う光悦が
明美を見ながら言った後に、
「恭子って、初キスは明美と……
明美の眷属になりたかった恭子が眷属になる為には
明美とキスをしなければならなかったので
初めてじゃないだろうと光悦が言おうとすると、
「ノーカンよ! 出てってよ!!」
女同士だから当たらないと言い出しながら
見られたくない恭子が赤面しながら叫ぶので
渋々と退去した魔王たちの後に勇太が目覚めて、
「女らしい一面もあったんやな」
「どういう意味よ!!?」
「めっちゃ、好きになったねん」
恭子の恥じらう姿の様子を言う勇太に
恭子は勇太の前でも社長令嬢として振舞っていたので
勇太の言葉に対して怒り気味に言うと、
恭子が勇太にキスをするのに
今まで会った時やソラスの世界で御互いの気持ちを
確かめたことなどを思い出して直ぐに出来なかった行為で
勇太が更に好きになったと言うので、
恭子が嬉しそうに勇太に笑顔を見せていると
勇太が起き上がって恭子の背中に手を回して
御互いの顔を近づけて……
世界を愛する魔王の軌跡というドキュメンタリーの
製作の過程で恭子と勇太のキスシーンを入れたいと
魔王が転生したナルエの父親の酒樽が言い出したので
恭子と勇太が却下と言って叫んでいた時のことを思い出しながら
「同居するからだろ……
クチナの抗議を無視して言う輝太に、
「私のコレクションは子供の為にもなります」
「つかさも俺もそうだけど、結婚しても
子供は1000年後に……
クチナが子供の教育に最適と豪語するが、
輝太は明美の眷属であり、その子供は神界の上級神や
明美の力を取り入れたい者たちの間で争奪戦が繰り広げられる
可能性が高いので北条君たちは自分たちに興味が無くなるまで
子供は作らないことを決めている。
希望として1000年後には……
「それじゃ! 恭子をオタク道に……
「今までも無理なのに……
クチナが恭子をオタクの道に引き込めばと
啖呵を切るが、今までにもチャンスがあったのに
オタクの道に入っていないので無理だろうと
輝太が笑いながら言うと、後方でドコーンと音がしたので
輝太は自分のコンビニエンスストアで事故かと見に行くと
何事も無いので周りを見ると向いのコンビニエンスストアに
車が突っ込んでいたので
クチナが
「いけぇ! 輝太ロボ!!」
輝太の背中に乗って言うので、
「俺はロボじゃねぇ!!」
叫びながら向いのコンビニエンスストアまでジャンプして……
「どうした!?」
「輝太さんに、クチナさん、ブレーキとアクセルを……
アルバイト店員から輝太たちが説明を受けていると
「お父さん! もう免許を返納して!!」
「たまたま、間違えただけじゃ!!」
40過ぎの女性が70過ぎの男性と口論になっているので
クチナが輝太の背中から降りて通常サイズに戻ってから、
「警察には?」
「いえ、魔法で直せませんか?」
警察に連絡をしたのかと聞くクチナにアルバイト店員は
クチナの魔法で直せないかと聞くので、
「私のコンビニで弁当などを買っていただければ……
クチナが直す代わりの要求するので
「全員ですか?」
「3人だよね」
アルバイト店員がクチナに確認すると、
クチナに話しかけているアルバイト店員だけではなく
コンビニエンスストアから出て来てクチナ達を見ている
2人のアルバイト店員を合わしての数を言うので、
アルバイト店員は2人のアルバイト店員に説明をすると頷くので、
「分かりました。お願いします!!」
アルバイト店員はクチナの要求を呑むと言うことで、
「まっかせなさぁい!」
「良いのか、周りに……
クチナが魔法を発動させようと身構えるが
輝太が野次馬が来ているので魔法は見せれないぞと
忠告するが、
「スマホ、カメラ、写らないから大丈夫!!」
クチナが記録に残るのは野次馬たちの
脳への記憶だけと言うので、
輝太は例えブログなどに書いても変なこと書くなよで
終わるし、クチナの姿も縫いぐるみを着ているくらいしか
思われないと思い出して
「さっさと終わって、売り上げに貢献してもらおうか!!」
クチナに魔法の許可をすると、
「フィックス・タイム!!!」
クチナは直ぐに魔法を発動させて
車が、コンビニエンスストアの窓ガラスが
元通りに直って、
「わしの車が!!!」
事故前よりも新車のような輝きで直ったので
歓喜する70過ぎの男性に、
「サービス! サービス!!」
せっかく直すならとクチナがサービスで
購入時の状態まで直したと告げるが、
「また、事故を起こしたら……
40過ぎの女性が70過ぎの男性のことを
心配するので、
「それじゃ! 車をAIにします?」
「自動は嫌じゃぞ!!」
「サポートです! 此のアニメ知りません?」
クチナの左手首のパネルが開いて映し出される映像を
70過ぎの男性に見せて言うと、
「車のレース系は好きじゃぞ! ブルーレイまで買った!」
70過ぎの男性が誇らしげに言うので、
「それじゃ、此のアニメのような感じで……
「レースマシンにするには無理じゃろ?}
クチナが見せているアニメのナビゲーションシステムの
感じですよと言うが、70過ぎの男性は映像に映し出される
レースマシンに出来るのかと嫌味っぽく言うので、
「無理ですよ! 出来るとしたら最後のOVAの
市販車バージョンなら」
野次馬の中にもクチナの言った言葉にオオォ!!と
叫ぶ声が聞こえるが、
「おいおい、ダブルワンの方で出た方にしろ!!」
テレビ版の続きで始まったOVA第1作目の4巻で劇中の
CMで流れたテレビ版のレースマシンの市販車バージョンと
言い出す70過ぎの男性に、
「色とか、形的に……
新車同様に戻っているトヨサのハイブリッド車の形状から
オープンカーは無理だとクチナが言うと、
「魔法もたいしたことないな」
魔法によって直された車を70過ぎの男性が言うような
車に改造が出来ないクチナをバカにする感じで
70過ぎの男性が言うので、
「奥の手!!!」
クチナは高らかに叫ぶと
何処からともなく黒髪ショートボブの明美が現れて
「エンジンは武鍛界の専門の会社で
設計しないと無理だから其のまま……
70過ぎの男性の車を見ながら言うと、
「学校は?」
輝太が明美に聞いて来るので
「つかさ個人授業になってます」
「可哀そうに……
明美が答えると、輝太は魔王が転生したナルエの父親に
個人攻撃されている北条君を思って呟きながら
「で、著作的に良いのか?」
アニメの車に明美が今から70過ぎの男性の車を改造するが、
著作権などで問題にならないかと輝太が心配するので、
「ノープログレム! フフッ……
明美が不敵に笑うと、
「あ、そうか……俺たち大株主……
「それでは!!!」
輝太もアニメ制作会社がバンザイの子会社だと思い出して
苦笑いしている間にクチナが車の改造を開始すると
集まっている野次馬たちに告げると、
「車田鉄次郎氏の望む
姿へと、サポートをする為に生まれ変われ!!
チェンジング・アピアランス・エンチャント・スピリトゥ!!!
魔法陣を展開して明美が70過ぎの男性の車に詠唱すると
アニメの車に姿を変えて、車から
『私は、アオイです。ご主人さま末永く御使用ください』
音声が流れて、70過ぎの車田さんは感動して
「九州まで猛スピードで!!」
ドライブするぞと高らかに叫ぶが、
『制限速度重視です』
アオイに言われて制限速度を守るのかぁと
車田さんは嘆いていた。
野次馬たちは早速SNSに投稿していたが
全て消去されて嘆いていた……
次の日、ビジネススーツを着こなしている金髪、碧眼の
女性がコンビニエンスストア【K・Tショップ】を訪れて
レジで売り上げを確認しているサブチーフの真田健心に
「此処に、魔法を使う縫いぐるみを着た方がいると
思うのですが……
眼鏡をクイッと指で上げながら真田さんが
「もう少し、スローな英語で……
早すぎて聞き取れなかったので言うと、
女性はゆっくりと先程と同じことを話して、
「魔法ですか? 夢でも……
「基地の視察の帰りに向かいのコンビニで
大破した車が、黄色いロボットの掛け声と共に
直ったのですが……
真田さんが夢の話をされても困りますと告げると、
女性が現場を見て話していると言うが、
「はぁ、縫いぐるみと言ったり、ロボットと言ったり……
先ほどは縫いぐるみ、今はロボットと言うので
どっちなんだと真田さんは思いながら呟くと、
「アフリカに現れた異世界のロボットだと思うのですが……
「貴方みたいな素敵な女性が妄想を……
女性が鞄から手帳を出して真田さんが
「えッ! アメリカ大使ですか?」
「会わしてくれるかしら」
手帳を見て驚いた後に、大使である女性が
確信をもって来ていると察して、
コンビニエンスストアの裏側に大使と共に行くと、
クチナと輝太が新たに購入した玩具について揉めていた。
「まだ、片付いていないうちに!!」
「輝太君! ネットに、お店に、我を呼ぶ愛する
玩具がいるんだよ! 買わなければいけないだろう!!」
昨日の恭子の屋敷から来た玩具がテントの中にあふれているのに
今日は今日でネットなどで購入した玩具が到着して
輝太が何処にしまうんだと文句を言っていると、
クチナは玩具を買うのが使命と誇らしげに言うので
「同じのを10個も……
輝太は購入リストを見ながら嘆くと、
「遊ぶ用2個、観賞用2個、保存用6個って
前にも言ったよね」
クチナは転生前の輝太の母の時よりも1つの商品に対して
最低10個を買うようになっていた。
更に変形する玩具も買うようになり
色違い、頭部違いなどの商品があるので数は膨れ上がる。
新シリーズが始まると同じキャラクターがリメイクされて
商品として出て来るので更に数は膨れ上がる。
輝太が呆れながらテントに運ばれる段ボール箱を見ながら言うと
クチナはソラスの世界に居た時に言った言葉を述べるので、
「亜空間か、皮袋やストレージにしまえよ!!」
いくら倉庫があっても足りないと輝太が叫ぶと
「置いてある箱を見るのもルーティンよ!
皮袋などに入れるなんて正気の沙汰じゃないわ!!」
私の辞書には無いとクチナが言うので
母さんじゃなければ此処でと悔しがっている輝太に、
「ええっと、チーフ、お客さまが……
真田さんが呼びかけるので
「その、おばさんは?」
輝太は真田さんの横に並んで立っている大使を確認して言うと、
「確かに、貴方にとっては年上ですが……
輝太の言葉に怒るのを堪えて大使が告げると、
「うそ! キャロライン・J・ウィルソンが何故!!?」
クチナが驚くように言うので
「クチナが! アニメ以外で人の名を!!」
アニメ以外は興味を示さないはずのクチナが
アニメのキャラクターや声優以外の名を言うので
輝太が驚いていると、
「輝太は知らないの!?」
「アニメしか見せない家で! クチナは?」
日本に大使として来た時に報道されていたでしょと
クチナは言うが、輝太の家ではアニメ以外は見ていなかったし
小学校では休憩中に話題にも上がらなかった。
コンビニエンスストアにはアニメ、漫画以外は置いていない。
「恭子ちゃんの親のパーティーの時などに
扉の向こうから覗いていたから……
輝太の質問にクチナが恭子の親の会社で開かれた
パーティーの時に見たと言うので、
「テレビ、新聞じゃないじゃん……
嫌味っぽく言う輝太に
「アニメ以外、興味ありません!!」
クチナが高らかに宣言していると、
「あのぅ……私の存在を……
輝太とクチナの話がまだまだ続きそうなので
大使が声を掛けると
「おばさんは、何の用?」
輝太が聞くので、額に怒りマークを浮かべながら
「私、在日本アメリカ合衆国大使を務める
キャロライン・ウィルソンです」
大使が輝太に対して挨拶をすると
「その大使が……クチナか!?」
輝太が鋭い眼光で大使に言うと、大使はよろめき出すので
大使の護衛で来ていた私服を着た兵たちが駆け寄ろうとすると、
「フン! 一戦やるか」
兵たちに向けて天王剣を皮袋から輝太が出すと
兵たちは立ち止まるので、
「輝太君! 国際問題になる!!」
「母さんを、アメリカに引き渡せって言うことだろ!!!」
真田さんが大使を抱えながら叫ぶと
輝太はクチナを渡すくらいなら此処で戦争だと
含みを入れて重く告げると、
「こいつ、平和ボケの日本人が……
兵の1人が冷や汗を掻きながら弱々しく言うので
「剣を納めて!!」
真田さんが輝太に願うが、
「母さんを奪う奴は!! すべて倒す!!」
輝太は天使化して兵たちに向けて叫ぶと、
「天使の翼? 人間じゃ……
兵の1人が恐ろしさの余りに地面に倒れながら
呟くと、
「輝太! 話を聞こう」
クチナが言うので、
「聞くのか?」
「今週の終わりにイベントがアメリカにあるから……
クチナの言葉で天王剣を鞘に入れて
「話を、聞いてやる!!!」
輝太が気絶している大使に向けて上から目線で叫んだ。
玩具倉庫&休憩を兼ねたプレハブの休憩室で
昼食を兼ねて輝太と大使の会談が始まった。
輝太は
「寿司を食った後に始めるか?」
「そうですね、ですが、貴方の名を聞きたいです」
明美のクラスの神田大助の親が経営している寿司屋
神八から出前を取って1人ずつの寿司桶に特上寿司の
握りが飾られているのを食べた後と言うと
大使は輝太の名を聞きたいと言うので、
「俺の名? 知ってるだろ」
「えぇ、凄い資産家ですね」
クチナを調べる時点で輝太のことも調べているはずなので
輝太が大使に言うと、株などでの資金が莫大であると
大使が告げるので
「聞くまでもないだろ」
輝太の名も知っていることも分かり輝太が今更かと聞くと、
「与田輝太ではなく、天使の翼を持った方で……
「そっちね」
気絶から覚めた大使は御寿司が来るまでに護衛兵から聞いて
驚きの表情をしていた。それから、輝太をクチナをアフリカに現れた
セント・ギアとセント・ギアの搭乗者エンリーと比べていた。
搭乗者と融合が解除されたセント・ギア【ツイン・ドラゴン】と
クチナは3頭身のロボットであるので似ているが、搭乗者のエンリーと
輝太は西洋人風のエンリーと日本人の輝太では違い過ぎた。
だが、輝太は5月の大型連休後に異世界病で
中学を退学している。異世界病はアメリカでも確認されていて
その者たちは一様に異世界に行ったと告げていた。
だが、原因不明で確たる証拠もなかったので
ホルモンバランスの異常だと医者たちは結論するしかなかった。
その者たちはアナザーワールド連合をネット上に立ち上げて
活動をしていた。
異世界からアフリカに現れたロボットをゴーレムの一種と言い、
異世界が現実にあることで活動が盛んになっていた。
アフリカでの戦闘で原子力潜水艦を氷漬けにしてから
輪切りにして空間に現れた歪に捨てて行ったセント・ギアの行為に
その者たちは歓喜して異世界での活躍を語っていた。
だが、その者たちは異世界での能力は失われて
此の世界に戻っている。
その者たち、各国は日本の要請で来たと言ったエンリーの言葉に
日本政府が密かに異世界とのパイプがあるのか疑ったが
日本政府は否定した。
アメリカ政府はアフリカでの戦闘機、戦艦、空母、ミサイルなどの
損害賠償を日本政府に求めた。
通常の製造費の5倍から10倍で……
各国もアメリカ政府に追随した。
高額な賠償金を払うことなど出来ないと思ったので
支払えば日本政府と異世界との繋がりについて不問にすると
告げると1週間も経たずに全額を日本政府は支払った。
各国が嘘だろうと思ったが支払われた以上
此の件に関して言うことが出来なかった。
アナザーワールド連合は日本でも会員になっている
者がいるので大使は部下を使って
「つかさから彼女を取り戻す会」の会長
赤井圭一と接触した。
圭一は今年の5月に異世界に召喚されて戻って来たばかりで
異世界病にも掛かっていた。
圭一は異世界での能力は失われていたが
アフリカに出現したセント・ギアについて知っていたが
詳しくは言えないと言ったので何故と聞くと、
「能力を戻して彼奴と戦うまで死にたくない」
「彼奴とは?」
「俺の零を寝取った奴だ!!」
「何処に?」
「さぁ? この世界か、別の世界か……
「存在しない」
「分からないが、エンリー達が来てる以上
彼奴は零に会いに来てるはずだ!」
「……死にたくないとは?」
「セント・ギアが誰に作られたか分かっている。
彼奴しかいないが言えば彼奴は俺を今でも
殺す。そう思うからだ!」
「彼奴とは……
「俺の零を寝取った彼奴の上司さ!!」
そして、圭一は此の件に関して踏み込めば
死ぬぞと大使の部下は言われたが、
圭一の元恋人の零の家に行く途中で圭一の言葉が気になって
考えながら車を運転していたのでカーブでスピードを出し過ぎて
対向車線にはみ出して対向車の車と接触して死亡している。
録音されていたスマートフォンなどを回収したアメリカ大使館は
圭一の言葉を信じて零や美知恵には接触していない。
大使は圭一のサイトの会員となり
つかさという人物より優れるにはと言う話ばかりで
大使は仕事じゃなければ退会したいと思いながら
チャットなどを覗いていた。
北条つかさと言う人物は存在するが
圭一たちが言うような人物ではなく
境成学園の中等部に通っている普通の少年である。
そして、日本政府の高官たちは異世界について
知らないの一点張りで嘘は言っていないことは分かったので
道は塞がれたと思ったが、目の前に異世界の力を得たままの男が
居るので大使が異世界での名前はと聞くと、
軽い感じでフッと笑ってから
「ソリュート王国の第7護衛騎士団の団員
テルタ・ミィ・ヨダ=クチナ・トゥ・サイタマ・ジ・アース」
輝太が名前を言うと、
「異世界での……
大使が言い出すが、
「隣に座るのが俺の妻の1人、輝美」
輝太は右側に座っている幼馴染で妻となった輝美を紹介し
「俺の母であり、セント・ギアのクチナ」
左側に座っているクチナを紹介すると、
「母? ロボットが……
「そうだよ! まぁ、食べようか」
クチナを母と言った輝太に驚きながら
食事にしようと輝太に言われたので大使たちは食べだした。
真田さんは逃げるに逃げれずに此の場に居て
無事に終わることばかり考えていた。
クチナがヘルメットを取って食べている姿を見ながら
大使は食べ終わった後の質問を考えていた。
が、
「おい! 俺の寿司に手を出すな!」
輝太の目の前の寿司桶にクチナが右手を差し出すので
注意すると、
「輝太さん! 毒見しないと……
クチナの右手首を輝太は左手で掴みながら
「する必要はない!!」
「資産家の輝太さんには敵が……
寿司屋【銀八】が毒など盛らないことは
輝太もクチナも知っているので毒見など必要ないと輝太が言うが、
資産家で其の若さで大金を持っていると妬む人が
毒を盛るよとクチナが言うが、
「目の前の大使だろ」
輝太よりも大使の方が狙われやすいだろうと
輝太が言うと、
「いやいや、赤いネタが毒あるよって!!」
他のネタよりも艶があり神々しいネタにクチナが
毒が盛られていると言うので、
「フッ……1番高いのを欲しがるな!!」
クチナが狙っているネタが分かって叫ぶ輝太に、
「いやいや! 私なら毒があっても死なないよ」
「自分の方にあるだろ……
毒が盛られていないことなど分かっているクチナが
其れでも言い出すので、
クチナの方の寿司桶にもあるので俺のを狙うなと
輝太が苦言を言うと、
「私の方には無いから……
「フェニックスの炙りだろ! 毒があってもネタの
フェニックスの方で毒が解除されるだろ!!」
「エッ! そうなの、でも、毒があるから」
クチナの寿司桶の方には毒は無いからと言うと、
輝太がネタの名を言い、クチナは最初から分かっているが
毒があるとしつこく言うので、
「仲が良いのは分かるけど、私ので」
輝美が輝太には私の方を食べてもらうと言い出すと、
「滅多に食えない最高級の食材だぞ!
輝美は味わって食え!……
輝太は自分の分は自分でとクチナを抑えながら言うのに続いて
「異世界からの帰還パーティーで食っただけだ!」
ソラスの世界での魔族対人族の最期の戦いの前に
魔王、人族最強の騎士ロックティラ、獣族最強の騎士ダルザニア、
ミューブル王国の人達とパーティーを行って以来と
告げる輝太に、
「でも、普通に……
特上寿司とは言え普通にネタとして出ていると
輝美が言うと、
「大使が来るから用意したんだろ、母さん!!」
大使が今日コンビニエンスストアに訪問するのを
知っていなければ神八でも直ぐに用意できない素材ばかりである。
輝太はクチナが大使を使って、いや、明美が来年から
恭子と共に会社を設立するので会社の目玉商品を
どうするかで輝太も参加して議論されていた。
その中で宝石や服、魔石を少し使った電化製品などは
他の企業でもあるので違いを出すには有名デザイナーや
有名人などを使わないと高額には出来ない。
他でと考えて、クチナ達をレンタルで使わせるか、
新たにセント・ギアを創るか……
だが、どうやって此の世界で売り出すかが問題で……
「電話したら偶然! 凄いよね異世界のネタがあるなんて!!」
クチナが偶然だよと言うので、
「そういえば、零たちがアメリカに行くなぁ」
大使と話し合いをしようと言っていた時に
クチナが呟いた言葉で思い出した輝太が
北条君たちが週末のアメリカで開かれる
アニメの博覧会に行くのでクチナに聞くと、
「圭一たちが行きたいってカンパしろって
輝太にメール来てたね」
零に振られても北条君のような女たらしとでは
先が無いと言って諦めない圭一からアメリカに渡る
お金をくれと言うメールが来たが、輝太は無いと言って
断っている。大使は圭一の名が出てたので輝太と関係ありと
輝太を見据えながら御茶を飲んでいる。
「母さん! 何を企んでいる?」
「食事は静かに食べましょう!!」
大体の目星がついた輝太がクチナに聞くと、
クチナは静かにドラゴンの炙りやウニの軍艦巻きを
味わいながら食い出したので輝太は図星かとフッと笑って
輝太も卵焼きから食べだした。
アニメの博覧会の開催中に輝太の母が亡くなるので
輝太は最後の抵抗をしようと明美からの誘いを断っていたが
目の前の大使を使ってクチナは渡米する気であると考えた。
クチナによって強引に輝太は渡米されるだろう。
最後の抵抗が出来ない悔しさから
クチナの方のフェニックスの炙りを奪って輝太は食っていたが
クチナは輝太の気持ちを感じて何も言わずにいた。
食事も終わり、デザート【ミルク寒天みかん入り】が
輝太たちの前に置かれるが、
「アクア、どうして?」
銀八からデザートを運んで来たクチナと同型の
アクアが来ているので輝太が尋ねると、
「銀八で食事をしていましたので……
「此処に来たのは?」
「輝太さんの御嫁さんを見たいと思いまして……
アクアが銀八で食事をしていたのが終わり
食後のデザートを銀八の店員ではなくアクアが代わりに
来たのは輝太の妻となった輝美を生で見たいからだと言うので、
「可愛くって、綺麗だろ」
「写真より綺麗ですね、アーシーさんと似てますね」
「そうか?」
「目が大きくって、可愛らしい顔なんかそっくりです!
幼馴染の輝美さんを求めてたんですね」
輝太が俺の妻は最高だと言うと、初恋のアーシーリヴァに
似てると言うアクアに似てるかと輝太が返すと
目元などが似ているとアクアに言われて輝美は頬を染めている。
此の雰囲気から変えたい輝太が
「此の世界に来た理由は?」
アクアに問いかけると、
「今年のダムの貯水率が下がっているので……
理由を聞いた輝太が国土交通省の人が警視庁長官に
泣きついたんだなと考えたが
「なぜ、銀八に?」
「昨日来たら、大使と会食しながらの会議をするので……
銀八に居る理由が分からなったので輝太が聞くと、
目の前の寿司の準備をしていた明美たちに聞いたアクアが
作業がスムーズに行くために国土交通省の人たちと
銀八で食事をしようと思ったので銀八に居るのと
先程の言った理由で今は此処に居る。
輝太はアクアの話を聞いて、クチナが明美の未来予想を聞いて
準備していたので神界でも超高級食材のフェニックス(食用に
育てられたフェニックスもどきである)が用意できたと
苦笑しながら
「ダム湖への水を与える仕事を怪我などせずに
遂行して下さい」
アクアに言うと
「はい、分かりました! セント・ギア司令官
輝太さま」
輝太のことを司令官と言った後に敬礼をして去って行った。
大使は輝太をジッと観察した後にデザートを食べ終わって
いよいよ会談が行われる。
が、その前に真田さんが
「此れって幾らしたの?」
食べ終わった寿司桶を見ながら言うので、
支払いもしないで食べていた輝太が
「母さん……
クチナに振ると
「タダです! お金は在る方が払ってます」
名前は言えないが銀八には事前に支払っていると
クチナが話すと、
「……そうですか」
真田さんは簡単に言えない値段だと察して
大使が居ても恋人の川原さんを誘えばよかったと後悔した。
余談ですが、境成学園の中等部2年生は
今日の弁当、食堂での食事を銀八の特上寿司に変わっています。
明美が10人、100人を用意するのも一緒と告げて
北条君たちが銀八で手伝ってネタを用意しました。
人数が多いので劣化などしない新鮮のままで保存できる皮袋などに
寿司桶をラップに包んで収納しました。
今日の昼に北条君たちが各クラスに行って1人ずつに
寿司が並んでいる寿司桶を手渡して行きました。
このことに抗議した中等部1年生、3年生たちに
「明日、お父さまがアメリカ大使と会食する為に
ある御寿司屋さんが最高級の食材を安く仕入れる為に
大量に購入したので……
恭子が話したが、大量ならと言い返す中等部の生徒会長に
「数には限りはありますわ」
「だったら、クジにするとか、今からでも!!」
恭子が言うが、明日なら今すぐクジとかに変えて
行うべきと生徒会長が叫ぶと、
「生徒会室には持って行こうと思ったけど……
生徒会長の耳元で小声で恭子が言うと
「2年生だけに告げた以上、今回はしょうがない!!」
手のひらを返したように生徒会長の言葉に
集まっている生徒たちから
何を言い出すのと言う顔をされたが
「岩崎さん、君の父上に今度は全校生徒分を
用意できるもので御願いする」
生徒会長は恭子に告げて軽くステップしながら去って行った。
その光景に集まった生徒たちは恭子に買収されたなと思った。
だが、集まった生徒たちは生徒会長が納得したために
解散するしかなかった。
生徒会長は恭子、北条君、2-A組の人達が人を越えた
人物と言うことは知っている。
今回のことも明美が中等部2年生は眷属ではないが
大切な人たちと思って恭子の父とアメリカ大使の会食で
用意する寿司を召し上がってもらおうと思ったからと思っている。
ある御寿司屋とは、恭子が、いや明美が中等部2年生分を
用意するなら明美のクラスの生徒の親が経営している銀八だと
分かっている。
生徒会長が明美たちのことを知っているのは
明美が中等部に入る時は生徒会書記をしていた為である。
そして、
北条君は寿司桶を女子生徒たちに手渡すたびに
一緒にと告げられるので断るのに苦労していた。
明美は伊藤先生と共に回っていて
私こと美里は明美が皮袋から寿司桶を伊藤先生に
渡すのを奪って生徒に渡していた。
中等部2年生たちから同じ学年で良かったと
喜びの声が上がった。
大使は
「クチナさん、貴方が欲しい!!」
会談が始まった直ぐに告げた……




