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百合さんとのデート 終

 私と百合さんは、食事も終わり。

  お化け屋敷の前に着いた。

  着いたのだが、百合さんは酷く怯えていた。

  流石にここまで怯えられると、いじめるとかそう言う話じゃなくなってくるので、私は百合さんを心配する。


「百合さん。やめときます? お化け屋敷」

  その私の提案に、百合さんは首を横に振った勢いよく。


「大丈夫! 行ける全然怖くないからお化けなんて」

  百合さんの震えている声。見栄を張った百合さんが愛おしくなってしまうが、私は一応もう一度確認をとる。


「ホントに大丈夫ですか?」

  私の確認に、百合さんは次は首を縦に振った勢いよく。


「うん大丈夫。早く行こお化け屋敷。楽しみー!」

  これは多分百合さんの私に対する、気遣いだと思う。

  ジェットコースターの時も、昼食の時も同じ気持ちだったのだろう。

  私のことを一人の女としてではなく、妹の友達。もっと言うなら妹のように可愛がっている子供のような、そんな感情が、百合さんの中にはあるのだと思う。

  妹の願いは、聞いてあげるそれが姉としての役割だから。

  私は悔しい。

  今までいっぱい百合さんと遊んできたのに、その中で一回も私を女として、恋の対象として見せてられなかったということが、私は悔しかった。


「大丈夫? 葵ちゃん怖くない?」

  まただ、百合さんは私を子供として、見ている。

  しかし私はそんな感情を見せないように、振る舞う。


「全然大丈夫ですよー! 百合さんこそ大丈夫ですか? 怖くないですか?」

  すると百合さんは、またも見栄をを張った。まるで姉のように。


「大丈夫大丈夫怖くないから。ホントに怖くないから」

  するとお化け屋敷の仕掛けが、発動したのか私達の目の前に、白い女の人が現れた。


「ギャー!!!!!」

  百合さんはそんな風に喋りながら、私の腕に自分の腕を絡みつかせ、無い胸を私に押し当ててくる。

  もう一度言う無い胸を押し当ててくる。

  私は無いのにドキっとした。無いのに。

 

「あーなんだ画像か、びっくりしちゃった」

  そう言いながら百合さんは、私の腕から離れていく。

  私は寂しさをを隠すように、見栄を張った。


「全然怖くなかったですね。ホントに」

  その後何度か、同じようなことをしながら私達はなんとかお化け屋敷を抜けた。(百合さんは毎回驚いていた。最後には私の背中に隠れていた)


「怖かった怖かった怖かったー!」

  お化け屋敷から出た百合さんは、そう叫びながら私に抱きついてきた。

  泣きながら抱きついてきた。

  私は心の中で叫ぶ。

  何何何何何何!? なんで私に抱きついてきたの? 怖いからって抱きつくまでいく!? さっきまで私、嫌味ったらしく百合さんのこと考えたのに。ホントにごめんなさい!

 

「どうしたんですか? 百合さん突然」

  私は戸惑いながらも、百合さんに質問する。

 

「だってー怖かったから!」

  百合さんはそう言いながら、私にもっと強く強く抱きついてくる。

  正直この展開は、予想外だけど私にとっては嬉しい展開だった。

  私は、勢いで百合さんの頭を撫でる。

  スリスリと。

  泣き止むまで撫でる。


「ありがとう。葵ちゃん」

  泣き止んだ百合さんは、私の体から離れていく。ゆっくりと離れていく。

  寂しい。もっと私の体に抱きついてほしい。もっと側にいてほしい。私だけの百合さんになってほしいという気持ちが、強くなってくる。


  しかしそこで、最悪のことが起きた。

  最悪のことを起こされた。

  私達の前に男性四人が、現れた。


「おっ。百合じゃん! なんでこんなとこいるんだ?」

  その男性を見て百合さんは、酷く怯えていた。

  お化けに対しての怯えかたと、その男性に怯えかたは、全くと言っていいほど別物だった。

  百合さんは言ってしまえば、お化けは信じていないのだろう。

  信じていないものでも恐怖はする。信じていないからこそ怖いというのはその通りだと思う。

  けど今、目の前にいる男性達はその場にいる。

  現実のものに対する恐怖は、信じていないものに対する恐怖とは、比べ物にならないぐらいの恐怖があると私は思う。

  だって人は怖いから。

  私も含めて全ての人間が、怖い。

  だけどこの男性達からは、完璧に悪の気配を感じた。

 

「その隣の女の子は、百合の友達かなんか? 可愛いじゃん」

  すると百合さんは私を庇うように、喋りだした。


「違う。この子は関係ない! だからこの子は連れて行かないで。お願い」

  百合さんは泣いていた。

  泣いている理由もお化け屋敷の時とは、違う絶対に違う。

  これも男性達からの恐怖だろう。


「えー? そう言われると連れていきたくなっちゃうよー。おい百合と一緒に連れてこい」

  男性の一人が、そう言うと他の男性が、私達を無理矢理人気がないところへと連れていく。


「ホントにお願い、この子には何もしないで!」

  すると男性達は、百合さんの服を無理矢理に脱がしていく。

  私はこの時察してしまった。

  百合さんが夜遅くに帰ってきたり、私が向日葵の家に泊まった日、百合さんが疲れて帰ってきてしかも傷まで作っていたり。

  そういうことの全てはこの男性達。こいつらのせいだと。

  だからあんなに百合さんは恐怖していたのだと。

  だから百合さんは、私を庇ってくれたのだと。

 

「百合お前にやってることが終わったら、この女の子にも同じことをやってあげるよ。感謝しなよ」

  私と百合さんは、こいつらのその言葉に絶句した。

  こいつらはホントのクズだ。

  すると私を捕まえていた、男性二人が欲に負けて私から手を離して百合さんに近づいていく。

  クズでバカな男性達の隙をついて私は、スマホで動画を撮る。

  ある程度動画を撮った私は、走りだした。

  人気がある場所に向かって走りだした。


「百合さん今のうちに逃げてください」

  と私が大声で叫ぶと男達は、すごい勢いで追いかけてくる。

  私は死ぬ気で逃げる。

  殺人鬼から逃げるように、捕まったら殺されると思ってる逃げる。

 

  私はスタッフを見つけると、息を切らしながら頼み込む。


「お願いです。百合さんを百合さんを助けてください!」

  スタッフに掴まりお願いする。

  誠心誠意お願いする。

  私はそこで記憶が飛んだ。



 目が覚めると、そこには百合さんの顔が、見えていた。

  私の頭の下には、何か柔らかいものが敷かれている。

 

「葵ちゃんありがとう。」

  百合さんの第一声はそれだった 。

  私はその言葉だけで涙が溢れてくる。

  何事もなく無事に終わったんだと。

  そう感じれてしまえるその一言に、私は冷静に返事を返す。


「それで百合さん。あの後何があったんですか?」

「あの後──葵ちゃんが、叫んでくれた後ね。私も思いっきり走ったの。死ぬ気で逃げたのあの男性達から。まぁなんとか逃げきれはしたんだけど、その後人気のある場所に出てみたら、なんか凄い人だかりができててね。私そこに行ったみたの。そしたらそこで、葵ちゃんが倒れてて、スタッフの人に事情を聞いたら。『百合さんを助けてくださいって言いながら倒れちゃって』スタッフさんはそう言い終わると、警察の人を呼んでくれたからまぁ大丈夫だったんだ」

  私は、その言葉を聞いてホッとする。

  本当に何事もなく終わったのだと、このまま私達は家に帰れるのだと、だけど私は一つ質問をした。

 

「あの男の人達はどうなったんですか?」

  私はこの質問をせずには、いられなかった。

  すると百合さんは、笑顔で私の質問に、答え始めた。

  作り笑いではなく。ちゃんと心の底からの笑顔で。


「捕まったよ。あの葵ちゃんのおかげでね。それとね私もちゃんとあの人達との関係は切ったから。『もう一生私と葵ちゃんには、関わらないでください』って言っといたから」

  ここで私は、百合さんとその男の人達の関係性を聞くことは、できたのかもしれない。

  むしろ聞かなければならいのかもしれないけど、私には聞くことはできなかった。

  聞いて私の中の百合さんの、イメージを壊したくはなかった。

  ただそれだけの、私の身勝手な想いで聞かずに私は一言だけ、返事をする。


「そうですか。それは良かったです!」

  満面の笑みで、そう言い終わると私は起き上がった。

  後ろを見てみるとそこには、百合さんの膝が私が、今まで頭を置いていた場所にはあった。

  私はさっきまで、ずっと百合さんの膝の上で、喋っていて、膝の上で寝ていたということに、なるのだろうか?

  そう考えるとさっきまで、していたことが途端に恥ずかしくなってくる。

  気づけば顔が熱くなっているのを、感じる。


「そろそろ帰ろうかー」

  そんな私を、百合さんは全く気にしない様子で背伸びをしながら喋りだした。

 

「そうですねー」

  そう言いながらふと空を見上げてみると、もう真っ暗だった。

  完璧に夜だった。

  そんな暗い中私は覚悟を決めて、百合さんに喋りだす。

  本当は観覧車の中とかが良かったけど。


「百合さん話したいことがあるんです」

「うん? 何々?」

  百合さんは、興味津々といった様子で私に近づいてくる。

  恥ずかしい恥ずかしい。私は心の中でそう何度も言いながら、真剣に喋りだす。


「百合さん。私⋯⋯百合さんのことが好きなんです!」

  分かれ道で、初めてあったあの日からずっと心中にあったこの想いが、やっと口に出せた。

  すると百合さんは少し困った様子で、喋りだした。


「好きって言うのはそのー友達とかそういう意味での?」

  百合さんはもうそんなこと聞かなくても、わかっているのだろう。

  けれどわざと誤魔化しているそんな気がした。


「違います。恋人にしたい。私は百合さんを私だけのものにしたい。だから付き合ってください!」

  私はその瞬間、顔を下にやり片手を伸ばした。

  だからこの時の百合さんの表情はわからなかった。

  むしろわからなくてよかったのかもしれない。


「葵ちゃん。ごめん。あなたとは付き合えない」

  私は、その言葉聞いて今にも溢れてきそうな、涙を堪える。堪えて堪えて堪えて堪えて堪えて堪えて。

  作り笑いを作る。

  笑顔で百合さんに返事をする。


「私の方こそごめんなさい。突然変なこと言っちゃって。それじゃあ帰りますか」

「待って葵ちゃん!」

  百合さんのその言葉を私は、無視した。

  無視して歩いていく。

  私は最低だ。

  自分の言いたいことだけ言って、断れたら相手のことは無視をする。

  最低だ。最低だけど、しょうがないじゃん! だってこれ以上百合さんと喋るのが、怖くて、切なくて、寂しくて、本当に悔しいよ。


  私と百合さんは、そのまま一度も会話をすることなく。

  電車に乗って、お互いの家に帰っていった。


  私は自分のベッドの上で、泣いた。今まで堪えていた涙を全て出すように。

  泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて。泣きまくった。

  これが私の人生の初失恋だった。


  それから一週間後、百合さんは元いた大学近辺の家に引っ越してしまった。

  多分実家に帰ってきたのは、あの男達が原因だろうから、その問題も解決できたので帰らない理由が、ないのだろう。

 


  それから三ヶ月後。

  私は大学には進学せずに、そのまま就職をした。

  私は仕事に没頭し、向日葵は大学に進学し、大河は高校に入学した。

  百合さんは、多分まだ大学だろう。

  私は、この失恋を糧にして生きていく。

  だって百合さんと出会ってからの、一年は本当に楽しかったから、今までの生きてきた中で一番楽しかった。

  そう言い切れてしまえるぐらい楽しかった。

  だからこの話は、楽しかった私が、最後に思い出づくりとして告白して、見事にフラれてしまった話として、笑い話にでも使っていく。

  そんな気がする。

  私は、目に涙を浮かべながら。

  今日も仕事に没頭していく。

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