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朝ご飯

「葵、起きてー朝だよー」


  いつもは絶対にしないはずの人の声が、私を起こそうと声をかけている。

  私はその声に刃向かうように「うーうー」と声を上げながら、布団に深く潜っていく。

  すると声の主は私が布団に潜るやいなや、布団をバサァーと私から引き離した。


「おはよう、葵」


 

 布団も無くなったので私は、しょうがなく声の主に挨拶を返す。


「おはようー向日葵」


  私はそう挨拶をしながら眼を開けると、窓からはもの凄く明るい太陽の光が、部屋を照らしていた。

 

「うんおはよう」


  そんな部屋の中で向日葵は、笑顔でこちらを見ていた。

  私は背伸びをしながら、何気ない会話を始める。


「向日葵、起きるの早いね」


  すると向日葵は笑顔を、私を小馬鹿にしたような微笑みに変え喋りだした。


「そんなに早い気はしないけどなー、それより、葵って朝弱いんだね意外だった」


  私はその向日葵の言葉に、反論はないので一言「そう?」と返し寝ぼけている頭を目覚めさせるために、頬を数回パンパンと叩いていく。

  私が完全に目を覚ました頃合いを見計らって、向日葵が喋り出してくれた。


「それじゃあ下、行こう」


  私は眼を擦りながら「うん」と返しゆっくり立ち上がり光に照らされながら、部屋のドアまで歩いていく。



  階段を下りリビングのドアをゆっくりと開き、リビングに入っていくと台所から声が聞こえてきた。


「二人ともおはようー」


  声の主の方に顔を向けるとそこには、いつもは綺麗に長く伸ばしている髪をポニーテールにし、体には白色のエプロンを身につけた百合さんの姿があった。

  私が百合さんに見惚れていると隣から挨拶を返す声が聞こえてきた。


「お姉ちゃんおはよう」


  私はその声を頼りに無理矢理、正気に戻り挨拶を返した。


「百合さんおはようございます!」


  すると百合さんは顔だけをこちらに向けて喋りだした。


「はい二人ともおはよう、もうちょっとで、できるから座って待ってて」


  そう言い終わると百合さんは、顔の向きを戻し料理を再開し始めた。

  私は向日葵と顔を一瞬合わせて、椅子に座った。


  しばらくそのまま椅子に座ってスマホをいじっていると、台所から声が聞こえてくる。


「もうできるよー」


  私と向日葵はその声を聞いて、スマホをいじっていた手を止めて待っているととすぐに料理が、運ばれてきた。


「お待たせー」


  そう言いながら台所から出てきた百合さんの手には、一人分の白米と味噌汁それにシャケというこれが、日本の朝ご飯と言わんばかりの並びに私は微笑ましくなってしまった。

 

「葵どうしたの?」


  顔にまで出ていたのだろうか向日葵が、きょとんとした顔でこちらを見ていた。

 

「いや別になんでもないよ」


  私はなんとか表情を元に戻し、適当に誤魔化しを入れてその場を乗りきった。

 

「変なの」


  向日葵からはまだ何か引っかかっているのか、そんな吐息混じりの声が聞こえてきた。

  私と向日葵が、会話をしているうちに三人分の料理を運び終えた百合さんは、髪をポニーテールに縛っていたゴムを外し髪がバサァと広がっていく。

  私はその姿の百合さんに、大人の色気を感じてしまい思わず唾を飲み込んでしまった。


「それじゃあ食べよっか」


  百合さんはそう言いながら、ゆっくりと椅子に腰を落としていく。

  私は百合さんのその姿になんだか母性のようなものを感じていた。

  私がそんなことを考えているうちに百合さんが、両手を合わせたので私と向日葵もそれに乗っかるように両手を合わせる。


「いただきます」


  三人同時に元気よく挨拶をして食事を始める。



  朝ご飯を食べ始めてから少し経った頃、向日葵が雑談を始めた。


「お姉ちゃん、一か月後高校の文化祭あるんだけど来る?」


  雑談の内容は、私達が通う高校で毎年秋の中盤頃に開催される文化祭の話だった。

  私達の高校の文化祭はそこそこ自由度が高く頼めば大抵のことはさせてくれるので、生徒達はとても楽しみにしている行事の一つだ。


「もちろん行くよ!」


  百合さんは親指を立てながら、これでもかという勢いでそう言うとそのまま言葉を繋げた。


「もう向日葵たちのクラスは何するか決まってるの?」


  意外と興味津々の百合さんの質問に向日葵は、首を横に数回振り冷静に答えを返した。


「まだ決まってないよ、今週ぐらいから話し合い始めるって言ってた気がする」


「決まったら教えてね」


  その一言でこの話題は終わったと思ったのだが、本当にこの人はーということを百合さんは言い出した。


「私二人のメイド姿見たいからメイド喫茶希望します!」


  私と向日葵は二人同時に、この人はーという意味を込めて深いため息をついた。

  ため息をついた後、意見を合わせるために向日葵の表情を見ると何を想像しているのか、ニヤついていた。

  助けを求めるべく百合さんを見ると、私の頭の中に想像が勢いよく落ちてきた。


 

「おかえりなさいませ、お嬢様」


  膝丈ぐらいのスカートに白いエプロンをつけて、なんか頭に乗っている白いやつもつけて百合さんが、私をお嬢様って呼んでくれる。

  そんな想像をしていると思わず顔がニヤついていってしまう。


「おーい二人とも戻っておいでー」


  百合さんの声で私と向日葵は、ハッ! と正気に戻りニヤついていた表情を、無理矢理戻していく。

 

「通るかわかんないけどメイド喫茶、提案してみるよ」


  向日葵の意見が先ほどより百八十度変わったので、何を想像したのかもっと気になってしまったが、メイド喫茶には私も賛成なのでうんうんと数回頷く。

  それを聞いて百合さんは一言「よろしくね」とだけ言い箸を持ち中断していた朝ご飯を再開した。

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