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第二章 第五幕:異人

英文がありますが、間違っている可能性大です。

()内の日本語訳だけを読んで頂ければ、内容は通じますので;

突然現れたその男は


誰よりも目立ち


しかし臆した風もなく


嵐のように去っていった――。





これだけの噂や情報を手に入れた経路。

何処からと言われても、それは多数あって言い切れない。

忍のように身軽には動けないので、店で聞き耳を立てたり、知り合えた人達の井戸端会議に参加して入手したり、変装をしてみたりする。

だが、有力情報を与えてくれるのは一人だけだ。

今、目の前から笑顔で手を振りながら走ってくる違和感のある男がその人だった。


「カズ!It is after a long absence!(久しぶり」


「レイ!?Was it cheerful?(元気だった?」


「Of course! That seems to be cheerful, too and is best.(勿論!そっちも元気そうで良かったよ」


急に繰り広げられた異国語の会話に、紳月はついていけない。

異人の血が流れていると言っても、この国で生まれ育ったから一つも理解できない。

ただ唖然として見届けることしか出来なかった。

目の前に現れたのは、金髪に自分より明るい青い瞳を持ち、不思議な井出達をした青年。

何処からどう見ても、異国の人そのものだ。

自分のように半端者ではない。

歳は二十代後半のように見える。

そんな男が堂々と街中を歩いていることにも驚きだが、純日本人である嘉月までもが異国語を解して難なく話していることに驚いた。

呆然と見上げていた紳月に急に嘉月が向き直った。


「驚いただろ?紹介する。こちら、レイ殿。グレイガンという異国から来たらしい。今はこの国の西を回る旅人ってところか?」


「YES!ハジメマシテ。君がシン?」


「はい。えと、初めまして?」


何も変わったところなどないように自己紹介をする。

つい釣られて紳月も挨拶をした。

思った以上に動揺しているようだ。

ついて行けてないことを察した、嘉月は助け舟を出した。


「俺が以前言ったことを覚えているか?“行ったらもっと驚く奴に会えるぞ”」


「っ!あれってコイツのことか!?」


この話をしたのは昨夜のことだ。

さすがに忘れてはいなかった。

確かにこれなら、自分の瞳など目立たないだろう。

相手は完璧な異人なのだから。

紳月とレイは早くも話に花を咲かせている。

もとより人見知りなどしない性質なので、すぐ仲良くなるだろう。

そんな二人を見て、嘉月はひとり微笑んだ。

ずっと嘉月はレイを紹介したかった。

自虐的で引き篭もりに近い紳月を、光へと導き出すために。

自分の思惑は当たっていたようで、紳月は一歩を踏み出せたようだった。

一人笑う嘉月に気付いたレイは首を傾げた。


「カズ。何か嬉しい事でもあっタ?」


「否、何でもないよ。それより今日はどうした?最後に会った時、もっと西に行くと言ってなかったか?」


その言葉に、レイは先程と表情をがらりと変えた。

嬉々とする中にも真剣みを帯びた、そんな感じの顔だ。

レイがこんな表情をする時は、面白い話か、探していた話が手に入った時である。


「カズの探し人情報入っタ。だから、伝えなきゃと思ってネ」


人差し指を立てて諭すように語る。

嘉月はその言葉に目を見開いた。


「レイ殿、それは本当か!?」


「Of Course!探し人はオトコ、ageは二十。今日もこの村に来る可能性アリネ!」


なんと運の良いことか。

行動に出たその日に、まさか出会える可能性がでるとは思わなかった。

自分一人の時は何も無かったから、紳月が幸運体質なのかもしれない。

その言葉を聞いて、拳を握り締めた。


「そうか。わざわざ御足労すまなかった」


「Never mind.カズの為なら何だっテ」


「おいカズ、どういうことだ?ちゃんと説明してくれ」


一体誰のことを言っているのかは、紳月にも内容から理解できた。

きっと例の翠昂の子供のことを言っているのだろう。

でも何故このレイという男が関わっているのかは意味不明だ。


「さっきレイが旅人だと言っただろう?他方を回っているから、様々な話を見聞きしていてな。異国者は珍しいから皆寄ってきては、多くを語っていくそうだ」


「つまり、カズの情報源か…。でも、なんでカズに?」


「カズはトモダチ!助け合うが基本デショ?」


レイは笑ってそう言い切った。

嘉月は礼に何かをと言ったが、英語で丁重に断る。

噂だから本当の事かどうかは、はっきりとは分からない。

そろそろ行くと言って、レイは手を振りながら二人に背を向け歩き出した。

その時、Either, You are flicker of hope with me.と呟いたことを二人は知る由もない。





その放たれた言葉の意は、


『貴方は私にとって希望の光だから』


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