あったかいさん、どこですかー?
ようちえんが、おやすみの日のことです。
あねこちゃんは、あさのおふろを見て、ふしぎだなぁ、とおもいました。
「おかーさん、なんであさのおふろは、あったかくないの?」
「さぁ、なんでだろうね?」
おかーさんに言われて、あねこちゃんはかんがえました。
「あったかいさんは、おでかけしてるんだよ!」
「そうなんだー」
「あったかいさん、どこにいるのかなー」
すると、おかーさんがやさしく言いました。
「あねこちゃん、さがしてきたら?」
「うん!」
あねこちゃんは、あったかいさんをさがしに出かけました。
「あったかいさん、どこですかー?」
まず、あねこちゃんは、ストーブさんのところにいきました。
いつもあったかいさんが出てくるところだからです。
でも、今はおかーさんがおそうじしています。
だから、あったかいさんは出てきませんでした。
「あったかいさん、どこですかー?」
つぎにあねこちゃんは、おふとんさんのところにいきました。
おふとんさんは、あったかいさんがすきなばしょです。
でも、今はおふとんさんはたたまれています。
だから、あったかいさんはいませんでした。
「あったかいさん、どこですかー?」
つぎにあねこちゃんは、だいどころさんのところにいきました。
おかーさんがごはんをつくるとき、いつもあったかいからです。
でも、今はだれもごはんをつくっていません。
だから、あったかいさんはいませんでした。
「うーん、あったかいさんいないなー」
あねこちゃんがこまっていると、いもうとちゃんがトコトコとおいかけてきました。
「ねーね!」
いもうとちゃんは、あねこちゃんにだきつきました。
あねこちゃんは、いもうとちゃんを、ぎゅっ、とだきとめました。
おそうじがおわったおかーさんが、それをみて言いました。
「あったかいさん、いた?」
「いたよ!」
あねこちゃんは、げんきに言いました。
「いもうとちゃんは、あったかいさんだったよ!」
そんなあねこちゃんを見て、おかーさんはわらいました。
「そう、よかったね」
「うん!」
おかーさんは、あねこちゃんといもうとちゃんにむかって、手をひろげました。
「じゃあ、おかーさんにもあったかいさんを分けっこしてくれますか?」
「はーい!」
「はーい!」
あねこちゃんはいもうとちゃんと手をつないで。
おかーさんのところへ、はしって行きました。