森の賢者
わたしは、この森の賢者である。
すべてを見通す眼に、
それらを解するための明晰なる頭脳。
この世すべてを知り理解する、
わたし以上の賢者はおるまいよ。
それにしても腹が減った。
いま居る木になっていた実は、すべて取りつくした。
暫くしていたらまた成るかと思ったのだが、
未熟な実ばかりしか成らず、食に値しない。
もう少し我慢すればと思わくも無いが、
流石にこれ以上は耐えられまい。
仕方なしと長く居座った木から、
何度目かの移住を決意する。
ならば、木から降りねばと下方に目を向けた。
……遠い。
食せる実を探すうちに、
いつの間にやら地を離れ過ぎたか。
………………。
んむ、もう少し待つか。
あともう少し待てば、
いまだ未熟な実も食べごろに成るであろう。
きっとそうに違いない。
……それにしても腹が減った。
腹が減ると考えるから腹が減るのか。
ならば、他のことに目を向けるべきであろう。
そう考えに到るわたしは実に聡い。
さて、早速……文字通り目を向けるとしよう。
そうしてふと下方に目を向けると、
そこには小さき影が見えた。
ひとの子のようだ。
何やらこちらに指を差して興奮しているな。
いったいなにをそんなに……
「わぁーナマケモノがいるぅー! すごぉーぃかわいい!!」
……ひとはわたしのことをナマケモノと呼ぶ。
実に不愉快極まり……まぁどうでもよいことか。
それにしても、腹が減ったな。
可愛らしい動物の詩を読んで、衝動的に書いた。
後悔はしていないが、可愛いってなんだろうという悩みが増えた(´・ω・`)しょぼん
胸がきゅんとするあにまるずをで、ナマケモノをチョイスする私を誰か褒めてもいいのよ?
※あにまるずをシリーズ化していますので、他の作品のあにまるずもお楽しみ頂けると嬉しいです♪