キャラの戦闘能力解説
えっと、皆さんこんにちは。気まぐれで企画されてました、戦闘能力解説をやっていきたいと思います。解説者は私ヨベル=ベズニードル、宜しくお願い致します。
まずは、ソラン=ベランテラン様から。
ソラン様が持つ称号は「剣姫」です。剣術の豊かさ、美しさで言えば右に出る者はおりません。彼女の強さの根底にあるものは「創造力」です。剣術における、一種のアーティストとも言えるでしょう。彼女が使う剣術というのは、世界中のどこにもない、彼女自身が編み出したものです。それも、彼女自身が記憶できないほどの膨大な量…。つまり、彼女は戦闘の度に、強者に当たる度に新しい技を繰り出す、ということです。
戦闘時の主な流れについて解説します。まず、彼女は女性特有の身軽さを生かした「回避能力」においては、人類最強であるロレン様のそれを上回ります。本当は誰かを庇いながら戦うよりも、一人、開けた場所で自由自在に動ける時にこそ、その真価が発揮されるんです。そして、基本的には彼女からは攻撃していきません。防御…というより、回避の一方です。ソラン様曰く、「人は攻撃を仕掛けた直後に、隙が生まれる」とのことで、弱者相手では先手を相手に打たせ、それを回避した直後に至近距離で一撃与えるという戦法をとっています。これはロレン様に言わせれば、「蝶のように舞い、蜂のように突く」だそうで。強者相手では尚更、自分から攻撃は仕掛けていきません。手の内を見せるのは最低限に留め、持前の回避能力だけで、敵の実力を測ろうとします。そして、攻略可能な隙を見つけ、その隙を突くに相応しい剣技を「創造」します。これが彼女の「創造力」なのです。初めて振るう剣技でも、狂いなく、思い描いた通りに…。回避の果てに、確実な一撃だけで敵を屠るというものこそ、彼女の戦い方なんです。
続いて、ソラン様の特殊能力の解説に移ります。ソラン様が持つ特殊能力の源は二つ、「神龍剣」と「クリスタル」です。
「神龍剣」とは、形ある剣というよりも、「龍の血」といったほうが相応しいでしょうか。彼女は「火龍」、「水龍」、「風龍」の力を体内の血液中に取り込んでいます。この力は己の生命力により具現化させることができ、剣という物体に現すことができます。この剣というのは具現化・消滅させることが自由で、そのため「折れる」「刃がかける」といった概念はありません。また頑丈さに相応な質量はなく、ソラン様の手に一番馴染む、一番使いやすい重さに調節されているんです。そして剣には「火」、「水」、「風」を纏わせることができ、この三要素のよる爆発的な物理現象を、生命力が尽きない限りの広範囲に及ばすことが可能です。「火」は燃やす対象を取捨選択することができ、「水」は「氷」として造形することができ、「風」を使い空を飛ぶこと(ただし莫大な生命力消費が必要)も可能となります。更に付随能力として、「神龍の力」が血液中に溶け込んでいるため、毒に対し強い中和作用を持ち、同じように薬物・疫病に対しても強い耐性が備わっていて、殆どのものによる体内ダメージを受けることはありません。ただしあくまでこれは中和作用であり完全耐性ではありませんので、彼女に高濃度な毒を継続的に投与し、中和作用で処理しきれない分が体内に積み重ねる状態に陥れれば、毒殺も不可能ではありません。
最後に「クリスタル」の特殊能力についてです。「クリスタル」はベランテラン家の家宝としての、青のクリスタルのペンダントに由来します。彼女が最終的に習得した能力は三つ、「治癒能力」、「錠」、そして「空間転移」です。ご存知の通り、「クリスタル」は時間と空間を操ることが可能です。この力を応用させたものがソラン様の能力となります。
「治癒能力」は、術者の生命力を時間エネルギーに変換させ、被術者の傷口における時間を巻き進め、自然治癒力を最大限に高めるというやり方です。なので、消耗した生命力に対する回復力は一致するものではなく、いかに施術範囲を絞れるか(怪我の場所を特定し的確にその場所に術を施す、つまり医術の知識や技量が問われる)、更には被術者の自然回復能力の高さも影響してきます(現時点では身体能力が最も高いロレン様が最も効率が良い)。
「錠」は、空間切断とも呼べるものです。「シールド」と考えていただければお分かりになるかと思いますが、ここではその原理について説明させていただきます。術者の生命力を空間エネルギーに変化させ、空間に錠をかける…つまり、空間を切り離す膜を作るというものです。膜は光を除く物理現象を一切通しませんが、強い打撃によって砕けるということは起こりえます。その為主には爆発などの広範囲攻撃の防御に使用され、反対に一点をつく強者の剣撃には殆ど意味を成しません。その強度も術者の技量によるものが大きく、また持続には生命力を必要とします。
「空間転移」は異世界に飛ぶためのものです。アカデアイ大陸がある世界は起源の世界であったこともあり、研究の果てに辿り着いた、人類最上級の魔術。消耗する力は膨大であり、大量な生命力の準備が必要となります。ソラン様としては日頃からコツコツと自分の生命力を分けることで可能とさせていますが、勿論、大量殺戮による生命力の一括徴収のやり方もないとは言えません。また、魔法陣を描くには数日単位かかり、その複雑さから、施術を可能としているのは私が知る限りソラン様だけです。世界を跨いだ際の着地地点は特定できず、色々と困難なものがあります。転移に関しては人でも物でも、何人でも、魔法陣に入る限り転移は可能です。
続きましては、ロレン様。
ロレン様が持つ称号は「戦鬼」です。その圧倒的な強さは間違いなく人類最強で、殺傷力においてはソラン様とは比にならないくらいにかけ離れています。彼の強さを支える要素は「生まれ持った本能」、「歪んだ精神」、そして「悪魔化」です。
ロレン様は元より「鬼才の少年」でした。彼が興味を持つ事象に関しては、一度目にしただけで完璧に記憶してしまいます。事象…というのは、主に空間的なものについてです。書物の暗記は寧ろ苦手な部類で、得意とするのは道筋などの空間暗記や身体を使った技――つまり武術です。そうして生まれた彼のチート級な能力が「複製能力」。一度見ただけの剣技を記憶し、自身の身体で全く同じ動きを再現できるという、正に鬼の業です。一度覚えた技は身体が直接記憶し、まるで長年身に叩き込んだ技の如く、自然と戦闘中に繰り広げられます。また技と技を繋ぎ合わせて、本来のものより大幅に有効的な使い方をすることも可能です。このようなことを実現されられるのは、彼の高い身体能力と神童とも呼べるほどの戦士の適性があってこそ。わざわざ言うほどでもありませんが、当然、ソラン様と出会ってしまったことで「複製能力」が最大限発揮されることになってしまいました。「創造」の極みに達している彼女から次々に剣技を学び、コピーし、己のものとする……。ソラン様の傍というのは、彼にとっては成長という意味でもこれ以上ない場所なのです。
また、ロレン様は一生物として強力な「生存本能」を有しています。思考ではなく本能が彼に与える情報はとても的確で、常に生存確率が最も高くなる選択が彼には見えています。周囲の環境による微々たる変化を肌で感じ、無意識下で発生する「嫌な予感」により、罠を事前に回避することさえ可能です。ソラン様からは、「お前が言うのなら、きっとそうなのだろう」と評されるほどに、その「勘」は優れています。
次に、彼の「歪んだ精神」に関してお話させていただきます。幼少期に、貧民街という過酷な世界に強い「生存本能」だけで生き延びてきた過程から、自分自身への興味を無くすことで「痛み」や「恐れ」を感じなくなる、ということを覚えてしまいました。そのため、彼にとっての拷問は一切意味をなさず、戦場において痛みや死への恐怖は一切持ちえません。ソラン様曰く、「恐怖を感じない兵ほど恐ろしいものはない」のだそうで、相反するように持ち合わせた「生存本能」が与えてくれる情報に、取り乱すことなく常に冷静な判断を下すことができます。
そして、悪魔への覚醒後に自害しようとしたのをソラン様に救われた以降、彼には剣を振るうただ一つの目的ができました。「ソラン様を守ること」が何よりも優先されます。自分の命はもはや自分のものではなく、ソラン様のものであり、自分は彼女にとってただの道具の一つに過ぎないという考えを持つようになります。そのため、戦闘において常に明確な目的を持ち、「迷い」をすることは基本的にありません。常によりソラン様の利となる行動を選び、例えその結果世界を敵に回そうとも、一切の躊躇をせずに成し遂げてしまうのです。
さらに、ソラン様に言わせれば、「出来ると思ったことを信じて疑わない。限界という概念がない」のだそうで、例えどんなに難しいことであろうと、一旦解決の道筋が見えれば、彼は「できる」と断言します。例え成功する確率が3%だとしても、彼にとっては「できる」のです。そして、それが破られたことは、未だかつてありません。
最後に「悪魔化」についてです。「悪魔化」は意識がはっきりしている中でしか行えず、悪魔を抑え込むだけの精神力を必要としますが、良くも悪くも、ロレン様の「歪んだ精神」はこれに最適しているのです。「恐怖」「迷い」「羨望」といった負の感情にとり憑きやすい悪魔なのですが、先程述べたように、ロレン様にこういった感情は非常に起こりづらく、「悪魔化」との適性は非常に高いです。とはいえ、悪魔に精神を乗っ取られた状態を「堕ちる」と私達は言うのですが、ロレン様も全く「堕ちる」可能性がないわけではない、とだけ付け加えておきます。「悪魔化」した状態では、体力をより消耗する代わりに、身体能力が大幅に上昇し、力や速さに関しては人類では到達できない域に達してしまいます。
続きましては、私――ヨベル=ベズニードルの解説に移ります。
私が誇るのは、「手先の器用さ」と「書物の暗記力」でしょうか。
私も一度目を通したものは完璧に覚えられるのですが、これはロレン様のものとは正反対で、書物や学問限定となります。たった一人で復讐のために生き抜いてきた時間で、誰と渡り合うこともなく、剣術を独学で覚えられたのは、全て武術書のおかげでした。武術書に書かれている通りに、「手先の器用さ」を駆使して再現させるのです。ですから、私の剣術というのは、非常に王道で、間違いも粗さも、一寸の狂いもありません。これは同じく訓練された正規兵相手では驚くべき効果を発揮します。彼達の動きは全て武術書に記録されたものであり、私はそのすべてに対する技を覚えているのです。これが、私が国家試験――王家親衛隊選抜試験でトップにまで上り詰めるのに使った武器でした。
しかし、ソラン様は私の剣術の弱みを見抜いていました。彼女曰く「予想外の動きに対応できない」だそうです。彼女は創造の天才ですから、彼女の剣技はどこの武術書にも記録されておりません。ゆえに、彼女は私の戦い方の天敵とも呼ぶべき存在であり、私は彼女にたったの一度も勝てないのです。
そして私は、人類最後のクロスティン人。つまり、「契約の血」を持つ唯一の人間です。
「契約の血」はクリスタルにまつわる全ての仕掛け、器具、武器、そしてクリスタルそのものを操作できます。更に、自分が何もしなくとも、ある程度はクリスタルが意志をもって守ってくれます。ソラン様がお使いになるクリスタルの技は、使い方さえ習得すればその何倍もの力で私にも行使できます。ただしその分、クリスタルの力の消費量は多くなります。
また、この「契約の血」は名前の通り血液が関係しているので、クロスティン人でなくとも、私の血液さえ手に入れてしまえば、その血液でクリスタルの操作は可能となります。ですから、私の自由を奪い道具とすることで、クロスティン人と同じような力を得ることは可能です。
続きまして、ルア=ベランテラン様です。
ルア様の能力は「噓を見抜く力」です。幼い頃から陰謀や欲に塗れた大人たちを見てきた彼女は、その人間が言葉を発するのを見るだけで、その言葉が偽りか真実かが分かるのです。この力にはあの天才的な詐欺師とも言えるドライアルでさえ対象範囲内となります。ですから彼女は元よりドライアルのことは嫌っていて、同時にドライアルも彼女のことは苦手だそうです。
そして、彼女はクリスタルの「鍵」です。ベランテラン家が管理するクリスタルを行使するためには、この「鍵」を解く他ありません。「鍵」となるのは彼女の心であるため、彼女を殺してしまっても「鍵」は解けません。彼女の心を壊すしかないのです。
続きまして、ドライアル。
彼は何といっても「聡明な頭脳」でしょうか。彼に善悪の判別はありません。この世の中は面白いか面白くないかだけで、そして、自分の思い通りにすることに最大の快楽を感じている人間です。彼がカルデリアに従順なのはただ、「ここに居た方が面白そうだから」というだけなのです。
先程自分の思い通りにすることに最大の快楽を感じている、と言いましたが、彼は同時に「思い通りにならないもの」には相当な興味を持つのです。私やルア様、ウンリア様は彼の思い通りにならず、彼をイラつかせる要因となっているようですが、同時に彼はそういった人々に「尊敬」と「信頼」を置いているのです。簡単に人を思い通りにできてしまう彼にとって、変えられない人間というのはそれだけで価値ある存在なのでしょう。
その中でも最も強烈なのはソラン様でした。彼女は彼にとって、「思い通りのことをしてくれない」どころか、彼の何重にも包み込んだ心の奥底を見抜いて、彼が「本当にして欲しいこと」が分かってしまうのです。それは彼が自分自身ですら分からなかった本心です。そういうこともあってか、彼はソラン様には特別な感情を抱いていて、それもあってカルデリア側についているのだと言えます。
彼の「聡明な頭脳」は大国カルデリアの裏の糸を全て引き、効率よく管理するのに最適でした。彼は主に「人」を使います。彼に言わせると「人形」「駒」です。中でも特に女性を色仕掛で落とすことはお手の物でして、今まで落ちなかったのはソラン様とウンリア様くらいだったと思われます。彼女たちは「人を見抜く目」をお持ちですからね。
なので、彼が物理的な戦闘状態に陥ることはほぼありませんが、一応、短剣の扱いは心得ているようです。彼は自分で人を殺すのではなく、人を使って人を殺すのです。
また、彼の戦術も他に一線を画すほどに秀でております。それはソラン様にも認められるほどで、操られなくとも自分から指揮下に入るくらいには信頼されているようです。ソラン様を手駒に置いた彼は正に無敵とも言えるべきでしょう。