リンカ
「怖すぎんだろここ…すげえ不気味だわ…」
俺とリンカは既に森の中に入っていた。
上空では鳥が鳴きながら羽ばたいたりしていて、ホラー映画的怖さを演出している。
「絶対お化けとか出てくるって…マスク被った血だらけのおっさんがチェーンソー持って追いかけてきたりするって…」
「安心してヨミ、出てくるのはリスか盗賊くらいよ!」
「2つ目が物騒すぎるわ!てか、俺の事は宗太って呼んでくれよ…その呼ばれ方はなんかなれなくて。」
俺がいきなり女になってからもう1日経った。
しかし、この身体にはまだ慣れない…
あと、ヨミって呼ばれるのにも慣れない…
俺達が談笑しながら森を歩き始めて、5分くらい経った頃だろうか。
いきなり、後ろから盗賊らしき集団が出てきた。
「おいお前ら!殺されたくなかったら、ここに有り金全部置いてきな!」
……ベタだなあ…。テンプレ的盗賊だよ、こいつら。
するとリンカが、特に怖がりもせずに、一歩前に出た。
「あんた達、まだこんなことやってるの?」
リンカの顔を見た瞬間、盗賊達の顔色が変わった。
「リ、リンカさん!?すいません、気付きませんでした!」
「いいわよ別に、次からは気を付けなさい。あと、この子ヨミっていうんだけど、この子は見かけたとしても絶対に襲わないでね。襲ったら……分かるわよね?」
「はっ、はい!絶対襲いません!神に誓います!」
なんだこれ…なんで盗賊達がリンカに忠実なんだ?
「なあ、リンカ?お前こいつらと知り合いなのか?」
「知り合いっていうか、この子達が所属してる盗賊団の元団長なのよ、私。」
「えっ、えええー!?」
こいつ、綺麗な顔して中々ヘヴィな奴だな…