ヨミ!
「ええ!?俺女になっちゃったの!?」
突然の性転換に俺は頭がついていけない…
そんな俺を、彼女は不思議そうに見ている。
「なんだかよく分からないけれど…とりあえず、今日は家に帰った方がいいわよ?」
「そんな事言われても、帰る家がないよ…俺、男だったはずなのに、もう何が何だか…」
俺がそう言うと彼女は苦笑してこう言った。
「じゃあ、私の家に泊まる?私の家、この丘の頂上にあるの。男の子なら泊められなかったけど、あなたは女の子だし」
「おいおい、それは男から女に変わった俺への皮肉か?」
俺が聞くと、彼女はくすっと笑った。
俺は5年ぶりに家族以外の女の部屋に入った。
最後に入ったのは確か小5の時だったはず。幼なじみの玲ちゃんの部屋だった。いい匂いがしたなあ…
そんなことを考えていると、女の子が話しかけてきた。
「私の名前はリンカ。狩人をやっているの。あなたの名前は?」
「あ、ああ。俺の名前は宗太。一応、学生をやってるよ。いや、やってたっていうほうが正しいかな?」
もう、自殺してるしな。宗太は。じゃあ、今の俺は誰なのだろう。
「宗太?聞かない名前ね…なんであそこにいたの?」
話しても、いいのだろうか。
しかし、隠していても話しがズレていくだけだろう。どうせ帰れないのだろうし、もういっそ話してしまうか。
俺は、リンカに事情をすべて話した。
「ふーん、なるほどね…。あなたは自殺してこの世界に転生してきたと」
「ああ。ついでに性別も変わっちまった。」
ほんと、どうすればいいんだか…
すると、リンカは俺に一つの提案をしてきた。
「ずっと私の家に泊まらせるわけにもいかないわ。お金の問題があるし…。そうだ!明日、街の職業紹介所に行きましょう!働くのよ!」
「是非そうしたい!金は大事だ!」
働かないと未来はない。それは、どこでも同じらしい。
「でも、宗太って名前じゃ怪しまれるわね…」
リンカはうーん…と悩むと、目を見開いて言った。
「ヨミ!あなたの前は、今日からヨミよ!」